曖昧さ回避
本稿では1.について解説する。
概要
小雨大豆の妖怪漫画「九十九の満月」及び「月歌の始まり」に登場する、従属関係(式契約)を結んだ妖怪の事(また便宜にか、妖怪とは別に龍娘と式契約を結んだ鬼娘も〝式神〟と呼ばれる)。
式契約 (しきけいやく:妖怪などと従属契約を結ぶ事)には、魂魄(こんぱく:万物構成の一つであり、汎用性に優れた元素および活動力の一種)と命紋(みょうもん:己を示す紋章)が必要となる(命紋の種類については、九十九の満月・用語一覧を参照)。
大概の場面で式神とは、式術で一時だけ作る(生み出す)〝疑似的な妖怪〟〝姿形だけの即席妖怪〟を指す。
この場合の式神は本物の妖怪ではなく、その有用性から頻繫に登場する。例として移動手段や燃料(エネルギー)の貯蔵など一時的な道具のように使役・攻防や戦術への活用など多彩である。
疑似的な”生命“
作中世界では、妖怪に限らず生きとし生ける生物は全て「体」と「魂」で出来ている。
魂と妖怪の誕生経緯に関しては九十九神(九十九の満月)を参照。
式札などで作る式神(即席妖怪=疑似的な妖怪)は、術者の魂魄で「体」を作り、要となる「魂」の代わりに簡単な命令を書き込んだなんちゃって妖怪なのです!
だから「体」の元となった本物の妖怪は別の所にいるよ。また、これとは別に術者の精神・心根を具現化したような式神も登場する。
なので「魂」が入っていない式神は”生きている“と生物学上は言えず、厳密には「生き物」というより「機械」などの「物」に近い存在と言える。とはいえ、魂はなくとも術者を助けてくれる心強い仲間。
また、本物(オリジナル)を模した姿形および術者の心象を具現化した造形・作者のわっちゃいな作風から、奇々怪々な式神だったり、可愛らしい妖精みたいな式神だったり、本当に生きてる風な反応(リアクション)をする式神など、多彩な演出・創造がされている。
みなさんも式神を作った際には、愛情をもって接してあげてくださいね。
小雨「お掃除ロボットだって、生きていると思えば生きているんでしょう!しょう?」
因みに式札を媒体にせず式術師でなくとも、自身の鬼技(おにわざ:超能力)で直接自分の頭から式神を作る(生み出す)妖怪なども登場する。
種類
式神には3つの種類がある。それぞれに共通している事は、魂魄(こんぱく:万物構成の一つであり、汎用性に優れた元素および活動力の一種)が必要なこと。
共有式神(きょうゆうしきがみ)
雪鷹と紅(べに)などがやっているような魂魄を共有して従属関係を結ぶ。
奉納式神(ほうのうしきがみ)
札などに書かれた魂魄回路(こんぱくかいろ:汎用性の高いエネルギーを流す文字状の回路)に魂魄を注いで疑似的に妖怪を作り出す。ほとんどはこれ。
補完式神(ほかんしきがみ)
奉納式神を一つ上の段階で行い、ひとつの人格をもった妖怪を生み出す。ただしこれには魂魄だけでなく、素材や技術を必要とする。
余談
【その51】では、始め主人公一行への式神作りを拒否していた鶴の妖怪お姉さんが、とある出来事を経て式神作りの承諾とその仕組みについてご教授してくれる。
- 黄太「はーい。じゃがなんであんなに嫌がっとったのに、式神を作ってくれることになったんじゃー?」
- 鶴の妖怪お姉さん「まーそのなんだ。少し気が変わったというか…」
- 雪鷹「だめですよ。せっかく心を開いてくれたんですからそっとしてあげないと(にやけ顔のヒロイン)。」
- 鶴の妖怪お姉さん「お前が一番むかつく!」
- 雪鷹「やだもうてれちゃって」
- 鶴の妖怪お姉さん「つくるのやめるぞバカー!!」
このやり取り後、式神製作に必要な素材を選抜する際、上記の意趣返し含め鶴の妖怪お姉さんは雪鷹の天然ボケへ対する突っ込み・辛辣な言葉をかけている。