概要
諸事情により製作されなかった『仮面ライダークウガ』の劇場版。厳密には企画倒れ。
放送中からファンが開設した署名サイトなどによる映画化の要望・署名活動が行われ、小学館発売の『仮面ライダークウガ超全集』下巻でもプロデューサーの髙寺成紀とオダギリジョーが映画化を約束するコメントが掲載されていた。
しかし放送終了後に立ち上げた新作企画ということで資金繰りやスケジュール調整が難航したらしく、高寺も雑誌等のインタビューで企画自体の存在は仄めかすもののその進行状況に関しては消極的な発言をするようになる。その後、2006年になって公式サイトで高寺から映画化に至らなかったことの謝罪コメントが発表され、正式に没となった。
内容とその伏線
後に髙寺成紀プロデューサーは、自身のX(旧ツイッター)アカウントにて、
「古代に日本からロシアを経て、アラスカにまで渡ってリントを狩っていたグロンギ達がいた」
「氷壁に閉じ込められ眠りについた彼らが、現代に目覚める……というのが、劇場版のストーリー構想にあった」と語っている。
このアラスカのグロンギ達のリーダーが、オオカミ型のグロンギであったとの弁。
それを匂わせる伏線として、『クウガ』EPISODE48「空我」において一条がラ・バルバ・デに突き付けた羊皮紙に、赤いオオカミの文様が描かれていた。
そしてクウガから10年後、『仮面ライダーディケイド』に赤いオオカミのグロンギとしてン・ガミオ・ゼダが登場。このガミオこそが劇場版でクウガと対決するはずだったオオカミ型のグロンギだったのだという。ディケイドに登場させる際「10年も経っていたにもかかわらず、デザイナーが名前と赤いオオカミのデザインを覚えていたため、スタッフが驚いた」とするエピソードがある
また、ガミオの「バゲ・ゴゼパ・レザレダ(なぜ俺は目覚めた)」「俺は二度と目覚めぬはずだった」との台詞に関して、一部のファンからは「劇場版が頓挫して登場する機会を失ったことに対する皮肉ではないか?」と勘繰られている。『ディケイド』自体がメタ的な構造を強く持つ作品である構成を考えると、この解釈には一定の説得力がある。
また、更にコアなファンの間では『仮面ライダークウガ 特別篇』に収録された、楽屋ネタ満載のギャグ短編『EPISODE 50 乙彼』の予告で発せられた一条の「東京に未確認が300!?」とのセリフが「(ディケイド本編で見せた)ガミオの能力を指していたのかも知れない」と噂されていたとか。