概要
押井守が監督したオリジナルアニメ映画『天使のたまご』において、きれいな水を汲み、大きなたまごを温めている少女(CV:兵藤まこ)の前に現れた、有機的な装甲のとても大きな主砲を持つ赤色の戦車で、何輛あるかは不明であるがかなりの台数が舞台の街に訪れている。
いずこからやってきたのかわからないこの戦車群は、車列を組んで石畳を移動しており、唯一車外に出ていた十字架のような武器を持つマントを身につけた搭乗者である少年(CV:根津甚八)が少女を見つけ、お互いに交流を持つことになるのだが…
性能
とても太く大きい主砲は、火薬式による大口径の砲ではない。
実は大部分をしめているのはカバーであり、内部にはコイルなどの電磁気力発生装置や冷却装置が詰まっているレールガンの一種であると、後に押井は定義している。
余談
- 様々なところで言われているとおり、この戦車は男性原理の象徴であると考えられている。この記事での名称は押井が自著『メカフィリア』において自称しているのみで、アニメーターらスタッフには、そのまま「チン○」や「チ○チ○戦車」などと身も蓋もない名で呼ばれていたのは押井自身も認めている。
- デザインは本作の美術設定の天野喜孝氏によるもので、この姿は押井の「甲冑に内臓を詰め込んだような」という指定による。なお当時は新人だったメカニックデザインの森木靖泰氏が設定画を起こした。
- 街の石畳の坂道で車列を組むシーンは、『ビューティフル・ドリーマー』における面堂の乗るレオパルト1のシーンと同様、小林七郎氏の協力によるレイアウトで演出されている。
- 意味ありげに出てきた割に、結局主砲を撃つことなくフェードアウトしてしまったので、押井と付き合いがある宮崎駿は(作劇上のカタルシスに欠けるため)、大砲を出すんだったらぶっ放せと怒ったという。
- 押井は終盤に舞い散る鳥の羽毛を、発射の暗喩であると反論しているが、わかりにくかったことも自覚しているようである。
- 押井にとっては思い入れがあったデザインのようで、実写映画『ガルム・ウォーズ』に陸のガルム「ブリガ」のスケリグが乗る戦車として、実物大のプロップを作成して登場させている。
- 作中ついに主砲をぶっ放した。
- 押井の知人の樋口真嗣氏ら映画監督を含めた創作者界隈で「パンツ理論」というものが語られており、完成映画に自身の性癖や男性原理ががどれだけさらけ出されているかを、「パンツを脱ぐ」と表現している。
- 押井の場合は「パンツを脱ぐと、そこあったのは作り物だった」と評されている。