概要
『特命戦隊ゴーバスターズ』に登場する特殊な空間。
物語の13年前である新西暦1999年のクリスマスに、転送研究センターのスーパーコンピューターを管理していたプログラムが自我を持ち邪悪な存在・メサイアとして全世界を支配すべく暴走を始め、同センターの所長だった桜田ヨウスケは被害拡大を食い止めるため、センターの敷地もろともメサイアを転送し、現実世界から隔離した。
その隔離のため使われた転送先こそがこの空間である。
転送されたメサイアによって作られた今作の敵組織「ヴァグラス」はこの空間を実質的な拠点としており、巨大戦力たる敵メガゾードもメタロイドの誕生に応じて空間内のどこかにある格納庫からバグラーの作業によって転送されてくる。
また、センターの研究員の一人であった陣マサトの格納庫もここに存在している。
ちなみにこの格納庫の存在はヴァグラス側も把握しているものの、「迂闊に戦闘を行えば亜空間にどんな影響が出るかわからない」とのエンターの判断により事実上放置されており、エネトロンの略奪や侵攻を受けたことこそあったが破壊されたことは一度も無かった。
空間内の空は赤黒く、気候と呼べるものは存在しない模様。ただしバスターマシンに搭載されている特殊なシステムを用いて上空を照らすことで、現実世界とあまり変わらない曇り空のような状態にすることができる。
内部には転送された当時の研究施設の敷地内にあったものがそのまま存在しているが、経年による劣化などは特に生じない様子。
また、「亜空間=研究センターの敷地」というわけではないらしく、マーカーなしで亜空間への転送を実行した場合、何もない場所に放り出されて二度と帰還できなくなるリスクがあるとのこと。
このため、ヴァグラス側はメタロイドというマーカーを現実世界に用意しその周辺にメガゾードを転送できるのに対し、人類側はマーカーが無いために亜空間への突入ができず、防衛に徹するほかない。
電子データによって構成されているらしいが、この空間に人間が存在することそれ自体は可能(あくまでその空間に来るうえで不可欠な転送に耐えられないというだけである)。
だが、この空間はあらゆる行動に現実世界とは比較にならない強烈な負荷がかかり、普通の人間では体を動かすどころか呼吸をすることすらままならない。陣いわく「ゼリーの中にいるようなもの」らしく、人ならざるメサイアですら「ココハ息苦シイ」と零すほど。
この空間で支障なく動けるのは、転送や亜空間での活動への耐性をもたらす「ワクチンプログラム」を投与された人間、データにより構築された存在であるアバター、そして人間を上回るパワーを備えているバディロイドやメタロイドなどのロボットに限られる。
バスターマシンですらその影響を受けるため単独での戦闘にはある程度制約がかかり、グレートゴーバスターなどの特殊形態の使用を余儀なくされる場合も少なくない。
Mission29・30で上述のマーカーを確保したゴーバスターズが亜空間に突入。彼らがヴァグラスと大規模な戦闘を繰り広げた影響で転送研究センターの主要施設が破壊されたうえ、この空間自体の不安定さも増し、再び戦闘が起きれば崩壊するリスクがある状態となる。
しかしメガゾードの格納庫には影響が無かったのか、以降もメガゾードは転送され続けており、「メガゾードは厄介だが危険すぎてその格納庫の破壊に向かえない」というジレンマを抱えた状態が長らく続いた。
その後、Mission49・Final Missionにて別の問題への対処のためゴーバスターズがエンターを強引に連れ出して再度亜空間に突入。両者の死闘の末にエンターが倒された際、その爆発の余波でこの空間も崩壊をはじめ、そのまま内部の施設や物体もろとも消滅した。
疑似亜空間
メサイアの「現実世界に戻りたい」という渇望を高めるべく、エンターがフィルムゾードの能力を利用して現実世界に亜空間を再現したもの。人類側からは「亜空間もどき」と呼称されることも多い。のちにキーゾードやムシカゴゾードもこの能力を使用した。
メガゾードの周囲一帯を赤黒いドーム状の障壁で覆い、その内部にメガゾードが亜空間のデータを投影することで亜空間と同じ状態を作り出している。
メサイアはこの中であれば実体は伴えないものの一時的に現実世界に現れることができ、上空から人々の苦しむ様子を見物することが可能。
ただし、この空間を構成している障壁はあくまで物理的なものであるため外部からの干渉を受けやすく、グレートゴーバスターによる通常攻撃で容易に損壊してしまう(すぐに修復はする)ため、完成させる度に、それから程なくしてゴーバスターズに侵入を許しその維持に必要なメガゾードを破壊されて消滅してしまう(同時にメサイアも亜空間に引き戻される)、という描写が劇中では度々見られた。
もっとも、上述の誕生までの経緯を踏まえれば、エンターとしては本来はそれでも何の問題にもならないことであるのだが、これによって「人間の苦しみ」という「快楽」に酔いしれたメサイアは彼の思惑とは裏腹に快楽嗜好を加速させてしまい、のちにそれを満たすためのアバターであるエスケイプを新たに生み出すこととなった。
ちなみに発生させるメガゾード自身の能力を重ね掛けすることも可能で、ムシカゴゾードが使用した時には、これを利用して外部から疑似亜空間の範囲を縮めることでグレートゴーバスターさえ影響を受けるほどに負荷を高めてゴーバスターズの動きを封じる、という戦略が取られた。