概要
名前の語源はpalaestra(古代ギリシアのレスリング学校)と思われる。
『聖闘士星矢Ω』の世界において青銅聖闘士達を訓練する学校のような施設で、丸い島にモンサンミッシェルを思わせる造りのヨーロッパ風の建物を有する構造になっている。
授業の一つとして本作オリジナル設定として加わった「属性」を使いこなせるよう学ぶシーンがあり、座学と実技の双方から生徒を教育している。
原作及び旧作アニメでは聖闘士の育成は黄金聖闘士・白銀聖闘士などの上級聖闘士もしくは元聖闘士の元へ住み込みの形で弟子入りをし、個別指導を受けるのがならわしであった(教皇であるシオンに指導を受けたムウの例もある)。
しかし本作開始時点では黄金聖闘士もわずか2名しかいないなど人材の払底が深刻化しており、コレを解消する為の次期聖闘士の育成が目的であるとされる。
※聖域はハーデス編開始時点で指導者である教皇がおらず、本来主力を務める白銀聖闘士もサガの乱で大半が死亡し、邪武ら二軍の青銅聖闘士と雑兵が防衛の主戦力となっている有様であった。
ハーデス編終盤で黄金聖闘士も全滅してしまい、熟練の聖闘士が激減したことで後進の育成すら儘ならない状態であったと思われる。
聖闘士学園
初期設定の仮名称が「聖闘士学園」であったとおり、教室だけでなく学食や制服にプラネタリウムや実習を行う部屋、更には闘技場に図書室や医務室まであるなど正に聖闘士の学園である。
制服は立襟のジャケットに男女色違いのラインが入り、女子はミニスカにニーハイ。
また実習の時の体操着的なTシャツもある。
全寮制であるが、春休み等長期休暇には帰省していいことになっている。
学業や実習などだけではなく、たまに上からの指示で調査などの聖闘士の仕事での出張などもあり、これが蒼摩と光牙の出会いを生んだ。
旧世代の厳しい修行風景と比較すると、パライストラの学園生活はかなり緩いもののように感じられる。
しかしこれは単に視聴者だけが感じる違いというわけではなくパライストラの聖闘士について教師のゲオルゲスは「恵まれすぎている」と感じており、旧世代出身の学生(ヒドラの市)も「ゆとり世代」と揶揄していることから作中でも「昔の聖闘士修行はもっと厳しかった」という設定になっているようだ。
尤も生徒の殆どが本編開始時点では実戦経験が無い事を考えれば、多少雰囲気が緩くなるのも当然なのかもしれない。
生徒同士の私闘(ケンカ)は基本的に禁止だが、立ち会いの教員がいれば決闘が可能。
入学資格
入学時期は聖衣を貰ってからなのか後なのかは不明であるが、幼少時に別の師匠の元で修行して聖衣を貰った後に入学しているユナ・聖闘士の親から修行および聖衣の引き継ぎを受けた龍峰・親と聖衣は違うものの基礎指導は受けていた蒼摩のケースもある。
また入学時期も必ずしも一定していないようで、光牙は中途で入学している。
青銅聖闘士の全員が入学を義務づけられているかは不明だが、停学や退学といった処分もある。
年齢は特に制限がないのか、現行システムについていけない成人した学生もいる。
入学にあたっては少なくとも自力で聖衣石からの聖衣召喚が出来るレベルは必要であるようでスキルチェックはあるが、身元調査はいたって手薄な模様(孤児はまだしも保護者の意に反して家出してきた子や敵ボスの息子まで入っている)。
学園の成り立ちと教師
教員達の素性については不明だが少なくとも檄・ゲオルゲス・学園長代理は引退済みの元聖闘士である設定が明かされている為、聖闘士OBなどを中心とした構成と思われる。
城戸沙織がイオニアを学園長として招聘し設立した施設であり設立時期は不明だが、14話でユナが「(本編開始の)7年前に預けられた」旨の発言をしていることからそのころには既に存在していたとわかる。
9話で、元々はマルスの襲来対策もあって作られたことが判明した。
学園の崩壊
