概要
若き永井豪の創作の日々を描く自伝漫画。「週刊漫画ゴラク」にて2010年より隔号連載中。
「ノンフィクションにきわめて近いフィクション」という位置付けになっており、主人公である永井の名前は作中では「ながい激」または「ナガイ激」となっている。
また掲載雑誌やアニメ制作会社など、商標に関わる名称も微妙に変更されている(「少年マガジン」→「少年マンガ人」、「東映動画」→「帝映動画」など)が、永井以外の実在の人物は基本的に実名で登場し、作品名や作中キャラクター名はそのままで登場する。
「デビルマン」編からスタートし、アニメ版と漫画版双方のデビルマン制作の舞台裏が詳細に描かれている。
と言うか、永井にとって如何にデビルマンが特別な作品であるかを描いていると言っても過言ではない。
ストーリー
デビルマン編
1972年の日本。デビュー5年目となる漫画家ながい激は、少年週刊誌に5本の連載(「ハレンチ学園」「あばしり一家」「あにまるケダマン」「オモライくん」「スポコンくん」)を抱える超売れっ子だった。
なりゆきでギャグでデビューしたためギャグ漫画ばかり描いているが、本当はSFストーリー漫画を描きたいと強く願っている。しかし初のストーリー漫画「魔王ダンテ」は雑誌の休刊により途中で終了。
志半ばに終わった「魔王ダンテ」の敵討ちをすべく、新連載となる「デビルマン」に全てをかけていくことになるが…
マジンガーZ編
1972年の日本。デビュー5年目となる漫画家ナガイ激は、ある日車の渋滞を見て車に足が生えれば良いのに、という思いから「車の様に人が搭乗するロボット」の着想を得る。
手塚治虫、横山光輝が切り開いたロボット漫画というジャンルにマネではない独自の挑戦をしてみたかったナガイ。
念願だったストーリー漫画の連載をデビルマンで果たし、もう一本ストーリー漫画を描こうと思って居たナガイは早速この革新的な試みのロボットのデザインを書き起こし、マネージャーのタカシに漫画雑誌に売り込んでほしいと頼む。
しかし70年代、最早ロボット物は時代遅れと見られており、漫画雑誌では受け取らないと見たタカシはアニメに売り込みをかける事を提案する…
キューティーハニー編
先生何やってんすかの極み。御年70歳を超えた永井豪が自身をはじめスタッフのみなさんまでもをまさかの女体化?永居香激(ナガイカゲキ)の名に恥じぬ(恥じらってください)脱衣シーンの連発!とにかくキューティーハニーの名前の由来など制作の裏側に関する苦労が明らかに?!
ちなみに、女体化に関しては先生自らツッコミを入れている始末。
Z&グレート編
上記Z編の続き。ある日、名貝激はマジンガーがボロボロになるという悪夢を見る。これが何を意味するかはまだ解らないが、3か月から半年経つ頃にはきっと当たるかもと予想する。
設定裏話
主人公が「永井豪」ではなく「ながい激」という創作キャラに設定されているのは、「主人公をイケメンに描くように」との編集部の意向を受けてのこと。(似てないキャラだったら好き勝手できるというのも有るらしい)
マジンガーZ編では真剣に、真面目に作品と向き合ったながいと異なり、早速書いたロボットがデカすぎる事を「あ・・・でもイイや!それがマンガさ!漫画の良いとこだぜ!!」と済ませるなどキャラデザも人格も大きく異なっているが、これは本人曰く切り替えの早さを表しているらしい。
永井曰く、現実は「水木しげると向井理」くらい違いがあるとのことである。
しかしこれまで描かれた自伝漫画「氷壁の母」「思い出のK君」等に比べれば遥かに事実の要素も多く、永井豪ファンにとっては中々味わい深い作品でも有る。