概要
原案:さいふうめい、漫画:星野泰視による麻雀を題材とした日本の漫画作品。
1997年から2004年まで週刊少年マガジンで掲載された。単行本全41巻、文庫版全22巻。
また、2000年には『勝負師伝説 哲也』としてアニメ化された。
作品解説
時代は戦後復興期の日本。
1人の青年、哲也が麻雀において勝負師または玄人(バイニン:麻雀賭博において絶技のイカサマを習得した者)として成長していく姿や数多の玄人たちとの鎬を削る麻雀勝負など、哲也の玄人としての生き様を描く。2000年度(平成12年)第24回講談社漫画賞少年部門受賞。
雀豪として名を馳せた色川武大の著書『麻雀放浪記』『ドサ健ばくち地獄』などを参考、再構成したものであり、これらの著書に記されたキャラクターも数多く登場する。
ギャンブルの主題は麻雀であるが、作中には花札(オイチョカブ)やチンチロリンなどの麻雀以外のギャンブルも時節登場する。
原作者のさいふうめい曰く、『哲也』の世界では、学歴と麻雀の能力は反比例関係にあるとされている。
なお、本作の時代背景ではまだリーチ麻雀は浸透しておらず「アルシーアル麻雀」に近いルールでで打たれていたが、本作においては現代風のリーチ麻雀が採用されている。
あらすじ
勝負の世界でしか生きられない人々がいる。人は彼らをギャンブラーと呼ぶ。
登場
昭和19年(1944年)、阿佐田哲也15歳。
真珠湾攻撃から3年たったこの年、哲也は軍需工場で勤労動員させられていた。ある昼休み仲間と一緒に同僚のおっちゃん(元弁士・軽演劇役者)に博打を教えてもらっていた。その時、空襲が起きあたり一面が焼け野原になる惨事の中、逃げずに生き延びたおっちゃんから「運の悪い奴が死ぬんだ」と教わる。
翌年、戦争に負け日本は貧しい状況にあった。何とか職を得た哲也は、就職先で博打をやっていることを知りその場に赴く。負け続けて土壇場に追い込まれた哲也は勝負師としての才能を開花させた。賭場での印南との出会いを経て横須賀で米兵相手に麻雀をやれば儲かると聞いた哲也は横須賀へ向かう。
坊や哲誕生
昭和21年(1946年)、哲也は新宿にいた。横須賀で負けなしだった哲也は新宿でも勝ち続けていた。
ある日相手が掛け金を払えずもめていた場に房州という男性が現れ、サシ馬勝負をすることになるも完敗しプロの恐ろしさを知る事になる。
哲也は房州に弟子入りし次第に力をつけていく。コンビ芸を使う双子と対決した哲也は房州と組むことで勝利し、新宿最強コンビが誕生した。
連日連夜勝ちを収めていた二人であったが、房州は自分の限界を悟り新宿を去る。
哲也は新宿に残り、半年後には黒いシャツをトレードマークとし、坊や哲という通り名を得る存在となった。
新宿一対死神
昭和22年(1947年)、新宿で勝ち続ける哲也の前に彼のオヒキを志望する男・ダンチが現れる。
それと前後してヒロポンと呼ばれる覚醒剤を使い、ガン牌を特技とするようになった印南と再会した。
恐ろしい博打うちでありながらヒロポンなしでは何もできない体になっていた印南に対し引導を渡すため哲也はダンチをオヒキにして印南と対決する。
不死身の女・リサ
印南との対決から数日後、ダンチが素人に負け続けていると聞いた哲也はその雀荘へと赴いた。
その素人は、絶対に放銃しない不死身のリサと呼ばれる女性だった。
彼女は恋人・コロに捨てられたことを機に危険を感知する力を入手していた。
コロとの再会を望むリサの素性を知った上で哲也は彼女をオヒキに加える。
遠征
リサと別れた哲也・ダンチは千葉に渡り、哲也はかつての師・房州と再会。久々に麻雀をするも房州は新宿で打っている頃よりも切れていた。
