概要
物語の【第100話】。 WGPのファイナルステージ2日目『山越えテクニカルコース』が舞台で、エントリーチームはドイツのアイゼンヴォルフ、日本のTRFビクトリーズ、イタリアのロッソストラーダ、アメリカのNAアストロレンジャーズ。
ロッソストラーダを除いた各チームが連係プレーで勝利を手にするために挑む。(ロッソストラーダはカルロの単独エントリーだった)
急な下りの連続コーナーにてアイゼンヴォルフとアストロレンジャーズが減速し確実に下って行く。一方カルロは減速せず、『さぁ、ディオスパーダ! 奴らにイタリア式の走り方を見せてやろうぜ!』とフルスピードで突入、RS機能を駆使したノンブレーキ走法で下って行き周囲を沸かせトップに追いつく。しかし、ビクトリーズもフォーメーション走法によるノンブレーキで追いついてきた。
カルロのディオスパーダはアストロレンジャーズを抜こうとするも後輪がバースト起こし、最下位に転落してしまう。
アストロレンジャーズを抜こうとするビクトリーズ。しかし、ギャラリーの少年が誤って自分のミニ四駆(スーパーアスチュートJr.)をコースに落としてしまう。イライラしていたハマーDは踏みつぶそうとしたが、すんでのところで藤吉が滑り込み救出した。烈とJは藤吉に言われて先に行き、藤吉は少年にマシンを返した。しかし、無理をしたため足を痛めてしまう。藤吉はなんとかピットに辿り着いたが……
藤吉は足を捻挫してしまっていた。さらに前日(ファイナルステージ一日目)の夜に、足に火傷も負っていたため、土屋博士から走らない方が良いと言われる。先ほどの行為で下手したら失格しかねないことに仲間達は注意するが藤吉は
『レースよりも大切なものがあるでゲス、レースで勝つことよりも大切なことが!』
『わてらには誰にも負けないミニ四レーサー魂があるでゲス!だからまだ走らせてほしいでゲス!』
と発言し、それを聞いたビクトリーズの仲間達は博士に藤吉を走らせてほしいとお願いし、テーピングで応急処置をして再び走れるように。
不意に聞こえた思わぬ言葉にハッとするカルロ。
その藤吉の姿と言葉がディオスパーダのピット作業中だったカルロに一つの変化をもたらす……
レース中盤
雨が降り、コースコンディションが変わる。だが、ビクトリーズのソニックはこの雨さえも味方につける。
アストロレンジャーズを退き、トップのアイゼンヴォルフへと迫る。しかし、スピンバイパーとプロトセイバーEVO.のトップスピードが限界にきてしまい、Jと藤吉は烈に託し、バスターソニックが単独で行くことになった。
アドルフとヘスラーは烈を止めようとするも失敗。ミハエルと烈のトップ争いが始まった。
烈は、ミハエルのような優秀なレーサーと戦えるコトを誇りに思うと話しかける。
が、突然の雨や砂利ついた路面で、トップを維持こそしているものの思うようなレース展開に持ち込めず、フラストレーションの溜まりつつあったミハエルが、とうとう本性を現す。
烈の言葉に、皆そんな風に相手レーサーのコトを考えるのか?と返すミハエルと、その返答に困惑する烈。
自分がレースで戦うのは(対戦相手の)レーサーなどではない、自分はずっとベルクカイザーと戦ってきたと話し出すミハエル。
マシンを支配し、自分の思った通りに走らせるコトこそがミニ四駆。
マシンに勝ち、支配してきたからこそレースで無敗を続けてこれたのだと言い出すミハエル。
「マシンと戦ってきた」 「マシンなんか信じていない。僕の敵だから」 「僕が勝ち続けていられるのはマシンに勝ち続けてきたからだ」
と言うミハエルの言葉に烈が激怒した。
自分のマシン、ソニックは自分と共に成長してきた、「相棒」なのだから。
「マシンは敵なんかじゃない!ソニックは友だちなんだ!」 「そんなことをいう君に負けるわけにはいかない!」 「僕はお前(ソニック)を信じてる!ソニックならきっと勝てる!」
その烈の言葉にソニックのGPチップが反応する!
