曖昧さ回避
- 押井守作品に登場する虚構の象徴。※この項で解説
- ポストアポカリプスアニメ『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』の世界に伝わる、かつての文明が滅亡した原因であると目される存在の化石。その正体は最後まで明かされることは無かった。
- 亀井高秀作の少女漫画。
押井守作品
初出は未制作に終わった『幻の押井守版ルパン三世』で、今は亡き天才建築家が東京に残したバベルの塔のような建築物の最上階に安置されており、それをルパンたちが狙うという筋だったという。
しかし、ルパンの実在自体も虚構ではないかとする作劇にプロデューサー達が難色を示したために中止となってしまった。
その後、押井版ルパンの美術担当であった天野喜孝が美術を継続することにより製作された『天使のたまご』において、少女がいつか孵ると信じている「天使のたまご」の不確かな実存性を象徴する存在として登場した。
なおこの化石のモチーフは、フンボルト大学自然史博物館所蔵のベルリン標本と呼ばれる始祖鳥の化石である。
押井が35年越しに脚本に参加することで話題になった『ルパン三世PART6』第10話「ダーウィンの鳥」においては、『進化論』や『化石の真贋』を題材に話が進んでいく。
不二子がミハイルという謎の男から『始祖鳥の化石』の奪取を依頼されるが、次元は自分の性に合わないとしてこの案件から手を引き、残った不二子はルパンと共に依頼人の身元調査をしつつ、貯蔵庫に潜入する。そこで彼女達が見たものは…。
神山健治作品
神山健治監督作品である『サイボーグ009』の映画『RE:CYBORG』は、当初は押井が監督する予定であり、神山が気を利かせこの「天使の化石」をシナリオのメインに据えていた。
しかしそんなお膳立てに対し、押井自身は『天使のたまご』製作時にはまだ幼かった娘が成人して結婚したことが人生の節目となっており、さらに『イノセンス』の製作によって心身ともに不調となったこともあって、肉体の実感を重視するように心境が変化していた。
さらに作劇や3DCGに対するプロデューサー達との考えの違いが決定的になったことから、神山自身が完成させることになったという経緯がある。
この化石を見たものは、あるものの実在を実感して不思議な体験をすることになり…
なお、『サイボーグ009』は「天使編」や「神々との戦い編」といったサイボーグよりも強大な存在と戦う展開が続いており、いずれも原作者が長らく挑戦したかったテーマではあったものの中断しており、本編も完結を見ないまま原作者が逝去していた。
関連タグ
ルパン三世長編シリーズ RE:CYBORG ルパン三世PART6
- 成田亨:初期ウルトラシリーズの美術を担当した芸術家で、産業文明の行きついた果ての地球に残されたというイメージの「翼をもった人間の化石」という彫刻作品を製作した。
- 巨神兵:裁定者として旧文明によって製造された人造神。飛来する姿は天使を思わせ文明崩壊後は各地に化石が残る。
- 最後のシ者:渚カヲルは碇シンジとの出会いで石の天使と思わしきものに座っており、この天使は『貞本エヴァ』においても象徴的に用いられている。なお監督の庵野秀明は、『天使のたまご』にはアニメーターとして参加しており、『新世紀エヴァンゲリオン』を制作するにあたり押井に聖書や天使関連の資料を借り受けている。
- ソ・ラ・ノ・ヲ・ト:本編で登場したものは頭部が欠損している。
※2枚目以降参照