哲也は当初房州に圧倒されるも、勝負中に房州を超えるまでに成長する。
その後、房州の通夜の最中にドラ爆の鷹という男性が現れるも哲也が勝利し千葉を後にする。
コンビ決裂の危機
しかしある時、ダンチは一家離散の仇・根津夫婦を発見し、勝負を挑む。しかし、勝負の最中にコンビに亀裂が入り敗北。
これを前後してコンビ決裂となり、ダンチは雀ゴロになりさがり賭場を荒らし始め、それを見かねたユウさんと哲也との勝負に敗れ、玄人として一皮剥けて根津夫婦に再戦を挑む。
大阪ブー麻雀
根津夫婦の一件を果たしたダンチは、「大阪にブー大九郎と呼ばれる凄腕の玄人がいる」という情報を仕入れ、哲也と大阪へ遠征する。
大阪へ到着した哲也・ダンチはブー大九郎本人と出会い彼に勝負を挑み、彼の圧倒的な早あがりに歯が立たず、2度敗北した。
文無しとなった哲也・ダンチは借金の肩代わりとして丁稚奉公の真似事をしてまで大九郎に再戦を挑む。
近藤との再会
ブー大九郎に勝利した哲也・ダンチは、新宿へ帰路する途中、国鉄ストの影響で帰りにくくなっていた。
その最中でとある議員の使いが、哲也・ダンチをその議員のもとに導いた。その議員は、かつて横須賀で米兵相手の博打を共闘した戦友・近藤だった。
彼は横須賀で哲也と別れてから様々な経緯のなかで国士無双をあがる型(フォーム)を身に付けた。
博打列車~ダンチの初恋
近藤と別れた哲也・ダンチは博打列車に乗車し帰路へ向かう中、ドテ子・クソ丸と出会う。
その後、ダンチはカン子と呼ばれる大学生と恋仲になっていた。ダンチは彼女がいることで麻雀でもツキまくっていた。
しかし、ダンチはだんだん半ツキに追い込まれていき、ある日カン子が男爵の令嬢で詐欺師であったことも発覚した。そしてダンチは…。
麻雀ビル
それを前後してダンチに借金を取り立てに来た信は、彼と哲也に借金を帳消しにする仕事を持ちかけてきた。
それは信の融資で建てた麻雀ビルの店長からの依頼で「店長の経営する麻雀ビルに巣食う玄人を追い出す」という内容だった。
玄人殺しの銭亀
麻雀ビルの一件から数日後、銭亀と呼ばれる刑事は、警察権力を傘に立てて玄人達からカツアゲ当然に巻き上げていた。
哲也は銭亀を刑事と知っておきながらも玄人の流儀を貫き勝利するが、刑務所行きとなる。
その後、新宿の玄人達は銭亀にその報いとして銭亀を陥れる策略を立て、作戦に成功し勝利を収める。
旅立ち
銭亀に追われながら更なる強さを求める哲也は金沢・魚津・佐渡島・弘前・津軽海峡・函館と回り、己の強さに磨きをかけ、新宿へと帰路をとる。
頂上決戦
新宿にかえってきた哲也にさらなる敵が現れる。
ドサ健と名乗る男性は新宿を自分の物にするため上野四天王を差し向ける。
四天王を倒した哲也は遂にドサ健と対決。新時代の頂点を決める闘いが始まった。
さらなる旅立ち
箱根・浜松・彦根・大阪・鳴門沖・高松・八幡・博多・武雄・長崎・大牟田・知覧へ渡り、己の限界を超える。
新宿への帰還と決戦
新宿へ戻った哲也はダンチと再会しダンチ新撰組と哲也との間でいざこざが起きてダンチ新撰組隊士黒土・白銀コンビとの戦い。
また、池袋の玄人バク、牌彫り師キバ、中、神保の葬式麻雀の最中あらわれた警視庁の菊川と海渡の戦い。
そして、全てはこの時の為に。哲也は遂にドサ健と最後の勝負に挑む。勝つのは哲也かドサ健か…。
登場人物
阿佐田哲也
房州
ダンチ
印南善一
ドサ健
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関連作品:勝負師伝説 哲也