概要
てんとう虫コミックス38巻及び、藤子・F・不二雄大全集13巻に収録。
このドリンクを飲むと1日の間誰とも会わなくなり、自分から会いに行こうとしても何かしらの障害によりすれ違いや入れ違いになったりする。
ストーリー
教室で先生に叱られたり、しずかが出木杉と楽しそうに会話していたり、ジャイアンとスネ夫に追いかけられたり、帰宅してすぐママから怒鳴られ今日はじっくりと説教をするからと、宿題を済ませたら降りて来るよう言われたのび太だったが、ドラえもんの前で「皆でよってたかって僕のことを...」と不満が爆発。
ドラえもんは「君の方にも反省すべき点が...」と言いかけるが、「君までも裏切るのか!?」と言われてしまい、誤解を解こうとしてものび太は聞く耳を持たず騒ぎ出し、ついには山奥か無人島で一人暮らしをしたいとまで言い出した。そこでドラえもんは「無人境ドリンク」を取りだし、のび太がこれを飲み干すと少しして一目散に部屋から逃げ出した。
理由は部屋の隅にネズミがいたで、のび太は効果を実感したが直後にママが名前を叫んだため説教が始まると慌て出した。しかしドリンクの効き目を信じて立ち止まり、一方ママはのび太の部屋の前まで登ってきたものの、お肉5割引きのチラシが落ちていたため、これを見つけるとすぐに買いに走り出して行った。
安心したのび太だったが、階段を降りるとジャイアンから今すぐ空地にくるよう電話がかかって来て、逃げても無駄で明日も明後日も追いかけると脅してきたので、しつこいと思いながらもドリンクの効き目を信じて空地に向かった。その頃空地ではジャイアンとスネ夫が待ち構えていたが、そばで塀相手にキャッチボールをしていた少年が投げたボールが神成さんの家のガラスを割ってしまったため、怒って出て来た神成さんに勘違いされジャイアンとスネ夫も逃げることになっていた。
このためのび太が来た時には既に誰もおらず、「誰も僕の平和を乱すことはできない!」と強気になるのび太だったが、こちらから会いに行ったらどうなるのか気になり、しずかの家に向かった。だが途中でマンホールに落ちてしまい、その間にしずかは母親と共に先に行ってしまったため、のび太が這い上がって家を訪ねた時には当然だが返事をすることはなかった。
どうせ出木杉の方がいいんだろと思い、『小学六年生』の発売日だったことを思い出して本屋へ行ったが、そこにも誰もいなかったため、のび太は大っぴらに立ち読みをすることにした。だがスリルがなかったためつまらなくなって途中で帰ることにし、それと入れ違いで万引きを追いかけていた本屋の男性が戻ってきた。
その後ものび太は町で誰も見かけなかったため皆が死に絶えたのか思っていたが、偶然留守だったたけと思い、よその家のチャイムを鳴らしてみたがまたしても誰も出なかった。実はインターフォンが故障していただけでこの後家の女性がでてきたが、のび太は偶然は重なるものと思い出て行ってしまっていて、次に音訪れた家でも「こんにちは!!」と大声で叫んだが誰も出てこず、のび太が去った後でトイレに入っていた家の男性が出て来た。
のび太のこの様子をドラえもんはタケコプターを使い空から見ていて、もう二度とバカなことを考えないよう、しばらく死の町をさまよわせることにした。一方のび太は公園のベンチに座り、こんなこといつまでも続くはずないと考えていて、もうすぐ夕食だしパパも帰って来るから家に帰ればきっと誰かいると思って帰宅したが、家の中は暗いままで食事だけが置いてある状態だった。
その後、永久に自分はひとりぼっちかと思いながら就寝したが、引き出しの中から出て来たドラえもんは明日にはドリンクの効き目が切れるからと言っていて、この時映画を見に行っていたパパとママも帰ってきた。そして翌朝のび太は寝坊をしたと大慌てで登校して行き、教室に誰もいなかったため、自分は永久に孤独地獄を抜け出せないんだと投げていたが、その頃野比家ではパパ達が今日が日曜日なのに何でのび太が学校へ行ったのか首をかしげていた。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版は1986年5月2日に、水田版は2021年11月13日にそれぞれ放送している。
1986年版
- のび太は3回連続0点だったことで先生から叱られていたがその時チャイムが鳴ったことで解放されたが、この後校庭で顔面にサッカーボールが直撃した。そしてジャイアンが怒って追いかけて来たのは、のび太が蹴った小石が鼻の穴に入ったからだった。
- ジャイアンは公衆電話から野比家に電話をかけていて、隣にはスネ夫もいた。
- しずかが母親と一緒に先を急いでいたのは、素敵なスカートを見つけ買いに行こうとしていたからだった。
- のび太が本屋で買おうとしたのはゴロゴロコミックで、表紙にはQ太郎が描かれていた。
- のび太が他の家のチャイムを鳴らしたりする下りは、塀を乗り越えて家の中をのぞき込んだり、町を見渡したりする描写に変更されている。またドラえもんはモニターでのび太の様子を確認していた。
- 帰宅したのび太はママの名前を叫んだり、ドラえもんに何とかしてもらおうとしたがやはりいなかったためそのまま泣き付かれて眠ってしまい、ドラえもんはそっと布団をかけてあげた。
- 翌朝飛び起きたのび太は慌てたあまり階段から転がり落ちていた。またこの時パパとママはまだ寝間着で、パパは歯磨きをしていた。
- ラストはドラえもんの「のび太君、今日は日曜日だよ。早く帰っておいで~」の台詞で締めくくられている。
2021年版
- 冒頭ののび太が色々と嫌な目に遭う下りでは、台詞があったのはママだけだった。
- ドラえもんはこのドリンクを出したものの、気が進まなかったので一旦取り下げようとした。
- のび太はジャイアンとスネ夫が逃げ出した後、土管の上で昼寝をしようと思ったが、どうせならもっと面白いことをやろうとスケート場に行き、人目を気にせず自由な恰好で滑って楽しんだ。ちなみにのび太が去った後、貸し切りにしていたものの到着が遅れたバスが現れた。そしてこの後のび太は町を散歩したが、町の人々は大食いのロケを見に行っていたため誰もここにはいない状態だった。
- のび太が落ちたのは工事で掘られた穴で、飛んできたドローンに驚いてこの中へ落ちてしまい、しずかが母親と急いでいたのはフェを食べたかったからだった。またこの後のび太が本屋で読んだのは『ヨンデー』で、本屋の男性が追っていたのは泥棒だった。
- のび太は、犬小屋の中をのぞき込んだり水中に顔を付けたりしたが、犬は隠れた所で雌犬とじゃれ合っていて、魚は近くで男性が餌を撒いていてそこに集中していたため、のび太が会うことはなかった。またドラえもんは屋根の上からミーちゃんと共にのび太を眺めていて、一緒にいることの大切さを感じていた。
- 帰宅したのび太は置かれていた夕食を食べたものの、一人だったため美味しくなく、布団に入った際も誰にも叱られないと喜んでいたが、やはり寂しくなり泣き出してそのまま眠ってしまった。
- のび太が登校した日は祝日としか言及されず、のび太が教室にいた頃、ドラえもん達は朝食を取っていた。そしてラストはのび太の「ドラえもん出てきてよ~!」の台詞で締めくくられている。