概要
アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』が公開される少し前から、『少年エース』にてキャラデザ原案の貞本義行がメディアミックスの一環として連載を開始した漫画。当然、月刊誌であの内容をアニメの放送期間中に収められるわけも無く、TV放映終了後も同誌の看板として掲載が続き、2009年に『ヤングエース』に移籍。完結したのはなんと2013年。単行本はチルドレンの年齢と同じ、全14巻。
比較的低年齢層向けで始まったのもあってか、序盤はコミカルな描写も多く、貞本氏によるキャラの掘り下げも多く行われており、最終回は原作「まごころを君に」の絶望的な終焉とは異なるものとなった。ある意味ではシン・エヴァンゲリオン劇場版を先取りしていると取れなくもない。
TV版との色々な差異
同じロボットアニメのコミカライズである『ゲッターロボサーガ』や冒険王版『機動戦士ガンダム』、『遊撃宇宙戦艦ナデシコ』等に比べればまだそこまででもないが、本作もTV版とは異なるシーンや設定が多々見受けられる。
本作の主人公碇シンジは、TV版エヴァに比べるとやや強気で辛辣。ノリツッコミをしたり原作でエヴァに乗るのを嫌がった場面では逆ギレして乗り込んだりと、少し古典的スーパー系主人公を思わせる要素がある(あくまで「ある」だけであり、物静かで空気が読める所はそんなに変わらない)。そのため、阿鼻叫喚を呼んだ旧劇場版の展開も若干『スーパーロボット大戦シリーズ』を思わせるドラマチックなものになっている。
主要人物である渚カヲル、碇ゲンドウの両名は旧エヴァと大きく設定が異なる。また、あくまでTV版と旧劇場版が原作なため、新劇場版に関しては全く触れられていない(書き下ろしではとあるキャラの過去らしきものが描かれているのだが、設定が異なるためリンクするとは限らない)。
また、サンダルフォン、マトリエル、イロウル、レリエルの4体の使徒はこちらには登場しない。
TV版との大きな違いとして鈴原トウジがバルディエル/EVA参号機諸共殲滅され、死亡してしまう(TV版では左足を失いながらも生存している)、アスカがシンジに対して最後まで恋愛感情を抱かず加持さん一筋、渚カヲルの性格がとてもやんちゃ(要約)でありシンジとはTV版とはまた違った関係性を築いている、などがある。
余談
TV版に存在しないオリジナル要素の1つとして、劇中でNHKの「ためしてガッテン(現ガッテン!)」らしき番組が放映されているシーンがある。
司会も明らかに年老いた立川志の輔師匠であり、1995年当時の氏と比べると一目瞭然。髪は真っ白になっており、現実の氏以上に年老いてしまっている。
立川志の輔は世界人類の半分が死滅したセカンドインパクトによる悲劇を生き延び、絶望感が漂うエヴァの世界でも国民の希望と健康の為にガッテンし続けていたのである。
(なお実際の「ためしてガッテン」も2015年になっても放映されていた長寿番組である)
また本作は最終巻の表紙の時点で結末の重大なネタバレが行われており、後の『シン・エヴァンゲリオン』で語られたエヴァシリーズの本当の歴史を見る限り、これも旧作や新劇場版とは違う形の「着地点」であることが明かされた。
関連項目
エヴァンゲリオン(当初はこのタイトルだった)
前歯全部折ってやる:本作でシンジが発したセリフ(コラではない)