歌人啄木、謎を詠む。
概要
石川啄木を探偵役、啄木の同郷の友人であった金田一京助をワトソン役に起用した連作ミステリー。全1巻。「高塔奇譚」「忍冬」「鳥人」「逢魔が刻」「魔窟の女」の5編を収録。
作者は伊井圭(1948年 - 2014年)。本書の第1話「高塔奇譚」で第3回創元推理短編賞を受賞しデビューし、本書が初の著書である(もっとも、伊井圭の著書は本書を含めて3冊しかないのだが……)。
東京創元社の単行本レーベルのひとつである創元クライム・クラブから1999年5月に刊行、2008年に創元推理文庫から文庫化され、2020年7月現在は文庫版が入手可能。
ライデンフィルム制作でテレビアニメ化された。2020年春アニメとしてTOKYOMX他にて放送。
下記する啄木と関わりのある文豪たちがアニメオリジナルのレギュラーおよびゲストキャラクターとして多数出演している他、原作が短編5話しかない(しかもそのうち1話はアニメ化されなかった)ため、アニメオリジナルエピソードのほか、江戸川乱歩の作品を下敷きにしたエピソードが追加されている。
作品内で扱われる事件は男女の情の縺れが絡んだ物が多いが、キャラデザを含めて多分に女性向けBL物としての要素を盛り込んだ内容となっている(OP映像の描写が顕著)。
OPは古川慎の「本日モ誠ニ晴天也」。
EDはNOW ON AIRの「ゴンドラの唄」。
こちらは大正期に吉井勇が作詞した歌謡曲のカバー。
登場人物
この作品では、金に困っていたところへ親友の金田一京助が殺人事件に巻き込まれた事をきっかけに探偵稼業を始めた、と言う事になっている。
詩歌の天才。京介からはその才覚から羨望の眼差しを向けられていた。
一方、酒と女にだらしなく、借金やツケで下宿先からもいつ叩き出されされてもおかしくないなど、金勘定が大いにズボラという残念な色男。
史実同様啄木に振り回される(特に金銭関係)が、あまり気にしていない。
生真面目で篤実、北海道にアイヌ文化の研究で渡った後らしく、既に世間では学者として認知されている。
度の過ぎたお人好しの巻き込まれ体質で、初心過ぎるせいで女性や色話が苦手。
啄木から人柄を好かれて一緒にいるが、同時に(特にこの歳まで童貞を拗らせていることを)よく揶揄われている。実は無自覚だが怒ると女言葉になってしまう。
アニメ版には他にも、啄木や金田一と出身地が同じである野村胡堂(CV:津田健次郎)や、同時代の文士である吉井勇(CV:斉藤壮馬)・若山牧水(CV:古川慎)・萩原朔太郎(CV:梅原裕一郎)、当時まだ高校生の芥川龍之介(CV:林幸矢)と少年時代の江戸川乱歩(CV:小野賢章)も登場する。森鴎外(CV:諏訪部順一)や夏目漱石(CV:三木眞一郎)などもゲストとして登場する。
(因みに声優でも、第六首(第6話)で、萩原朔太郎の孫にあたる映像作家、演出家、エッセイストの萩原朔美が出演した。)
関連動画
関連タグ
文豪とアルケミスト:文豪が題材である箇所、一部キャストが共通。テレビアニメも同時期に放送されている。