ソニックは烈の言葉に応えるにようにベルクカイザーを抜き、トップに立つ。
【ヨーロッパミニ四駆界の貴公子】と【コーナリングの貴公子】のトップ争いを繰り広げる。
レース終盤
『くそぉ……雨なんか降りやがって!!』
一方、カルロはピットが終わり遅れを取り戻すべく追跡する。しかし大嫌いな雨が、幼年時代の忌まわしき記憶が蘇る。両親が離婚し、雨が降る街中に一人置き去りにされた あの日のことを……
それを断ち切ってくれたディオスパーダに目をやると、ファイターの実況が……『トップ争いはアイゼンヴォルフのミハエル君とTRFビクトリーズの烈君に絞られたようだ!』
これがカルロの闘争心に火を点ける。 『忌まわしきあの日々に戻るわけにはいかない、俺はこの大会(レース)に勝利し【優勝賞金】と【最高の名誉】を手にしてみせる!』
『行くぞ、ディオスパーダ!!!』
カルロは雨降る中、相棒と共に猛追を開始する。
一騎討ちを繰り広げる烈とミハエル、そして激しく追い上げるカルロ。
ゴール寸前、あっと驚く展開が待ち受ける……
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爆走兄弟レッツ&ゴー!!WGP 星馬烈 三国藤吉 ミハエル・フリードリヒ・フォン・ヴァイツゼッカー カルロ・セレーニ バスターソニック ベルクカイザー ディオスパーダ 落ち着けハマーD! 神回
【これより先、栄光を手にした者が記載されているため 閲覧には注意されたし】
『ダメだ……まったく先頭が見えてこない!』 『こうなったら、少しでもタイムを縮める方向に作戦を変更しよう!』 天候の影響で上位入賞が困難と判断したミラーとハマーDだったが、<ハマーD、後ろだ!!>ブレットの通信を聴いて、ハマーDは後方を警戒する・・しかし
『……遅い!!』
かなりの距離が開いた状態から徐々に追い上げをみせるカルロとディオスパーダは、アストロレンジャーズのミラーとハマーDのバックブレーダーを退けて先へと進む。
(あいつらには、負けられねぇ……負けられねぇんだ!! )
アストロレンジャーズを退いてもカルロ達の猛攻は停まらない。 そして、ライバルであるTRFビクトリーズのスピンバイパーとプロトセイバーEVOを追い抜き先へと進んで行く。
ディオスパーダがラフプレーを行わず、今までにないスピードで追い越して行った様子にJと藤吉は呆気にとられるしかなかった。
(先頭はまだか!? 先頭が……まだ見えねぇ!!!)
最下位から各チームのマシンを抜かし、三位へと順位を上げていったディオスパーダの姿は、まさに【紅の閃光】。
一方、ミハエルと烈のトップ争いは最終コーナーを曲がり、クライマックスへ。
併走状態からベルクカイザーが加速しトップに出る……だが『まだだソニック、ラストスパートだ!』烈の信じる想いが伝わったのか、ソニックは強い飛沫を上げて更に加速をし続ける。
想像以上に加速し続けるソニックを前に出させまいとするミハエルは『抜かせるな、ベルクカイザー!!』と奮起させるのだが、ベルクカイザーが加速できず徐々に速度が落ちて行く。
栄光を手にするためにミハイルは相棒に『行けっ!!! 行くんだ、ベルクカイザー!僕に恥をかかせる気か!?』と怒るも再加速できず、二位に転落。 不敗神話を築き上げてきた栄光が音を立て崩れる『僕が……負ける……!?』
烈は相棒と共にミハエルを退き、ゴールへと目指していく……だが
『来たぁぁぁぁぁっ!!! 【紅の閃光】ディオスパーダが……ここで来たぁぁぁっ!!!!』
『行けぇぇっっ!! ディオスパーダァァァァッ!!!』
トップに追いついたカルロ、彼の覇気に呼応したディオスパーダが最後の追い込みをみせる
烈しく着地し怒涛の勢いでベルクカイザーを退き二位に浮上、一位のバスターソニックとのゴール寸前の攻防戦を繰り広げる。
勝利を確実に手にするために、ジュリオがカルロに通信を入れる。
<チャンスよ、カルロ! アディオダンツァを、今ならソニックをリタイアさせてからミハエルをリタイアさせられる>
