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影とりプロジェクター

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かげとりぷろじぇくたー

藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。およびそのひみつ道具が初めて登場したエピソード。

概要(道具)

初出はてんとう虫コミックス第19巻に収録「影とりプロジェクター」。

この機械で人の影を撮影し、壁に投影することで、その影の人物が今何をしているかを影絵で見ることができる。この道具を使っている間、対象者の影は機械に吸い込まれているため地面などには映らない。

ドラえもん世界においてもたびたび名前が挙がっており、何度かカメオ出演もしていた人気アイドルにしてかつてのパーマン3号であった星野スミレが本格的に登場したエピソードでもある。

概要(エピソード)

きっかけ

冒頭、のび太しずちゃんに「大ニュース!!」と駆け寄っていく。手には何かの雑誌。そのニュースとは、「星野スミレがついに結婚宣言」というものであった。

「えっ!?」「誰と!?」と驚くしずちゃんとその友だち。のび太は「聞いて驚くな」と言いながら、手にしていた雑誌「週刊名月」を掲げて、「男性歌手ナンバーワンの郷ヒデキだ!!」とドヤ顔をする。

しずちゃんはそれに対し、「ヒデキとは別れたはずだけど」と一歩先の情報を伝える。のび太の手にしていたのは、去年の週刊誌なのであった。

しずちゃんたちは、「スミレは沢田五郎と仲がいい」、「違うのよある青年実業家よ」と、噂話に花を咲かす。

そこに、訳知り顔をしたスネ夫が現れる。パパの知り合いがテレビ局の社長だったり芸能関係者だったりするスネ夫は、こうしたゴシップ情報に対して耳が早いという自負がある。

今回も、「みんな違うね」と噂話を真っ向否定し、「本当のところ星野スミレの恋人というのは謎なんだ」と知った風なことを言い出す。そして自分のコネを生かした情報をエサにしずちゃんたちの興味を引き付ける。

「漏らしちゃいけない具合の悪い話もある」などと言い出しながら歩き出すと、のび太に対しては「口が軽いから」と言って同行を拒否。のび太は、盛り上がる女子たちを背にし、トボトボと家へと帰っていく。

帰宅したのび太は、その悔しさのあまり、ドラえもんに対して

「星野スミレの秘密を探る道具出して!!」

などと無茶苦茶なお願いをする。

それを聞いたドラえもんは、ムッとして「そんなくだらない目的に使う道具はない!!」と一蹴。ところが、のび太が「スミレちゃんの悪い噂が気になって・・」と口にすると、ドラえもんの目つきが変わる。そして、

「僕の大好きなスミレちゃんに、許せない!!」

と、取り乱す。

調査

そこでドラえもんが取り出したのが「影とりプロジェクター」であった。

ママで影とりの実験をした後、星野スミレの影を求めてタケコプターで飛び立つドラえもんとのび太。公園でドラマか映画のロケ撮影をしているスミレを発見。さっそく空から「影とりプロジェクター」で写真をとる。

ここから、スミレの超多忙な一日が影の動きで表現されていく。

ロケが終わり車で移動→新曲発表の記者会見(歌付き)→車で移動→週刊誌のグラビア撮影(水着写真)→昼ご飯(大急ぎでラーメン)→テレビ局で「ベストヒットソング」録画→...

この予定びっちりの忙しさでは、デートなどまず無理。もしこの後デートをするならば夜中だろうとあたりを付けて、のび太たちは一旦プロジェクターから離れる。

顛末

そんな中、夜遅くになってから帰宅したスミレが何かに怯える姿を目にする。

胸騒ぎを覚えてスミレの自宅(これ以前の「オールマイティパス」の件で住所を知っていた)に向かうと、リビングでスミレの前に座っていたのは彼女の恋人と嘯く二枚目スターの落目ドジ郎。ゴシップが流されていたのは彼の仕業だったのだ。

こんな所業に及んだ理由は、自分と結婚しないことに苛立ったためであったという。

「来週には前から結婚していたという記事を出す」「このままだともっと酷い噂を流す」と迫るなどの卑劣な行動を見かねたドラえもん達が影とりプロジェクターを使いオオカミの影絵で彼を驚かせる。肝っ玉を潰した落目は脇目もふらず逃げ出していった。

スミレはドラえもん達に少し話がしたいと部屋に入るように誘う。

「疲れているのに悪いよ」と渋る彼らに「つかれてるからお話ししたいのよ」とほほ笑んだ。

そしてスミレが彼らに自身の秘密を打ち明け、ドラえもんとのび太のモノローグとして内容をぼかす形でこの回は幕を閉じた。

星野スミレはぼくたちにだけ秘密を話してくれました。

遠い遠い国にいる、好きな人のことを。

でもそれをここに書くわけにはいきません。ごめんね。

余談

  • 連載当時の(今も?)アイドルたちは、それぞれ誰と誰が付き合っているだの、別れただのと色々なゴシップが流されていた。そうしたアイドル最盛期の雰囲気が詰め込まれたエピソードであると言える。
    • 冒頭のシーンからして当時の芸能関連の雑誌・タレントの名前をひねったものが出ており、のび太が手にしている「週刊名月」は、集英社から発行されていた芸能雑誌「週刊明星」のもじり。のび太たちが名前を出している芸能人のうち、郷ヒデキは郷ひろみ西城秀樹、沢田五郎は沢田研二野口五郎から取られている。
  • 同じくスミレが登場する後の「めだちライトで人気者」でも、落目による嫌がらせ自体はなくなったものの、ゴシップは未だに尾を引き続けていた。しかもこのときスミレにつきまとっていた芸能レポーターは、逃げられないようにするためにスミレの車のキーを奪うなど、落目と同等の悪辣な人物だった。なぜ彼女の周りにはクズばかりが集まってくるのだろうか。
    • 流石にあんまりな行動に怒ったのび太はレポーターにめだちライトを浴びせ、レポーターは周りにできた人だかりに質問攻めにされる。相手の事情も考えず質問攻めにしてきた男が逆に質問攻めにされるという因果応報な末路を辿った。
    • なおこのレポーターも、その風貌や言い回しから、モデルは元祖芸能レポーターの梨元勝だと思われる。実際、突撃インタビューでズバズバ切り込んでいく姿は、カタルシスを生みつつ、やり過ぎだという反応もあった。
  • このエピソードのラストカットでは向かって左にのび太、真ん中にドラえもんが座る形になるのだが、ドラえもんはアングルと足の短さの関係で椅子にふんぞり返るように見えてしまい、よくコラ画像に使われてしまっている。
  • 2016年に公開されたアニメ版「星野スミレの秘密の恋」では落目に迫られる場面で恐怖から思わずロケットを握りしめるというパーマンファンならニヤリと出来るシーンが追加された。
  • 実はドラえもんの世界では(おそらく)子供向けテレビ番組としてパーマンが放映されている。完全な地続きの世界線ではなく、パラレルワールドか何かなのだろうか。
  • アニメ版の該当エピソードにおけるスミレの声優は1980年版がドラミと同じよこざわけい子氏、2016年版が松井菜桜子氏。松井氏はこれ以前の回でもスミレの声を担当している。
  • 落目を担当したのは1980年版が井上和彦氏、2016年版が勝杏里氏。井上氏は藤子作品では21エモンを演じたことがある。

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