火星士の一員であり、そのボスであるマルスの長女として生まれ育ったソニアであるが、異母弟であるオリオン座のエデンが産まれて以降の彼女の人生は悲劇的なものであった。
弟であるエデンには慕われたものの、両親の関心はエデンにばかり向き特に継母のメディアからの扱いは酷く、まだ彼女が幼いときに白銀聖闘士である南十字星座の一摩を殺害するという、下手をすれば自分も死んでいたかもしれない任務を押し付けられ、敵である一摩に優しくされたにもかかわらず彼を殺害して後戻りが出来なくなってしまう。
彼女のたった一つの支えはエデンが産まれたばかりの頃の幸せな一瞬の家族の思い出のみであった。
その後は両親の指示のままに手を汚し続け、かつては自分を親の仇と狙っていた蒼摩から「両親には愛されていない」と指摘された現実(彼女自身内心では自覚していた模様)も、彼に差し伸べられた救いの手も拒んだ。そして精神の不安定さから小宇宙が乱れ、必殺技発動時に蠍座の黄金聖衣が体から外れて、自らの炎で致命傷を負ってしまう。
今際の際に彼女は蒼摩を父・マルスと思い込んで「お願い、側にいて」と縋り、蒼摩に手を取ってもらったのを幻の父に愛を注いでもらったと思い込み「よかった、ひとりはこわいから」とまるで幼い子のように甘えてその生涯を閉じた。
この際、彼女の声を演じる久川綾が普段の強気で尊大な口調のソニアより幼い調子の演技をしており、今までの彼女が虚勢を張って生きてきたことが際立っている。
かつて自身が殺害した一摩の聖衣石を持っていたことについても、自身が殺してしまった相手でありながら父性愛をくれた相手としてある意味縋っていた可能性を蒼摩に指摘されている。
両親の愛を渇望しながら自分を不幸に追い込んでしまったともいえる彼女の末路にショックを受けた視聴者は多く、このタグがつけられたイラストが次々アップされた。
なお、彼女が溺愛しながらも「親の理想の枠」に収まることを押し付けていた相手でもあった弟のエデンは一時期へタレながらも自分の意思で親との決別を選んでおり、ソニアの弱さが際立つ結果となっている。
また45話のマルスがルードヴィグだった頃の回想で、かつてはピアノをたしなみ実両親の愛に包まれ何不自由なく暮らしていた無邪気なお嬢様育ちの少女であったこと、彼女の悲劇がミーシャを喪った理不尽を受け止めきれなかった父ルードヴィグの暴走により始まっていたことが判明、戦士として強気に振る舞っていた彼女の有り様が偽りのものであったことがさらに明白となった。
聖衣(黄金聖闘士)としての蠍座の扱い*
上記の通り本項ではソニアの悲劇で隠れてしまっているが、蠍座の聖衣に関しては従来の黄金聖闘士の強さを全く発揮できず、戦闘終了となったためネタキャラとは言えそれなりの強さを見せて華々しく散っていった蟹座よりも扱いが悪いと言う意見も出ている。本作では(価値的な)『蠍座の黄金聖闘士』の扱いも文字通り悲劇的である。
もっとも、黄金聖闘士への任命も急なものであり、上記のような彼女の背景もあって、一概には判断のできないところである。
余談だが、蠍座のアンタレスの名前は、「アンチ・アレス」という意味を込めてつけられたものであるが、ギリシア神話のアレスはローマ神話のマルスと同一視される。
ソニアが背負った、火星に反するものという意を持つ名は、最期までマルスと分かり合えなかった未来を暗示していたのだろうか。
その他
この悲劇的な脚本を担当したのは横手美智子。彼女は「家族の絆とその大切さ」を描くことに定評があり、スーパー戦隊シリーズの『魔法戦隊マジレンジャー』でそれが前面に押し出されている。今回の一連に関しては敵側の家族を重点としており、それが最終的に“例え両親が悪だと分かっていたとしても、かけがえの無い家族であり裏切ることは出来ない”と、救われない結末を迎えなければならないという結論を出したと言えよう。
関連タグ
ソニア(聖闘士星矢Ω) 独りぼっちは、寂しいもんな メディアを殴り隊 みんなのトラウマ
水瓶座ショック:同作品における急造黄金聖闘士にまつわるショックつながり。こちらは着用者の時貞の未熟ぶりや*、*敗北後に刻闘士に鞍替えした際に自分の未熟さを棚上げして貶して先代水瓶座の弟子の逆鱗に触れ制裁を喰らった顛末からファンからはおおむね総スカンを喰らっている。