<大丈夫、この雨なら【スリップして事故】というだけで済むから>と しかし、カルロはこれを強く拒否。
「おぉーっと!! ここで、ディオスパーダの加速が停まったぁっ!」
この一瞬の迷いが相棒の加速を妨げてしまった、それを見た烈は『いける……ソニック!』 ソニックは速度と順位をキープ、ゴール寸前の攻防戦は烈が勝利を手にするかにみえたが……
『まだだぁぁぁっ!!!! 抜けぇぇぇ!!!! ディオスパーダァァァァッ!!!!』
ディオスパーダはカルロの想いに応えるべく最後の力を振り絞って加速、ゴール寸前のわずかな差でバスターソニックを退け【栄光の一位】を獲得した。
アディオ・ダンツァによるラフプレーを封印し、初めてフェアプレーによる真の勝利を掴んだカルロの喜びの雄叫びが、雨降るレース会場の中に響き渡ったのであった……。
2位に終わった烈だが、ミハエルに勝利。スタート時は最下位で5分近いハンデがあったのにもかかわらず、新型マシンで総合2位という大躍進を遂げていた。
烈は「これも藤吉君やJ君の頑張りがあったから」……
反して、完全に停止してしまったベルクカイザーの前で初敗北3位のミハエルは呆然としていた……
余談
- この回はファンの間でも非常に人気が高く「神回」と言われており、この回の影響もあってか、DVDの公式人気キャラアンケートにて第3位にカルロがランクインしている。
- ミハエルの無敗神話が崩れた。
- この回でも「落ち着けハマーD!」が聞ける。
- 藤吉がマシンを拾い上げたシーン。烈と初めてレースをした時、藤吉がコース上に落ちたマシンを邪魔だと踏みつぶそうとし、それを烈が我が身を犠牲にして拾い上げたシーンと似ている。しかもその時に烈が助けたマシンと、今回彼が助けたマシンは同じスーパーアスチュートJr.。最初の頃から彼も大きく成長したことがわかるシーンでもある。
- ベルクカイザー、バスターソニックの加速時のSEに強弱がある。(ベルクカイザーはミハエルの指示に反発するようにゆっくりと加速しているが、バスターソニックは烈の指示に応えるべく強く加速している)
- カルロがゴール寸前で追いついてきた時に、ジュリオが嬉しそうな顔をしている。(ヒロインのようだ)
- バスターソニックとディオスパーダの一騎打ちで流れたBGMは、烈のテーマのアレンジモデルで無印の頃から使われているが、CDには未収録である。
- ディオスパーダがバスターソニックと並んだ後加速が止まったのはディオスパーダのGPチップが相手のチームのマシンに並ぶと「アディオ・ダンツァ」を仕掛けることを学習していたから。しかしカルロが「抜けディオスパーダ!!」と指示した為再加速し、バスターソニックを抜いたのでは?という考察がある。
- ファイターが興奮のあまりヘリから飛び出してしまった。(が、大きな怪我を負うこともなく木に助けられた
- ファイナルステージはスタッフが実際にロケハンしており、前回とこの回・2日目のステージは箱根ターンパイク~強羅まで。
- ゲーム作品「爆走兄弟レッツ&ゴー! POWER WGP2」でも、このレースのことは語られており、カルロのファンが生まれた。
- コロコロコミックのYouTubeチャンネル『コロコロチャンネル』の5周年を記念して2020年12月15日から2021年1月14日までのあいだ無料公開された。余談だが12月30日には開催できなかったコミックマーケットの代替企画エアコミケ2の回顧映像で本作放送当時(当時のレツゴーの同人人気はすごかった)に企業ブースにミニ四駆コースが設置されていた様が流れ、懐かしさに検索したところ無料配信に気付いたという当時のファンもいたようだ。
- カルロを演じた結城比呂氏は「この演技に失敗したらカルロの人生を台無しにしてしまう」と、彼と同調するように自分を追い込んでアフレコに臨んだという
- 烈を演じた渕崎ゆり子氏は印象に残った回の1つにこの回を挙げている。
- このレースによって、【ファイナルレース第二セクションの覇者】と称された。