戦国万妖とは!?
それは最も陰陽術の研究が盛んであった平長時代。
天応の乱のおりに一人の天才陰陽師の手により、
万の術式と二つの国の人名とを材料に作られた【最強の人造妖】のことである。
その力はすさまじく。
天応の乱の大戦では、
50万以上の武士(もののふ)を討ち、
100万以上の式を屠り、
3体の軍神までをも倒したと言う。
だが、それらすべての口伝・論文よりも戦国万妖の強さを最も雄弁に物語っているのは―
富士の今の(大穴がぽっかり空いている)姿であると言うことは、言うまでもなかろう。
これが最高にして最強の人造妖―
戦国万妖である。
概要
「九十九の満月」の世界(以下、九十九世界)に登場する最強の人造妖。
上記にある通り、力強さの他に下記の様々な性能を持つチート妖怪である。
九十九世界では、人などに造られた妖怪を軍神(ぐんしん)と呼ばれる。
魂魄(こんぱく:汎用性の高いエネルギー)を元に一時だけ作る(生み出す)式神より高度長期的に具現化した「物」で、高度な技術と予算で造られた「戦術用」…つまり現実世界に例えるなら戦車や戦闘機などの兵器である。
この戦国万妖も軍神の分類に入り高度な自我を備えているが、製作は困難でとっても珍しい機体。
一度に海(水)用・陸上・空域の3種36姉妹造られた(全員女性!)。製造当時は、【軍神超越(ぐんしんちょうえつ) 戦国万妖(せんごくばんよう)】ともてはやされた。数百年前に数々の伝説を残した大妖怪との事で、九十九世界では姿は知らずとも名前だけなら知っているほど有名な存在。
だが戦争用に製造されたため、彼女たちが歩んできた人生は過酷なものだった…。
製造工程
最も陰陽術の研究が盛んであった平長(へいちょう)時代。天応の乱という大戦で一人の天才陰陽師の手により、万の術式と二つの国の人名とを材料に造られたのが600年前。一度に海(水)用・陸上・空域の3種36姉妹造られた軍神(ぐんしん:人などに造られた妖怪であり兵器)。この時、人格をもった妖怪を生み出す 補完式神(ほかんしきがみ) の技術(構成式)が使われている。そのためか、戦国万妖は他の妖怪などと式契約(しきけいやく:妖怪などと従属契約を結ぶ事)ができない。
軍神とは“妖怪”ではなく“物”という括りになっているが、人格をもった妖怪として生み出された人工生命体でもある。下記の身体構造から食事が出来るように造られ、九十九世界の妖怪【九十九神】と違って魂が持つ「生命の記憶=老いて死ぬ記憶」を持たないため、不老の存在(※不死ではない)。
【その1】から登場している違ネエ(600歳)は一桁台の生き残りで、その100年後に製造された戦国万妖が登場していることから、大量生産された軍神である模様。
だとすると、造る度に万の術式と二つの国の人命を材料が必要になるとしたら、とんでもない費用(コスト)が消費されている事になる…。
性能
つえー
打たれ強く、力は強くて怪力。姉妹によっては、状況に合わせて剣技に特化した形態などを持つ。首を飛ばされたりもがれても元に戻る高い再生能力があり、禍神 (まがつがみ:強い思いを持って死んだ生物が化けた異形の存在)の呪いや生物を死に至らしめる病などに耐性を持つ。
身体構造
膨大な魂魄(こんぱく:汎用性の高いエネルギー)のみで体を構成・内包されており、無形妖(体をある程度自在に変形出来る妖怪)以上に体を変形する(**どんな形にでもなれる**)事ができ、変化で体の一部や全身を別のものに化ける事ができる。化ける応用で、魂魄痕(こんぱくこん:体内にある魂魄の流れ?)さえ偽装出来る。
主魂体(魂の宿る"核")はなく、全てが本体として造られた軍神!
だが燃費は悪く、大きな傷が付くと修復は大変。全ての細胞が自分なので、普段は体の構造を旅館のように"分担"している。これにより細胞(体)の燃費を落とし、再生もしやすくするため、主魂体(しゅこんたい)を担う中央機関(セントラルキッチン)も設けているのだ!
