光の黒竜ギーラ
ひかりのこくりゅうぎーら
大地の神ヴォラドが自らの身を二つに引き裂き、「憎しみの対象」として生み出した存在。
黒い体色を持つ単眼のドラゴンだが、体色に反して「光」の属性を持つ。
ゲーム『キングスフィールドⅡ』のラスボスであり、同シリーズの重要アイテムにして、フロムソフトウェア作品伝統の聖剣「ムーンライトソード」を生み出した存在でもある。
第一作『キングスフィールド』には登場しないが、
王家墓所深部にフォレスト・ドラゴンと呼ばれる竜と、それに仕える妖精ミーリアが現れ、彼らの力を借りる事で「ドラゴンソード」をムーンライトソードに強化する事が出来る。
『Ⅱ』では、メラナット島でハイエルフに信仰される白竜シースに対し、ダークエルフが信仰する「眠れる者」として黒竜ギーラの存在が明かされた。
本来、ギーラとシースは人類同士の争いを止めるべく創られたのだが、二体の竜は自らの使命を忘れて争い始め、その過程で無数の魔物を生み出してしまう。
やがて両者の力は拮抗、互いに直接干渉することが出来なくなるが、ギーラは月光の剣「ムーンライトソード」を、シースは黒水晶の剣「ダークスレイヤー」を生み出し、自分の代わりに宿敵を打ち倒させるための戦士を探し始めた。竜の妖精ミーリアも、ギーラに仕える戦士を探す為に作られた傀儡に過ぎなかったのだ。
また、シースとの争いで消耗したギーラは、各時代における最強の戦士を「守護の者」とした。
メラナット島を支配していた「教王」も当代の「守護の者」であり、ギーラの傀儡である。
ギーラがヴァーダイト王城からムーンライトソードを盗んだ理由は、奪還の為にヴァーダイト王国から派遣されるであろう強力な戦士と教王を戦わせ、その際に発生するエネルギーを得て、自らを復活させようと企んでいたからだった。
しかし、シースやその崇拝者達の助力を得た主人公アレフ・ガルーシャ・レグナスは、教王を打ち倒したうえで、ダークスレイヤーを得てギーラの次元空間に侵入。目覚めようとしていたギーラを撃退し、ムーンライトソードを奪還する事に成功した。
なお、キングスフィールドシリーズは正統派ファンタジー作品なのだが、教王の闘技場にはミーリアを量産する為のクローン製造プラントらしき装置があり、最終ステージの「ギーラの次元空間」はサイバー空間のように描かれているなど、本作のギーラにまつわる描写にはSF的な要素が目立つ。
三部作最終作『Ⅲ』では、『Ⅱ』のラストでメラナット島から飛び去った後、かつて自らが生誕した地であるヴァーダイト王家墓所に逃げ込んでいた事が発覚する。(フォレスト・ドラゴンはギーラの幻影のような存在だったらしい)
シースはその好機を逃さず、亡者と化したハイエルフの英雄メレル・ウルを派遣。傷ついたギーラにトドメを刺し、復活の機会を完全に奪ってしまう。
しかし、肉体を失いながらもギーラの残留思念は生き残り、シースへの復讐を企んでいた。
『Ⅲ』の主人公ライル・ウォリシス・フォレスターは、父親と同様に王家墓所へ侵入、折れたムーンライトソードをギーラの残留思念に渡し、修復させる事になる。
最終的にライルはムーンライトソードの力で父親の正気を取り戻し、シースを討ち滅ぼす。
同時にムーンライトソードとダークスレイヤーは魔力を失ったため、シース打倒の為に存在し続けていたギーラの残留思念も消滅したと思われる。
前述の通り、「キングスフィールドⅡ」のラスボスであり、同作最強のモンスターである。
ムーンライトソードを守るためか次元空間の最深部に鎮座して動かないが、近づけば強力な打撃で、距離を取れば蒼白い火球や爆発を伴うライトニングボルトを吐き出して攻撃してくる。
更に耐久力が高いうえに、首が長いせいで頭へ攻撃を当てにくく、細い橋のような場所に立っている為に転落死のリスクもあるなど、接近戦を仕掛けづらい。
しかし、最大の武器は周囲を浮遊する「ビット」と呼ばれる光球である。
これは不規則に飛び回りながらレーザー光線で攻撃してくるだけではなく、あらゆる魔法攻撃を吸収・無効化する能力を持っており、ギーラに対抗する為に創られた最強武器「ダークスレイヤー」の魔法剣すら無効化してしまう。
また、稀にアレフの頭上で光属性魔法「フラッシュ」の強化版を発動する事があり、この攻撃を受けると、爆風に包まれて回避する事もままならぬまま即死する羽目になる。
その為、攻略時はまずビットの排除が最優先事項となる。
化身とも言えるムーンライトソードはフロムソフトウェア作品に度々登場し、『ダークソウル』では、宿敵である白竜シースがリメイクされる形で出演したが、ギーラ自身は未だにゲスト出演を果たしていない。
ダークソウルのDLCに単眼の黒竜が登場する事が公表された際、「シースに続きギーラも復活するのでは!?」と期待したユーザーもいたのだが、実際に登場したのは黒竜カラミットであり、ギーラとは無関係だった。
ただ、『ダークソウル3』に登場した黒竜、闇喰らいのミディールのソウルからは「古き月光」と呼ばれる魔法の剣を生み出す事ができ、その記憶は「よりはじまりに近い」とされている事から、ギーラとの関連性を見出す者もいるようだ。