本作開始時点ではアテナ本人である城戸沙織と齟齬がなにか生じていたようで、アテナの所在に関しても事実と違う話が生徒に教えられていたりと不審な点も見受けられた。
またいつしかアテナが城戸沙織であるという事実すら知らない生徒も多数いるようになった。
また沙織も手元で育てていた光牙にパライストラの存在自体を教えていなかった為、彼の物心つく頃には既に両者に亀裂が入っていたと思われる。
いつしか裏切っていたイオニアの陰謀により、マルス用の戦士とするために聖闘士を引き抜いていた模様であり、建物の地下などには密かに火星士が入り込んでいた。
事態に不審を覚えた学生も少なからずいたものの、反抗や実体調査の動きを見せた学生はイオニアが片っ端から地下の牢獄に捕らえて表向きには退学扱いで処理していたり、監禁して小宇宙を吸い取って処刑したり、外部に助けを求めようとした学生には追っ手を派遣して殺害していたため一般教員や多くの学生はこのことを知らなかった。
また聖闘士ファイトの優勝者への謁見のため訪問したアテナも本物ではなく、マルスに祭り上げられた少女・アリアであった。
学園には結界が張られていたが、8話でイオニアに操られたアリアにより破壊され、学園施設は「闇の牢獄」と化し火星士達に占拠され、学園長代理や教員、生徒達が捕虜となり建物も破壊し尽くされた。
二期におけるパライストラ
火星士により破壊された後再建され、青銅聖闘士だけでなく聖闘士候補生や、鋼鉄聖闘士の指導も行うようになっており、蒼摩が一時補助教員をやっていた。
一期で白銀聖闘士の大半が喪われたためまた人材不足状態になっていたようである。
結界も沙織により張り直されたものの、彼女がパラスに命を吸われ弱体化したために結界が緩んだ状態にある。またパラサイトによる各地での散発的な一般人への襲撃により避難した一般人を収容する難民キャンプ的な役割も果たしている。
生徒(聖闘士)の人数
白銀聖闘士に昇格するための足がかりとされる「ヘルキャンプ」(第5話)に参加した生徒(青銅聖闘士)を数えると、100人を超えている。
元来、聖闘士と聖衣は88星座に対応しており、その数は88と言われている。
しかし、古くから存在はすれど88星座からは弾かれた「地獄の番犬星座(ケルベロス)」の聖闘士が原作に登場していることや、「鳳凰星座(フェニックス)」などの近年になって制定された星座の聖闘士、「タランチュラ」「はす座(ロータス)」といったアニメ版オリジナルの完全な架空の星座の聖闘士も存在するため、この設定の矛盾点を指摘する声もある。
この辺りの考察は小説版『ギガントマキア』でなされており、88という数字は(「八百万の神」のように)聖闘士の数の例えであり、実際の総数は誰にもわからないのではないかという一つの解釈がなされている。
実際、88星座というのは結構最近(それでも大昔ではあるものの)になって制定されたものであり、それから弾かれたものを含めると聖衣に対応する星座の数は余裕で100を越える。
アニメ版では星座に対応していない聖衣も存在するが、それらは資格は得たが星座に選ばれなかった聖闘士にと用意されたものである。
また、88星座が勢揃いした事例は皆無であり、最多人数を誇った時期(冥王神話)でも80人未満(しかも早い段階から戦死者が発生している)であった。
オメガの世界観の中で星座と聖闘士の内訳がどうなっているかは定かではないが、少なくともこの世界における聖闘士は88人以上いるのは間違いないようだ。
二次創作
本作時点では既に死亡しているので登場しない、旧作の黄金聖闘士や本編では学園にほぼ関与しない青銅一軍にパライストラの制服を着せた作品もある。
備考
セインティア翔にも、聖闘士の養成機関である「聖(セント)アカデミー」という施設が登場する。こちらは聖闘少女育成専門となっており、青銅聖闘士すべてをカバーしているわけではない模様。