プロフィール
概要
青羽の仲間でスレンダーな体をした人型醜鬼の美女。右の額に小さい角が1本、側頭部から後頭部にかけて、ひし形のような角が6本、計7本の角が生えている。「美しい」「美しくない」などが口癖。人間だった頃はモデルの仕事をしていた。小さい頃からマセていて美を追究しており、人型醜鬼になった自分の姿も美しいと思っている。アニメ版だと髪の色は人間の頃は黒で、現在は薄い赤紫色、瞳の色は緑色である。
実の弟の事になると熱くなる青羽と直情的な一面もあるココと比べると穏やかで理性的。また脳筋やシスコン、ドスケベ、地球の答えなど個性が強い登場人物が多い作中では珍しい「穏やかで精神的に余裕のある大人の女性」の1人である。ココが(変身が解けて)全裸になった優希の傷を治すために治癒能力がある唾液(体液)で彼の傷をなめまわした際、青羽に誤解を解くために事の経緯を的確に説明する。優希が青羽と感動の再会をした直後、裸であることに動揺した時は「隠すことないわ 美しい体よ」と彼女なりのフォローを入れる。優希が魔都に生えてるキノコを嗅いで幻覚作用で一時的に理性を失い波音の胸を「肉まん」と勘違いしてかぶりつくなどのトラブルに巻き込まれても、謝罪した優希に対して特に咎めず「アクシデントよ 気にしてないわ」と発言する。以上の描写から口癖が特徴的だが自己肯定感と美を追求する「向上心」が高く、周囲の気遣いができる精神的に余裕のある大人の女性であることが分かる。
能力
- 隠された美(ヒトリシズカ)
物に潜む能力。物や人を問わずあらゆる物体を透過でき、壁や地面の中をも自在に潜行して動き回れる。ただし、激しく動いている対象に潜ることは苦手で、結果として敵が振るう武器や猛スピードで迫る銃弾などの敵の攻撃をすり抜ける事(透過)はできない。作中ではその力を使って仲間を連れて陰陽寮を脱走したり、アニメ版のおまけコーナーではココと共に対醜鬼用の結界を常時展開している魔防隊七番組の寮内に侵入した。そのため戦闘より潜入、偵察に適した能力かもしれない。
波音の主な戦闘スタイルは「潜行能力」と人型醜鬼の高い「身体能力」、「武器(槍や刀)」の3つを活用した「奇襲」である。魔都で朱々と交戦した時は能力で予めアクラ(知能が高く、武器の扱いに長けた特殊醜鬼)の体内に潜んだ状態で参戦。能力で巨大化した駿河朱々に蚊のように叩き潰されそうになったアクラの体内から現れて、アクラが持つ槍を使って不意討ちに成功。巨大化した朱々を転倒、左手を負傷させた。隠れ里で東日万凛、東八千穂と交戦した時は洞窟という「地の利」とアクラや醜鬼との「連携」で日万凛を1度殺害している(ただし、八千穂の能力で時間を巻き戻される)。
また、地面や壁などに潜ると顔を外に出さないと周囲の光景が見えないと思われるが、波音はアクラや隠れ里の壁に潜んだ状況から的確に朱々、日万凛、八千穂に奇襲をかけていた。その事から 物体や生物の身体に潜行した状態でも周囲の状況(敵の位置など)を把握できる 可能性が高い。
八雷神に襲われた際、自身の左手を壌竜の左胸部(心臓)に潜行していた描写から、防御無視の「内臓破壊」も可能と思われる。
能力名の由来は白い花を咲かせる多年草の一種「ヒトリシズカ」と思われる。花のヒトリシズカの名前の由来は平安時代の日本の武将源義経が寵愛した妾、静御前である。彼女の容姿は美しく、白拍子(しらびょうし、遊女などが男装をして詩歌をうたいながら舞う歌舞、及びそれを演ずる芸人)を1人美しく舞う姿と白い花を重ねて「ヒトリシズカ(一人静)」と名付けられた。また、その花言葉は「隠された美」、「静謐(せいひつ)」、「愛にこたえて」である。
活躍
本編の3年前はモデルの仕事をしており、桃は食べていなかった。当時、桃を食べなかった理由は老いてから食べれば美の執念から若返る力を得る可能性があったから。この世界の女性は厳しい審査をクリアしないと桃を食べられないが、桃への恐れなど様々な理由からあえて桃を食べない女性は一定数いた。
魔都災害に遭った(現世から魔都に迷い込んだ)時、醜鬼に襲われて死にたくない思いで桃を口にして暴走。暴走時は全身から衝撃波のようなエネルギーを放出、襲ってきた醜鬼達を一掃して気絶した。その後専門の病院に運ばれるが、肉体が「人型醜鬼」になり始めていたため陰陽寮に移され、そこで『研究』と称して人体実験を受けてしまう。陰陽寮からは衣食住は与えられていたが、肉体が変化する過程を観察するためか全裸で常時監視されていた。肝心なところで拒否権がなく、身体中を調べられ「実験動物」扱いされていた。その後、隙を見て桃の能力で仲間を引き連れてなんとか脱出し、逃げた先で青羽と出会った。