食性
燃費の悪い身体構造を持つためか、戦国万妖の食事は、九十九世界にある「存在そのもの」を食べれるように造られている。
龍の娘「そ、そうですね///」
しかし食べるものに含まれる魂魄を取り込み過ぎると、「全てが自分で一人の自分」の自我が崩壊しかねないため非常に危険。魂魄を貯めこむ事に秀でる海(水)用戦国万妖は例外。
変化(へんげ)ぐせ
上記の身体構造は裏を返すと、いつも形を保つために気を張り続ける必要がある。この緊張を和らげるため戦国万妖達はある程度、変化の形(人型や小人状態など)をパターン化して記憶している。このため既に不要なはずなのに、人型形態で腕の羽根飾りなどがつい癖で現れてしまう。
【その69】で、違ネエが「別に変化(へんげ)ぐせがついちまっただけだ。」と言っていたのはこの事。
分身
「全てが自分で一人の自分」という身体構造のため、数人~大人数の分身を作れる。分身には種類があり、たいてい勝手に動く"独立型"がほとんど。これは簡単にできる代わりに、あまり複雑なことは出来ない。逆に高度な分身は” 並列処理型”と言われ、細かな動きができる分情報処理が大変。この2つの中間 (?)にあたる”適当分身”(超余裕☆)も作る事が出来、その精度は調整可能。また、分身が得た情報を共有できる。
大分身
上記の変化・分身パターンを応用して作る巨大な分身体。戦国万妖が独自に持つ従僕妖の事。これは形だけでなくある程度の思考や性格などを組み込むことにより、自分でいて自分ではない自分に忠実なもうひとつの自分を作っている。
【その40】で、大分身が「ここは任せてくれ」と張り切って戦い、小雨大豆の顔テロップで「一応分身です?」と言っていたのはこの事。
小雨「…わかる?」
大分身達「?×2」
小雨「ざっくり言うと最強ペットです!」
大分身達「我ら戦国マスコット×2」
マスコットだからか、小型の最強ペット(分身体)も登場している。
その暴れ振り
戦争用に製造された、最強の人造妖(チート)であるため、
- 禍神 (まがつがみ:強い思いを持って死んだ生物が化けた異形の存在)を相手にしても楽勝で勝利し、大質量の禍神でもたった一人で相手取る力強さ。
- ガキンと歯で刀を受け止め、ヒビを入れる
- 対無形妖向けに開発した鹵獲兵器(表皮だけでなく、妖怪の体を構成する妖質(ようしつ:汎用性の高いエネルギーを変化させた物質)ごと固定する武器)に捕まっても、煙に化けて(正確には粒子大(サイズ)まで体を分解して)回避する。ここまで細分化しても自我を保っていられる。
- 軍神(ぐんしん:人などに造られた妖怪であり兵器) さえも叩き切る一撃でさえ無傷でいなす。
- 大式神(しきがみ:従属関係を結んだ妖怪)や巨大軍神でも、人型や大分身で相手取る。
- 圧縮された空間に閉じ込められても生還する。
- 龍と真っ向勝負で渡り合える。
等々
このようにチート妖怪だが、呪いを感染させる禍神と長時間密着すれば、耐性があっても主魂体(魂の宿る"核")にまで浸食が及んでしまうなど、決して無敵ではない(その他詳細は、末路を参照)。
今なら戦国万妖を倒せるのは戦国万妖であり、他には龍ぐらいである…。
種類
海用
三種の中で最も魂魄(こんぱく:汎用性の高いエネルギー)を貯めこむ事が出来、海からの支援を行う"補給目的"の戦国万妖。その名の通り、丘で戦うことを想定して作られていない"海用"の存在。又は「水用戦国万妖」と言われる…たぶん。
陸戦
三種の中で最も強い戦国万妖。白兵戦を目的に作られ、暗技(あんぎ)という技を持つ。
空域
三種の中で最も素早さ(スピード)に特化し、いち早く情報を届ける事を目的に作られた戦国万妖。製造された当時は、情報を口で直接伝えるのが普通だった。武力よりも情報戦に秀(ひい)でるためか、頭がいい。
末路
元々短期決戦用に製造されたため、結局戦争でほとんどの姉妹は死亡。現在は3人だけが生き残っている。その主な死亡要因とは…
戦国万妖の共喰い
これは大昔の出来事。戦国万妖は、不定形(全てが自分で、一人の自分の身体構造)ゆえ精神の消耗が激しく、誕生当時は精神崩壊からよく同士討ち(共喰い)が起きた。この出来事から"戦国万妖の共喰い"という言葉が生まれた。現在生き残っている戦国万妖は、精神が安定しているので心配無用。
軍神うしとら
戦国万妖に対抗するために作られた現人神(あらひとがみ)。うしとらは、36体(姉妹)の戦国万妖に対抗するために作られた至高の1体。この軍神 対 とある戦国万妖が繰り広げた闘いは九十九世界の有名な武勇伝となっている。
主魂体のみ
何らかの大体的な攻撃を受けるなどして、主魂体(魂の宿る"核")のみとなった状態。この時は本来の実力が発揮出来ず、再生力も落ちて治りが遅くなる。さらに傷(ダメージ)が蓄積すれば、さらに弱まり死んでしまう恐れもある。完全に元の状態へ回復するには何年もかかる。
なーに600年も生きてりゃ色々あるわな。
まあでも、なつかしいなあ。あいつら元気にしてるかねぇ…。
余談
- 【その12】で、web版では「戦国万妖は補完式神だから~」となっているが、単行本2巻だと「戦国万妖は完全補完式神だから~」に変更されている。
- 【その15】では、開発当時の彼女達なのか大勢の戦国万妖達の姿が確認できる(単行本3巻だと、この場面は新しく描き下ろしされている)。着ている服は姉妹達で相談して作った礼装らしく、現在生き残っている戦国万妖はこれを大変気に入っている。関連サイト「ななしのや本舗」のコメントにて、作者は軍服を意識して威圧感があるデザインにしたとの事。
- 【その20】で「水用の戦国万妖」となっているが、【その125】だと「海用の戦国万妖」に変更されている。本作では、このような名称の変更はよくある事。
- 【その69】の戦国万妖に関する会話で、「きのえ」という名前が登場している。この名前は他の戦国万妖なのか、縁(ゆかり)のある誰かの名前なのか不明。
因みに【その15】で、とある妖怪の回想で服に「乙」の字がある人影を確認できる(単行本3巻だと新しく描き下ろしされて確認できない)。関連サイト「ななしのや本舗」のコメントにて、「乙(きのと)」と書いて「きのえ」と読むらしいが…。
- 製造時に国家級(クラス)の【人命=生物の思い】が使われているからか、禍神 (まがつがみ:強い思いを持って死んだ生物が化けた異形の存在)の分類にも入る模様。
最強の妖怪「へー。じゃあ私達も禍神なんだなー。」
最速の妖怪「広義のはんいではね…。」
関連タグ
禍神・・・死んだ生物の思いが形になり、体を自由に変化出来るが、本能のままに行動する。