聖衣石と新聖衣
原作漫画およびアニメ版の聖闘士星矢やその関連作品に登場するプロテクター「聖衣」は、従来では原寸大のままオブジェ形態に合体させ、大きな聖衣箱(パンドラボックス)に収納してそれを背負うことで持ち運びを可能にしていた。
黄金聖衣に限っては聖衣箱に入れて持ち運ばなくとも「持ち主の黄金聖闘士がその場に召喚する」「星矢たち青銅聖闘士が危機に陥った際に自力で飛んでいく」等の現象が見られたが、青銅聖衣や白銀聖衣にはそういった機能は無いため移動時は常に持ち運ばなくてはならず、偶々持っていない時に戦闘になり危機に陥ることもあった。
アニメ版の次世代が描かれる聖闘士星矢Ωではこの設定が一新され、聖衣はこの宝石状をしたアイテムから召喚して装着する。
召喚時に各自の守護星座と地球のイメージが現れる。ただしオブジェ形態への合体ギミックが完全に無くなった訳でもないらしく、19話で天秤座、38話で水瓶座の黄金聖衣のオブジェ形態が登場している。
隕石によってもたらされた宇宙の物質と融合したことにより聖衣の材質も変化を遂げたらしく、シンプルかつボディスーツ状の薄い形状になり、布状のひらひらした装飾やもふもふ状のマフラーパーツがついていたりもするが、これもスタッフ曰く未知の金属らしい。
また膝や胸元などには聖衣石に似た宝石状のパーツがついており、発光することもある。
薄いように見えるパーツでも一応は金属であるため、ダメージを受けるとひび割れができる。
壊れた聖衣の修復については龍峰がミケーネに割られた盾が自力では治っていないことから、従来通り自己修復能力には限界がある模様。
修復は従来通りジャミールの一族の修復師が請け負うようであるが、前作での存命修復師がムウのみであったのと同様、本作時点でも修復作業が可能なのは貴鬼ただ1人となっている。
(ちょっとしたひび割れを修繕する程度の簡易的な修復であれば彼の弟子の羅喜でも可能ではあるが。)
召喚時は「○○クロス!」とコールすると、各星座のイメージが現れ、パーツ毎に具現化して装着される。従来は小宇宙を十分燃やせていなくても装着自体は可能(ただし重く感じられる)だったが、本システムではある程度小宇宙を燃やしていないと装着そのものが不可能なようである。
直接発声せずとも、所有者の何らかの強い想いや小宇宙の高まりに呼応させる形で召喚でき、その際には聖衣石が発光する。
使用者の小宇宙が燃やせていないと聖衣石が全くの無反応で装着できず、体調的な問題等で小宇宙の燃焼が十分に出来ないときはパーツが半透明状の不完全な状態で具現化し、途中で崩壊したり消えたりすることもある。
なお、装着後も小宇宙の燃焼が不十分だと従来通り聖衣が重くなる。
また、一部のパーツのみを召喚し着用することも可能。
26話で一摩が敵に倒された際、装着されていた聖衣が彼の死亡後暫くして自動的に聖衣石の状態へと戻っていることから、装着者の死亡に伴い自動的に装着形態が解除されるようである。
40話では南十字星座の聖衣石がソニアによって握り砕かれているため、聖衣石ごと破壊することも可能なようである。(この状態からジャミール系の修復師が修復可能かは不明。)
聖衣石の形状は所持している者ごとに違い、ペンダントだったり指輪だったりと様々である。
属性
聖衣石へのシステム変更に伴い、聖闘士は新たな力「属性」を得た。
「光」「闇」「水」「風」「火」「土」「雷」などの7属性のうちいずれかを宿すことになる。
自然属性の5属性は、風>雷>土>水>火>風の順に相性による有利不利が存在するが、ベースとなる小宇宙の力の差でこれらを逆転することも十分可能。
属性が何で決まるのかは不明だが、師弟であっても属性が違うというケースもありえる。
(師シャイナの雷に対して光牙は光(潜在的には闇)、師パブリーンの水に対してユナは風など。)
また、血縁と属性の関係は不明だが一摩・蒼摩父子は同じ火属性である。また2つの属性を持つ者は希有であるらしく、現時点では光牙やソニア、アモールなどが確認されているのみである。
光属性と闇属性は属性自体による有利不利はなく、個人の力量の差がそのまま反映される。
また光属性は希少な存在であるらしく、神である城戸沙織の他に確認されているのは聖闘士ではペガサス星矢、光牙といった特異的な存在のみである。
また聖闘士ではない一般人(?)でも、アリアが何故か強力な光の属性を持っている。(この謎は終盤で明かされることとなった。)
対して闇属性はもっぱら火星士サイドの面々が持っているが、聖闘士サイドでは光牙が本来は闇の属性であったことが27話で明かされた。
属性の技では、従来の技にそれぞれの属性に応じた火炎や水流などを加えたり、属性に応じた物体から武器や道具を生成して使うことも可能。
属性技は体力の消耗が従来の小宇宙による技よりも比較的少ないことが、病弱な龍峰の技の使い方によりほのめかされている。
