「『疑わしきは罰せよ』それが俺のやり方だ」
概要
刑事訴訟法第336条においては、疑わしきは被告人の利益にが原則であり、罪を犯していることが確実でない場合は、犯罪者として扱われてはならないという規則がある。しかしながら国内でも、足利事件や袴田事件といった冤罪事件が起きたも事実であり、当時は現在ほど状況証拠等の確認などが未発達であったことに加え取り調べにおいて担当刑事が暴力や脅迫などで執拗な強要を行ったことでやむなく自白せざるを得なくなり、新聞や週刊誌などのマスコミが警察・検察に有利になる報道を行われたことで犯人とされた経緯がある。しかし時代の変化や弁護側の尽力で無罪が立証されたり、再審請求が行われた事例が確認されている。
歴史上においても、菅原道真やジャンヌ・ダルクなども讒言を真に受けた裁判所や国家の意向で処罰されたり、黒い霧事件では八百長に加担したかどうか疑わしい選手まで永久追放の処分を受けたりという経緯がある。
創作において
創作においては、主人公と敵対する悪の組織や、主人公たちの味方でありながら彼らを疎ましく思う人物が、こうした考えで強硬な対応をとることもある。敵対組織から投降してきた者もスパイ扱いして信用しようとしなかったり、わずかでも組織(自分)の脅威・不利益になる可能性があるものは始末して後の憂いを断つとの考えから挙げ句の果てにはなんら関係のない民間人にまで危害を加えることもあり、主人公サイドから非難を受けるパターンが通例となっている。
ただし作品によってはなんの落ち度がないにも拘らず主人公やガキ大将気質のキャラクターが真っ先に疑われたり、騒動の後始末をされるなどの貧乏くじを引かされることもある(唯一疑う側を弁護する点があるとすれば彼らの素行の悪さやだらしのなさが原因で信用が薄いため、そのような考えに至るのはやむを得ない部分もある))。
主にそうした思想を持つキャラクター
似た意味の言葉
最後に
現代においても、有名人の不倫疑惑や交際報道などが週刊誌に報じられることが見受けられるが、記事の内容のみを捉えあたかも事実であると解釈しSNSなどでの誹謗中傷などが起きたり、痴漢などの冤罪が多発している傾向にある。
年々コンプライアンスは厳格かつ細分化されており、公務員や芸能人、アスリート、医療従事者、アナウンサー、YouTuberなど人の目に付きやすい職業についているものは特に社会の期待が大きく、倫理観や道徳など人の手本になる言動が求められる。
疑惑が報じられただけでも世間一般やスポンサー等に対する信用失墜行為を働いたと言えばそれまでであり、不倫や痴漢などは言うまでもなく社会的制裁を免れないことではある。
その一方で、記事だけを鵜呑みにして犯人と断定したりすることは人権を侵害する行為であり、場合によっては対象者を取り返しのつかない結果に追い込んでしまう可能性があることを肝に銘じなければならない。また2020年代からは私人系YouTuberが上記の考えから見知らぬ人を犯罪者と誤認して危害を加えたという報道も見受けられている。
また天皇陛下や皇族は誹謗中傷や風評被害に遭うケースがあり、2022年の天皇陛下誕生日記者会見にて、名指しは避けるも「相手の立場を考えてほしい」と異例のお言葉を述べられる事態になった。
疑いを持つことは必要だが言葉や行動に移す前にまず、他人の立場に立って考える、自分の行動は本当に正しいのかを心に留める事が必須である。