過去に陰陽寮の非人道的な人体実験を世間に公表しようとしたが能力や国家権力で握り潰されてしまい失敗。そのため人型醜鬼の隠れ里のリーダーである青羽やココ、力で従えた醜鬼達と共に陰陽寮の襲撃を企てていた。また、優希から双方の犠牲者を出さないために魔防隊に協力を求める案を提示されたが、魔防隊の総組長辺りなら陰陽寮の実態を知っていると推測し、他の魔防隊組員に話しても意味がないと思いその案を拒んだ。
優希を誘拐(姉の青羽目線だと、魔防隊に奴隷扱いされている実の弟を「救出」)するために七番組を奇襲した際は、能力で予め特殊醜鬼、アクラの体内に潜んだ状態で巨大化した朱々と交戦。青羽が優希を確保したため撤退した。
隠れ里の戦いでは醜鬼や特殊醜鬼「アクラ」と共に日万凛、八千穂と交戦。アクラの陽動と能力を用いた奇襲で戦うが時を巻き戻した八千穂によって居場所を暴かれ、日万凛の能力の1つ「武装小町(バンバンバン)」のガトリング砲を喰らい敗北。八千穂の銃撃でアクラを失う。それでもココと共に青羽の所に向かうが、突如現れた八雷神の紫黒と壌竜に囚われてしまい、空折にココと共に取り込まれてしまった。
横浜にて京香と優希によって空折が撃破された際にココと共に無事救出され、出雲天花の手で青羽のいる魔都の隠れ家に帰還した。
魔防隊の総組長選挙においては、陰陽寮(と、その実態を知っている山城恋)を糾弾するため、天花に連れて来られる形で、ココとともに総選挙の会場となる桃源郷に現れる。
恋を失脚させ、京香を次期総組長にすることが目的の行為であったが、かつて自分を痛めつけた陰陽寮の長である木国和歌子と恋を前に、終始恐怖を感じていた。
最終的には、和歌子は波音たち人型醜鬼にしていた非人道的な行為をすべて認めて謝罪、波音たちの脱走を機に人型醜鬼たちの待遇を改善したことを、他の組長たちの前で明かした(改善が事実であることは、陰陽寮で潜入捜査をした天花が証言している)。
想定外の闖入者たちによる告発にもかかわらず、恋と和歌子は冷静に事実を明かしたが、他の組長たちの一部は恋や陰陽寮に対して考えを改めたため、波音の決死の行動は全く無意味ではなかった。
告発後は、選挙が終わるまで桃源郷外へ出ることができないため、天花の部屋で逗留している。
余談
- 肌と胸
朱々とココの戦闘中、人型醜鬼の黒い部分は素肌であるという事実が判明したが、それに当てはめると波音の胸部は黒い胸が全て衣服から露出しており、人間の状態で言うと常時胸が丸出しの状態という事になる。
すなわち、作中で一時理性を失った優希が、肉まんと勘違いしてかぶり付いたのは波音の生乳である。肉まんと勘違いして食そうとしたのならば、歯を立てかぶりつかれたはずだが…痛くないのだろうか?
- 衣服と武器
他の人型醜鬼にも当てはまることだが波音の「衣服」や彼女が使う「武器(槍や刀)」は何処から調達したのか明らかになってない。他の人型醜鬼かアクラが能力で創ったのか?魔都で手に入れた素材から生産したのか?流石に魔都に衣服や武器が落ちているとは思えないが……。
- 戦闘力
波音は日万凛と八千穂、八雷神との戦闘では敗北したが弱いと断言できない理由が2つある。
1つは特殊醜鬼、アクラを従えていたこと。波音を含む人型醜鬼は数に限度があるが力で屈服させれば「醜鬼を従える」事が可能である。アクラは耐久力は低いが槍や弓矢などの武器を巧みに扱い、敵の隙をついて攻撃するだけの知能を持つ醜鬼で、七番組組長の京香からひと目見て「あの武器を持つ鬼…やるぞ」と評価されたため通常の醜鬼より強いと思われる。
もう1つは彼女を含む人型醜鬼は魔防隊に所属する女性達と違い、戦闘訓練を受けていない民間人であり魔都災害の被害者でもあること。人型醜鬼になったことで身体能力は人間の頃より大幅に向上したが、能力は青羽のように戦闘に長けたものではない。更に「隠れ里」には京香や一番組組長の多々良木乃実などを育成した一番組副組長の冥加りうのような人材育成のプロがいないことを考慮すると、波音は努力して強くなったと思われる。そして武器を併用した奇襲戦術は桃の「能力」と人型醜鬼の「身体能力」を十二分に活かした戦術の1つかもしれない。
関連タグ
出雲天花…救出された後、彼女から密かに支援してもらっている。因みに中の人は波音の中の人とは義姉妹でもある。
オアシス:同じジャンプ作品に登場する能力。「周囲のあらゆる物質を泥化させる」能力を持ち、泥化させた地面等に潜航して、相手を追跡したり、地中に引きずり込んだりする。
ダイバー・ダウン:同じジャンプ作品に登場する能力。同じく物体に潜行する能力を持つ。
神威:同じジャンプ作品に登場するある人物の眼に宿る空間転移能力。自身の身体が攻撃や物体に触れた瞬間、その部位のみ異空間に転移する(例:右肩に攻撃が当たると右肩のみ異空間に転移する)。そのため擬似的に攻撃の「すり抜け(透過)」や物体に「潜行」することが可能。