安達泰盛
あだちやすもり
寛喜3年(1231年)~弘安8年11月17日(1285年12月14日)
源頼朝の側近だった安達盛長の曾孫に当たる。安達義景の三男で評定衆と恩沢奉行を務めた。特に恩沢奉行に関しては在任中に2度に渡る元寇が起きたこともあって、恩賞を求めた御家人達の対応に追われた。『蒙古襲来絵詞』にも彼の姿が描かれている。
21歳下の妹に鎌倉幕府第8代執権・北条時宗の正室である堀内殿(覚山尼)がいる。彼女が生まれた翌年に義景が亡くなったため、泰盛は幼い妹を猶子として養育し、弘長元年(1261年)、彼女を10歳で時宗に嫁がせている。
弘安7年(1284年)、時宗が34歳の若さでこの世を去った翌年、第9代執権・北条貞時の外祖父として実権を握った泰盛は幕府訴訟制度の改革や九州の名主(みょうしゅ)に安堵下文を給して新御家人の創出を図るなど、幕政改革に努めようとしたが、将軍の権力を強めることにもなりうる政策に反対するものも多く、対立する内管領・平頼綱によって一族もろとも滅ぼされた(霜月騒動)。
創作物
大河ドラマ『北条時宗』
2001年放送の大河ドラマ『北条時宗』では柳葉敏郎が演じた。第1話から最終話まで何らかの形で登場しており、なお且つ役者の交代が一度もなかった。
親友・北条時頼から「御家人の中でも一二を争うほどの戦上手」と評される武闘派で、その信頼度は時頼が幼き日の時宗に「戦が起こったときは彼を頼るように」と言い聞かせておくほど。親友の息子で婿である時宗には舅として厳しい言葉をかけながらも支え、時には拳を交えて殴りあった。
八郎こと頼綱とは作中でもかなり因縁が深く、泰盛は頼綱のことをずっと『孤児の暗殺者・八郎』と思っていた。第12話で誰も殺したくないがゆえに遺言を話したがらない時宗から時頼の遺言を(半ば強引に)訊きだし、北条長時を殺すための暗殺者とその依頼人として会ったのが因縁の始まりである。八郎はそのことをダシにして自分を召し抱えるよう泰盛を脅し、北条得宗家の御内人として時宗に仕えることになる。この因縁は八郎が出世して頼綱と名を改め、幕府内で発言力を持つようになってからはさらに深くなっていく。第42話で幕府の扇の要・北条実時が亡くなってからはその対立が表面化する。貞時が元服の儀を迎える際は慣例(得宗家嫡男の烏帽子親は幕府の征夷大将軍が務めるのが古くからの習わしで、時宗もその当時の将軍である宗尊親王が烏帽子親を務めている)を破って自らが貞時の烏帽子親になろうとしたが失敗しており、頼綱によって貞時の烏帽子を運ぶ役を当てられる。そして「今の幕府を守る気はない」と評定の席で宣言した時宗とも対立し、時宗の手に太刀を握らせて自分を斬るように迫った。
「儂はかつての時輔殿と同じ立場になったということであろう。ならば斬るしかあるまい。」
そしてその夜、頼朝公伝来の太刀を片手に時宗と刺し違える覚悟で執権館へとひとり向かっていく。
「時頼殿許してくだされ・・・。実時殿許せ・・・。」
その道中で暗殺者時代の風貌をした頼綱が郎党数人を連れて現れ、泰盛に襲い掛かる。
「泰盛殿は儂をずっと八郎と思うておった。よって最期はこの八郎の姿でお見送り致そう。」
「・・・何ぃっ?」
「時宗様のためじゃ!死ねぇっ!」
「それは儂の言う事じゃ!」(頼綱一味との斬り合いが始まる直前の会話)
剣術で勝る泰盛と、暗殺者らしい立ち回りであの手この手を駆使してでも勝ちに行く戦法をとる頼綱。泰盛は頼綱が連れてきた郎党をたった1人でバッサバッサと斬り捨てていき、頼綱とサシとなったところでこの斬り合いの知らせを受けた時宗が2人のもとへ駆けつけてくる。時宗は2人にこの斬り合いを止めるよう、懸命に叫んだ。だが、2人は一向に斬り合いを止めようとはしない。見かねた時宗は2人の目の前に渾身の一射を放ち、2人を止めた。だがその直後、時宗は突然発作を起こして倒れてしまう。2人は斬り合いを止め、時宗を屋敷へと運んだのだった。
この対立は時宗が隠退したのちに時宗の立会いのもと、仲裁される。時宗の死後、泰盛は一度は頼綱と手を携える道を進もうとしたが最終的には霜月騒動という形で決着がついた。ちなみにこのドラマは『時宗の死を以って終了する』という方針から、この霜月騒動は後日談として覚山尼のナレーションでわずかに触れられるのみである。
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