概要
長野県諏訪地域で催される式年祭。
諏訪大社境内に祀られる「御柱」を諏訪地域各地の山中から切り出し氏子一同により曳行し建て替える。いつから行われているかは定かではないが、室町時代の「諏訪大明神画詞(すわだいみょうじんえことば)」に桓武天皇の時代に「寅・申の干支に当社造営あり」と記されているのが現在分かっている最初の記録である。起源はさらにさかのぼり縄文時代からだという説もある。
数え年の7年目ごと(満6年ごと)の寅年と申年に催行され、次回は2028年(令和10年)の予定。
祭りの流れ
諏訪大社には4つの宮(上社前宮、上社後宮、下社春宮、下社秋宮)があるため、それぞれ4本、計16本の御柱を据えることになるが、一斉に16本が動く訳ではなく、祭りは2ヶ月間、大きく以下の4期間に分けられて行われる。
- 上社2宮に据えられる8本の切り出し及び里に安置するまでの曳行を行う上社山出し
- 安置所から曳行し、上社2宮に御柱を建てる上社里曳き
- 下社2宮に据えられる8本の切り出し及び里に安置するまでの曳行を行う下社山出し
- 安置所から曳行し、下社2宮に御柱を建てる下社里曳き
そ山出しは4月、里曳きは5月にそれぞれ行われる。
このうち、下社山出しの途中で傾斜約30度以上の木落し坂より御柱を落とす「木落し」が祭りのクライマックスであると同時に最も危険な行事である。落とす御柱に触れることで福がもたらされるという伝承から柱に飛びつくなどして死傷者が出ることも珍しくない。
上社山出しでも、傾斜は若干緩いが別の木落し坂がある上、御柱を清めるという目的で河を直接渡る「川越し」がある。こちらの木落しも危険であることには変わりなく、また4月と時期が早いため、川越し中に氏子が溺れる事態もあるという。
なお、下諏訪町にある「おんばしら館よいさ」にてシミュレーションによる木落しの模擬体験ができる。
上社・下社双方で、フィナーレにあたる「建御柱」が行われる。1998年(平成10年)には長野オリンピック開会式でも行われた。
木を建てると言っても重機は一切使わず、全て人力で行う。この際氏子が乗ったまま建てていく行くが、こちらも危険な行事であり転落するなどしてほぼ毎回のように死傷者がでている。
祭りの所々で地元消防団によるラッパ演奏や木遣り(神様へのお願いの歌のようなもの)が行われる。
小宮祭
御柱開催年では大社御柱祭の前後に全国の諏訪神社や関連神社でも同様の祭=小宮祭が実施され、大半は各地域にある神社や道祖神を中心に地元住民で行うが、中には企業や学校などが主催して行われる小宮祭もある。
また、諏訪地方では9月中旬から下旬にかけて諏訪大社に次ぐ規模の御柱祭が各地で行われ、
御神渡りの神事を司ることで知られる八剱神社、高張提灯を照らしながら豪快な石段曳き上げが最大の見せ場となっている手長神社、御柱を最大斜度四十度以上、約100mの急坂を一斉に曳き上げて所要時間を競う足長神社の他、
さらに大社御柱祭の翌年(卯年と酉年)になると小野神社(信濃国二之宮、塩尻市北小野地区)と矢彦神社(上伊那郡辰野町小野地区)の御柱祭があり、諏訪大社の勇壮さとは別にきらびやかな衣装が特徴で「人を見たけりゃ諏訪御柱、綺羅を見たけりゃ小野御柱」ともいわれている。
関連事項。
東方project中、東方風神録、及びその登場人物八坂神奈子・洩矢諏訪子に関連が深いため、よくその作品のタグにも用いられる。詳しくは各項を参照。