「何を賭けたんだ?」 「・・・お前さんの命さ」
概要
この作品は1965年にイタリアで公開された西部劇映画であり、いわゆるマカロニウエスタンと呼ばれる作品である。
原題はPer qualche dollaro in più(直訳すると「もう数ドルのために」)という。
この作品はセルジオ・レオーネ監督が演出スタイルを確立させ、巨匠と呼ばれることになった作品であり、同監督の作品の中ではドル箱3部作と呼ばれる作品群の一つ(荒野の用心棒、夕陽のガンマン、続・夕陽のガンマン)とされる。
あらすじ
賞金稼ぎのダグラス・モーティマー大佐はトゥーカムケアリで汽車を降りて賞金首を討ち取った。
また同じ頃には、ホワイトロックスという町でモンコと呼ばれる賞金稼ぎが賞金首を討ち取った。
そして、刑務所では極悪人のエル・インディオが手下の手引きで脱獄し自らを裏切った男を男の家族もろとも殺害、インディオが脱獄した後モーティマーとモンコがその手配書を見る。
かたや復讐のため、かたや賞金のためにエルパソへと向かった。
日本語吹替について
この作品には山田康雄がクリント・イーストウッド(モンコ)、納谷悟朗がリー・ヴァン・クリーフ(ダグラス・モーティマー)、小林清志がジャン・マリア・ヴォロンテ(エル・インディオ)を吹き替えた日曜洋画劇場版とソニーに権利が移ったあとのDVDで収録された山路和弘(クリント・イーストウッド)、有川博(リー・ヴァン・クリーフ)、谷口節(ジャン・マリア・ヴォロンテ)の新録吹替版が存在する。(日曜洋画劇場版吹替は2時間枠での再放送の短尺版をさらに短くしたものである)
2009年に発売された夕陽コレクターズbox(同監督の撮影した『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン』、『夕陽のギャングたち』収録)では、日曜洋画劇場での欠落シーン(テレビでの放映の場合、「2時間-コマーシャル-解説等の時間」となるため、10分以上カットされる模様)の新録を行い日本語吹替完声版が収録されたが、すでに故人であった山田康雄の代役としてイーストウッドの吹替は多田野曜平が担当した。
ちなみにこの二つの吹替はBlu-rayに収録されている。
登場人物
吹替は左が日曜洋画劇場版、右がDVD版。
モンコ(名無しの男)
本作の主役の一人。
銃の名手でありリボルバーで遠くから林檎の木に当てるほどである。
目的のために手段を選び、出来るだけ不必要な犠牲を避ける性格でありモーティマーの策でインディオに取り入り、エルパソの銀行襲撃の陽動の際に、偽情報を駐在所の電報うちにうたせても縄で縛るぐらいで済ませた。
役のコンセプトは若手のガンマンで、モーティマーに出し抜かれる事が多かったが、モーティマーとインディオの一騎打ちの際には、インディオが早撃ち勝負を好むのを利用してモーティマーのオルゴールを鳴らして仕切り直しをねらった。
同監督作品荒野の用心棒のジョー、続・夕陽のガンマンのブロンディとは別人である。(しかし、配給会社としてはこの3人は同一人物であると喧伝しており、ポンチョという共通点があるためセルジオ・レオーネもその考え方はなかったと言っていた)
ちなみに、海外では名無しの男として宣伝していたため名前が登場するシーンはカットされていた。
「モンコ」とはスペイン語で「片腕」「不具者」という意味で、劇中片腕しか使えないふりをしているが実際には両腕はちゃんとある。
なお、本来は「マンコ(Manco)」と発音するが、日本語でモンコになった理由はお察しください。
ダグラス・モーティマー大佐
本作の主役の一人。カロライナ出身で、元南軍の大佐である。
本人曰く、50年は賞金稼ぎをやっているベテランであり、ライフルや金庫を開けるためのの道具も携帯している。腕前もかなりのもので遠距離での正確な射撃はモンコを凌ぎ、作中の早撃ち勝負でも二度勝っている(その内の一人はインディオである)
また老練なだけあって策士でもあり、モンコをインディオの一味に潜伏させた。
インディオを狙っている理由は、自らの妹の復讐である。
映画歴史家のクリストファー・フレイミングは、今までリー・ヴァン・クリーフが西部劇でやってきた役の集大成であると語っている。
エル・インディオ
極悪人で刑務所送りにされていた男で、一味の助けを得て脱獄。
いつも、マリファナ煙草を吸っている。
彼の持っている懐中時計はオルゴールとなっていて、早撃ち勝負に用いる事が多い。
またモーティマーも同じ懐中時計を持っているがこれはそれぞれモーティマーの妹夫婦の形見であり、インディオは恐らく心底惚れ込んでいたであろうモーティマーの妹をレイプした後に、彼女が自分を拒絶して自殺したことがトラウマになっており、懐中時計を早撃ち勝負に使うのもそのトラウマの延長とも思われる。
エルパソの銀行襲撃後は、一味の一人のニーニョと手を組み奪った金全てを持ち逃げするためにモンコとモーティマーを逃すなど不可解な行動が目立った。
その他に、彼に関するシーンで死体を蜂の巣にするのが多く海外の検閲に引っかかるため蜂の巣シーンはカットされている。
グロッキー
インディオの一味の一人で一味内でも特に頭がきれ、インディオが金を持ち逃げすること見抜いていた。
しかし、建物から出たところをモーティマーに撃たれ瀕死となり勘定をしていたモンコを背後から撃とうとして逆に撃たれた。
その他
この作品はスペインで撮影されたが、この撮影のために造られた西部劇のセットは現存しており、現在では観光地になっているとされる。
この作品のパロディ、Per qualche dollaro in meno(1966年、直訳するとより少ないドルのために)が製作されている。
1968年に日本で公開された新・夕陽のガンマン/復讐の旅(Da uomo a uomo)という作品が存在するが、これは音楽(エンニオ・モリコーネ)と脚本の一部(ルチアーノ・ヴィンチェンツォーニ)と主役格(リー・ヴァン・クリーフ)などが同一であるだけで、邦題は日本側で勝手につけた題名であり、内容はこの作品および1967年に日本で公開された続・夕陽のガンマン/地獄の決斗(Il buono, il brutto, il cattivo)とは関係のない作品である。
日本で発売されているこの映画はすべてアメリカで上映されたバージョンであり、イタリアで上映されたもの(こちらのほうが2分短い)と内容が異なる点が存在する。
関連項目
マカロニウエスタン セルジオ・レオーネ クリント・イーストウッド