聖衣石や新型聖衣は新たな力である属性を引き出すための触媒となっている模様で、パライストラでは属性の実習中に片腕パーツのみ聖衣を装着させることがよく行われている。
聖衣を全く着装せずに生身で属性を使用することも可能ではあるが、龍峰やエデンのような上級者でなければ無理のようである。なおその際には聖衣石が発光する。
各キャラクターの属性
風 | ユナ、ダリ、ヨハン、瞬、イオニア、ミラポロス、パラドクス、ディアーナ |
雷 | シャイナ、エデン、ミケーネ、ハービンジャー |
土 | 栄斗、フック、ミゲル、小町、ミルファク、ミケランジェロ、バルチウス、貴鬼、ロムルス |
水 | スピア、龍峰、アルゴ、ギュネイ、アルネ、パブリーン、玄武、メンカル、アモール、氷河、シラー、ソレント、ポセイドン(ジュリアン・ソロ) |
火 | 蒼摩、一摩、ドーレ、バイエル、フドウ、ウェルカーヌス |
光 | 星矢、光牙、アリア、城戸沙織 |
闇 | 火星士のほとんど、光牙、アモール |
聖衣石システムへの変更
12話でアンドロメダ瞬が語ったところによると、以前に勃発したマルスの軍勢との戦いで小宇宙の激しい高まりに巨大隕石が呼応し、戦場に落下してきたことがきっかけとなり、従来の聖衣と宇宙の力の融合が発生したらしい。形状の変化のみならず、属性もこの時に付与されたという。
さらに45話のマルスの回想により、この隕石の正体はメディアが闇の遺跡で儀式を行い宇宙の果てから呼び出した「闇の力」であり、さらには終盤でそれがアプスの力の一端であったことが判明した。その強大な闇の力は周辺の街をも破壊するほどの凄まじさであったため、城戸沙織が自身の力とイージスにより必死に防御することで被害の拡大を食い止めており、その際に放出された光の小宇宙もシステム変更と属性付与に影響していたようである。
つまりアプスとアテナの光と闇が中和された結果の産物といえる。
ただし、この隕石の力から恩恵を受けたのはアテナ軍サイドだけではなく、マルス側もプロテクターがバージョンアップしており、上記の決戦の暫く後に起こった再度の対マルス戦では、銀河衣と属性の力を得て強化されたマルスの猛攻により青銅一軍の戦力が実質ほぼ失われる程の損害を生じることとなった。
二期においての青銅聖衣変更
二期(新生聖衣編)においては、メインキャラクター6人が纏う青銅聖衣]]のオブジェ形態と聖衣箱が復活した。
52話では天馬星座の新生聖衣が、光牙により聖衣石が砕かれるような描写の後にオブジェ形態で出現しており、こうした形で新生した聖衣は旧作のものに似た聖衣箱で運ばれることになる。(このため、聖衣石と比べると持ち運びの利便性は下がってしまったものの、聖衣そのものの強度は三級パラサイトの攻撃程度では傷ひとつ付かない程に向上している。)
他にもアンドロメダ座の聖衣が自己進化の形で天馬星座と同様の進化を果たしているが、鷲座聖衣、仔獅子座、龍星座の聖衣は自力のみの進化ではなく貴鬼の修理と装着者の意志により新たな形を得ている。
作中におけるこのような変化の理由は不明であるが、一期で死亡した聖闘士らの聖衣石はそのままの状態で聖域内にある専用の場所に保管されており、星矢の射手座の聖衣もそのままであるため、何らかの手間を加えない限りは聖衣石による聖衣のままである模様。
また修理で聖衣石の形から脱してオブジェ形態になってもある程度以上の小宇宙の燃焼がないと着用自体が出来ず、装着者に心の迷いがあると聖衣が反応しない場合もある。また宝石状のパーツがあしらわれており、パーツがやや多めになっている。
このように聖衣石時代の要素がかなり引き継がれており、元の聖衣に戻ったのではなく聖衣石版聖衣のバージョンアップ版と言えよう。
なお、バンダイから2013年秋に「聖闘士聖衣神話(セイントクロスマイス)」シリーズでこの二期聖衣の光牙・エデンが発売され、ユナが参考展示品として発表されている。
備考
聖衣石システムによる聖衣が薄い素材感となっているのは、「聖闘士星矢ぴあ」でのスタッフの発言によると、制作上の理由としてはアクション重視で絵を動かしやすくするためとのことである。
pixivでは聖衣石を模したハンドクラフト作品の写真が何点かアップされている。
余談(LegendofSanctuaryのネタバレを含む)
劇場版聖闘士星矢LegendofSanctuaryにおいては、聖衣はドッグタグのような形状になっており、それを投げつけることによって聖衣箱が展開し中からオブジェ状態の聖衣が飛び出す、というΩの一期二期の中間のような設定がされている。
本作の製作開始は上映の6年前(2008年前後)と公表されており、2012年〜2014年放映の「Ω」よりもこの設定が先であった可能性はあるが、両作は直接繋がらない世界であり製作チームも別であるため、関連のほどは不明である。
関連イラスト
関連タグ
シンフォギア 宝石状の物質から召喚する鎧という共通点がある。