概要
小雨大豆の妖怪漫画「九十九の満月」及び前日譚「月歌の始まり」にて、特別な素材と上級の実力によって、新しい存在(つくもかみ)を生み出す技術。
これは九十九神(妖怪)の誕生過程「魂が何かの触媒に宿り生まれる存在」へ倣(なら)った高等技能。
「式神降ろし」に重要なのは、物に込められた思いと、良質の魂魄(こんぱく:作中において万物構成を成す一つであり、汎用性へ優れた架空の元素および活動力)を揃えること。この良質な触媒によって、術者が望む九十九神(妖怪)を作り出す。
また近似した術に「素材を基に特異な新作を制作」も登場する。
名称ゆれに「九十九神おろし」「神降ろし」がある。
必須要素
- 魂魄情報は、血や肉や骨など長い時間をかけて作られた肉体ほど多く宿っている。
- 年(ねん)は、それそのまま年(ねん)を経た物のことであり、年数が長ければ長いほど体の強い式神となる。百年以上の物を素材にできればなお良い。
- 思念は、最も思いの詰まった物であり。これは九十九神(妖怪)の能力や性格に大きな影響を与えるもの。
つまり最良素材は『大切にしてる物』『長い年月を経た古い物』を触媒に九十九神(妖怪)を作る。一度素材にすれば、もう二度と元には戻らない。
そして「式神降ろし」を実行する者。謂わば『新しい生命(ようかい)を生み出す』という高等技術から、式術を磨いた者、此れと同等の異能を持つ者でないと行えない。
想像の存在を創造
「式神降ろし」によって誕生した九十九神(妖怪)は固有の知性を持ち、特異な力や鬼技(おにわざ:超能力)を宿しやすい。
なお此の生命(ようかい)を正式には『補完式神(ほかんしきがみ)』と呼ぶ。
作中例
梅姉妹
登場作:九十九の満月
「式神降ろし」の初描写-正確には解説で判明-された実例。
おんでこ屋敷(空を飛ぶ巨大なお化け屋敷で、妖怪漫画「九十九の満月」の舞台)に高樹齢な梅の神木が入荷した折、これを素材として「式神降ろし」を試みた鶴の姉さんによって、梅姉妹の〈烏頭目木青梅(うずめぎ おうめ)〉〈観世春告(かんぜ はるつげ)〉が誕生した。
2人とも梅の要素がある小人みたな容姿をしており、姉妹の仲は悪いが、生みの親である鶴の姉さんを慕っている。
登場作:九十九の満月
二本の角が生えたトリケラトプスのような姿で、体は人の手乗り程な小ささと軽さ。背中には触媒(ベース)となった巻物と背負箪笥が一体化している。
黒美(くろみ)
登場作:月歌の始まり
白鬼(びゃくき)の学者・白沢(はくたく)が「式神降ろし」をして生み出した右腕。
黒い体色とお団子頭をした昆虫の妖精みたいな姿。第一印象は「蟻の御婆ちゃん」な感じだが、黒美(くろみ)の創造には「蜘蛛」を想像されており、糸の操作を得意としている。
そして要の素材に使われた物とは……。
二支ノ金棒
登場作:月歌の始まり
「式神降ろし」に近似した異能「素材を基に特異な新作を制作」によって鍛造された金棒。
詳細は【二支ノ金棒】を参照。
関連タグ
式神(九十九の満月) 式術(九十九の満月) 魂魄(九十九の満月)
ゴールド・エクスペリエンス(漫画:GIO☆GIO_黄金の風より)・・・触れた物体に生命力を注ぎ込み、そこから動物や植物といった生物を生み出す能力。汎用性に優れ、生み出した生き物へ命令を仕込んだり、応用で「部分的な体組織を他の物体から生み出す」など本稿の「式神降ろし(九十九の満月)」と近似する。