概要
肥前(佐賀県・長崎県)などに伝わる怪火。読み仮名は「てんか」や「てんぴ」などがあり、また各地の伝承ごとに妖怪としての性質が違うともされる。
肥前では空から降りてくる火で、これが地に落ちると地上を転々としてどこに止まるか分からず、放っておくと人家に入り込んでその家を焼き尽くす、またはその家で病人が出るという。
対処法としては念仏を唱えながら追い回すか、雪駄で仰いで追い払えば天火は回転しながら逃げていき、人里の外の草むらにでも転がり込めばそのまま消えるという。
江戸時代の『筆のすさび』という古書には、天火に家を焼かれてしまったという肥後の人の話があり、「○○家の人が天火を雪駄で追い払ったら、天火が我が家に入って来て家を焼いた。つまり火事の原因は○○家だから新築の費用は○○家に払わせるように、お取り計らいをお願いします」という請願書の一文がある。本当かどうかはさておき、当時の暮らしの様子を窺い知れる面白い一文である。
愛知県では夜道を行く先が昼間のように明るくなるもののことを言い、岐阜県では夏の夕空を大きな音を立てながら飛ぶ怪火のことを言う。
創作における天火
水木しげる作品
- 妖怪画
水木しげるの妖怪画では細長い一つ目の青い火で、体に点描をふんだんに使った複雑な模様があり、飛んでいく天火を男たちが竹槍を持って追い回している。
アニメでは3期に登場。妖怪画に沿った容姿だが、着色の関係で一つ目が不明瞭になっている。いずれもチョイ役なので釣瓶火ほど目立った台詞はない。
35話では「炎の妖怪五人衆」の一員として、鬼太郎の赤舌退治に呼ばれた。
89話では釣瓶火や海月の火の玉らと共に抜け首に体を戻す役目に呼ばれ、高温を発する抜け首と同化して死んでしまう危険を伴いながらも釣瓶火と海月の火の玉を引き上げる命綱の役を成し遂げた。
劇場版の『最強妖怪軍団!日本上陸!!』では紙の精への対抗策として釣瓶火達と一緒に呼ばれる。
余談だが、35話や劇場版では読み仮名が「てんか」表記であるが、89話では釣瓶火から「てんび」と呼ばれている。
実は5期にも登場しているのだが、こちらはモブ妖怪扱いである。エンディングテーマの「妖怪横丁ゲゲゲ節」や劇場版の「日本爆裂!!」にも一瞬登場したり、5期アニメを元にしたニンテンドーDSのゲーム『妖怪大激戦』でもザコとして登場している。ちなみに目が二つある。ゲーム中の解説は「顔らしき物があるが、ぼんやりとハッキリとしないスガタをしているという。」というもので、伝承に基づいた妖怪の解説として成り立っていない(この妖怪に限った話ではないが)。当時ゲームを買った子供たちが勘違いしていないか心配である。
タグの注意
「天火」だけで検索すると、他作品のキャラ等がかかってしまうため、妖怪の天火を投稿する際はこのタグの使用をお願いします(完全一致検索でも防ぎきれないため)。