概要
相手を陥れるために、その人物を悪く良い、また有りもしない噂を作り上げて目上の人に告げることである。人類の歴史上、古代から現代に至るまで世界中で行われてきた悪習であり、主に政治など競争の舞台で政敵やライバルを蹴落とす手段として用いられてきた。
現代でも会社など組織内における出世競争の場で、相手の印象を悪くする報告やミスのでっち上げなどの形でおこなわれている、のかもしれない。
近代以降は専ら個人を陥れる対象として行われているが、前近代の氏族社会においては、自身の権力にとって脅威となり得る一族全体を退ける目的で行われることも多かったため、一挙に複数人が讒言されたり、既に他界している故人が讒言の対象となる場合もあった。
多くの場合、讒言する側には綿密な計画性がある。
トップが讒言を精査しないで鵜吞みにしがちだが、きちんと精査して讒言した側が罰せられることもあるため、讒言する側の発言の信頼性がある程度担保された状態であることが望ましい。
この「信頼」がどういったものかは組織の特性によって差違はあるが、讒言する側と目上(主君)との私的縁故が作用している場合が多い。
(例えば皇帝や君主にとってっみれば、特別信頼している、或いは立場上疎かに出来ない人物の言葉は積極的に聞き入れるが、煩わしい人物の言葉は煩わしいだけである。)
すなわち、計画的に仕組まれた讒言には、それを聞いた目上の人物が首謀者とグル、若しくは仕組んだ黒幕である場合が多い。
よってこの場合讒言された人物が、弁明などの正攻法でその責め苦から逃れることは困難である。
讒言の被害者一覧
カッコ内は讒言者
歴史上の人物
日本
- 足利直義
- 足利義視(伊勢貞親)
- 安達泰盛
- 阿野全成
- 安倍貞任※一族代表
- 有間皇子
- 有馬晴信
- 井上内親王
- 今川了俊
- 伊予親王
- 宇都宮頼綱
- 宇山久兼(大塚与三衛門)
- 大津皇子(川島皇子)
- 大伴家持
- 飯富虎昌
- 梶原景時
- 吉備真備
- 京極為兼
- 高師直
- 早良親王
- 俊寛
- 菅原道真(藤原時平)
- 千利休
- 蘇我倉山田石川麻呂(蘇我日向)
- 橘逸勢
- 橘広相(藤原基経)
- 長屋王(藤原四兄弟)※不比等の次男房前は王と親しい関係だったため事件に関与はしていない
- 田沼意次
- 伴善男
- 豊臣秀次
- 名越時章
- 名越光時
- 畠山重忠(梶原景時)
- 比企能員
- 福島正則
- 藤原伊周
- 藤原仲麻呂
- 藤原成親
- 藤原隆家
- 古田織部
- 古人大兄皇子
- 北条時国
- 北条時輔
- 本多正純
- 松平信康
- 三浦泰村
- 源高明(藤原氏)
- 源範頼
- 源信(伴善男)
- 源義経(梶原景時)
- 安田義定・義資父子
- 山上宗二
- 結城朝光(梶原景時)