概要
ミニ四駆に搭載する「学習機能を持った小型チップ」である。アニメ『爆走兄弟レッツ&ゴー!!WGP』にのみ登場し、原作漫画には登場しない(ただし原作軸の読み切り漫画版『暴走ミニ四駆大追跡!』には後述の「タイプγ」が登場する)。
ミニ四駆世界グランプリ(WGP)に出場する「グランプリマシン」(後述)に必ず搭載されており、
- 状況判断により左右シャフト回転差による擬似的なステアリングや加減速を行う
- 自チームや相手チームのマシンの走行データやコース情報を学習し経験値を得る
- 自身を扱うレーサーの傾向や癖を自ら判断し走りに反映する
等をマシンが自律的に行い、マシンが意思を持ったかのように走る根拠として扱われた。
WGP編のOPアニメ内で、マグナムとソニックが前方にいるマシンの合間を左右に動きながら縫うように走る芸当ができるのもGPチップのおかげなのである(それでも原作、アニメ無印編や同MAX編で、GPチップを積んでいないのに自由自在に動くマシンが数多く出てくるのだが突っ込んだら負け)。
現代で言う所の「人工知能を搭載した小型電子部品」である。
チップがどのように学習しマシンがどう育つかはレーサーの腕前次第で、例として烈が豪に「お前(豪)がかっ飛びの走りばかりするとそれを記憶して、ゆっくりカーブさせようとしてもかっ飛ぶ」と挙げている。
多機能なマシンほどGPチップの学習に時間が掛かり、藤吉のスピンコブラは搭載当初、他の選手のマシンに後れを取っていた。
故にマシンがレーサーの手元から離れる…なんてこともあり、劇場版ではこれが現実となった。
特性上、マシンが修復不可能な状態になり新しい物に交換する、あるいは後継機を使い始める場合でも、以前のマシンに搭載されたGPチップを再利用すれば能力を受け継がせることも可能。
しかし、違うマシンに搭載されて学習したGPチップを入れた場合、走ることはできるがマシンが安定しなくなるおそれがある。例としてサイクロンマグナムにハリケーンソニックのGPチップを入れると、ハリケーンソニックの性格になり不安定になる。同様の事例は機構がかなり異なるスピンコブラ→スピンバイパーでも存在していたため、GPチップの流用ではなく、スピンコブラと2台同時に出場させランデブー走行をさせることでスピンバイパーのGPチップに学習させる手段をとった。
なお、GPチップが傷ついてしまった場合、新たに作ること自体は難しくないものの、破損度合いに応じてインプットされていたデータ移植に時間がかかってしまう。
GPチップの種類
GPチップは劇場版を含めて2種類存在し、現行のグランプリレーサーが利用している「タイプβ(ベータ)」と、リオンの父親であるザビー・クスコ博士が作り上げた「タイプγ(ガンマ)」がある。
チームによってタイプβのデザインが異なるが、基本性能は同じとされる。(メイン画像のものはTRFビクトリーズが使用しているタイプβ)
元々GPチップ自体クスコ博士が発案した装置であり、彼と土屋博士、岡田鉄心の3人でタイプβを開発したが、クスコ博士はタイプβで満足がいかず研究を続けてタイプγを作り上げるも、ガンブラスターXTOが怪電波を発しながら暴走してしまう原因になってしまった。
この事件の後は取りやめにしたそうだが、ゲーム『エターナルウィングス』では再び開発を続けている模様。
『グランプリマシン』とは
このGPチップと強化されたシャーシやボディ、強力なモーターを採用するミニ四駆が『グランプリマシン』と呼ばれ、この設定もアニメオリジナルである。設定に関する資料は無く、「普通のミニ四駆とグランプリマシンでは乗用車とF1マシンくらい違う」等、劇中での土屋博士や鉄心先生、二郎丸の会話の中で徐々に語られる。
実例としては、会場でテスト走行をしていたNAアストロレンジャーズに挑発されて豪が勝負を挑んだ際、ノーマル状態では全く歯が立たなかったのが藤吉が作った違反モーターに交換したことで追走はできるようになったものの、車体の強度が足りずサイクロンマグナムが空中分解してしまったことから、チップやモーターだけでなく車体も重要な要素であることが分かる。
また、アストロレンジャーズとのエキシビジョンマッチでは、ビクトリーズはノーマル状態のマシンにGPチップだけを搭載しレースに挑んだが、下馬評に反しリョウのネオトライダガーZMCが表彰台に割って入る活躍を見せ、レース中にリョウは「ZMCボディとGPチップの相性は最高だぜ!」と歓喜した。
しかし、普通のミニ四駆とは雲泥の差とされるシャーシの構造や素材、GPチップを載せる電子制御装置の詳細が明かされることは無く、ファンの間で様々に想像されている。
(前述のリョウの台詞が具体的にどういうことなのか、エキシビジョンマッチの際にモーターは何を積んでいたのかも含めて)
WGPに登場する各国のマシンはどれもスピンコブラやスピンバイパー、プロトセイバーEVO.と同様のハイテクマシンである。バックブレーダーは四輪独立のアクティブサスペンション、ディオスパーダは後輪ステアリングを有し、またベルクカイザーは外観はキットの延長線上であるが、コンピュータにつないで整備している描写があるためハイテクマシンであることが分かる。
なお、世界グランプリ開催の打ち合わせに集まった「国際ミニ四駆連盟」(FIMA)の各国理事がスーパーグレートジャパンカップ(SGJP)サマーレースの様子を見た際、日本でグランプリマシンによるレースが行われていないことに驚愕し日本での開催に難色を示した。
市販化された「GPチップ」
名前こそ同じだがAIは採用されず、パソコンを用いたタイム計測機能のみで見た目も大きく異なるものの実際に開発・販売がされたこともあり、カスタマーサービス限定で取り扱っていた。
しかしチップや計測装置を全て揃えると10万円以上する非常に高額な代物で、あまり売れなかったという。
また当時リアルタイムで観ていた視聴者や理系の人達によって、電子部品を用いて加減速や自動ステアリングを行なったり、声に反応してマシンも連動するといった擬似GPチップを製作してネット上に公開しているので、気になる人はチェックしてみても良いかもしれない。