概要
2001年1月7日から12月9日にかけて、全49回を放送。21世紀に入って最初に放送された大河ドラマでもある。キャッチコピーは『新世紀、凛凛』(明月院にて撮影された番組ポスター参照。写真とキャッチコピーの字を手掛けたのは『アラーキー』こと荒木経惟。)。
鎌倉時代中期の鎌倉、京、博多、大元を舞台に主人公・北条時宗が生まれる前に起きた宝治合戦から時宗の死までの陰謀が渦巻く時代を時宗の死後32年経過した時代(時宗の孫・高時が執権に就任した頃)の時宗の正室・覚山尼(祝子)の回想という形で描く。前半は鎌倉に渦巻く権力争いと異母兄弟の対立が主な軸であり、後半は蒙古襲来を中心に描かれる。番組ディレクターが「作中人物は全員悪役と思ってもよく、純粋な性格として描かれた時宗ですら例外ではない」とコメントするほどにドロドロした人間模様が展開される。この辺りの時代描写は20年後の大河『鎌倉殿の13人』(北条時宗と同じ鎌倉時代の初期が舞台)でもある。
原作は『写楽殺人事件』の高橋克彦。かつて自身が原作小説を手掛けた『炎立つ』(1993年-1994年)と同じく、脚本と並行して執筆された。脚本は朝ドラ『ひまわり』や『きらきらひかる』を手掛けた井上由美子が担当。
平均視聴率は18.5%、最高視聴率は最終話で記録した21.2%。
初めての試み
- 鎌倉時代を取り扱った大河ドラマは過去にも存在したが、鎌倉中期を舞台に据えたのは本作が初めてとなる。
- 平成になってから初めて北条時宗という人物を取り扱ったドラマ。
- 脚本を担当した井上は、大河ドラマを執筆するのは本作が初となる。
- 大河ドラマ史上初めて、狂言師が主演を務めた作品。また、主演を務める和泉元彌はドラマ出演5作目(狂言以外の演劇活動全体だと8作目)にして連続ドラマ初主演となる。連続時代劇に出演するのもやはり本作が初めてである。そんな彼が時宗役に抜擢されたのは演出家曰く、「和泉氏と時宗には共通点が多く、今の時代で常に家を意識する数少ない日本人である」からとのことであり、和泉もまた「父親への反発以外は似ている」とコメントしている。また、脚本家の井上も和泉の『俳優としての経験の薄さ』から「和泉氏が俳優として成長していく姿と時宗が作中で成長していく姿を重ねられる」とコメントしている。
- 本作の元寇にまつわる合戦シーンはCG(実際には数艘しかない蒙古の船団を特殊撮影で大船団に見せている)を駆使したダイナミックなもので、その出来栄えは放送終了から十数年が経過した今なお、NHKの歴史番組で元寇を取り扱う際に再現VTRの一部として再利用されるほどのものであった。
登場人物
記事のある人物はリンク先も参照。
主要人物
- 北条時宗 (演:小池城太朗→浅利陽介→和泉元彌)
- 主人公。幼名は正寿丸。
- 北条時輔(時利) (演:太田光輝→東海孝之助→崎本大海→渡部篤郎)
- 時宗の異母兄で時宗と対をなすもう一人の主人公。幼名は宝寿丸で始めは時利と名乗った。
- 北条時頼 (演:渡辺謙)
- 時宗の父で鎌倉幕府第5代執権。物語序盤の主人公。
- 涼子(涼泉尼) (演:浅野温子)
- 時宗の母。作中では「毛利季光の娘で北条重時の養女」という史実の正室と継室(一門の重鎮・北条重時の娘・葛西殿)がまぜこぜになった設定。宝治合戦で父を殺し、さらには母も殺したとして時頼を激しく恨んでいたが、彼が毒を盛られて死ぬ間際に和解を果たす。時頼が亡くなった後もしばらくは出家を拒否し、時頼を毒殺した下手人を探し続けた。しかしその強すぎる執念から乱心とみなされ、追放されてしまう。二月騒動で時宗が時輔を討伐しようとした際に「そなたの罪を償う」として出家し、弘安の役あたりまで時宗とはほとんど口を利かなくなる。そんな彼女も病で衰弱していく息子を目の当たりにした時は「死んではならぬ!」と絶叫し、時宗を抱きしめている。
- 安達泰盛 (演:柳葉敏郎)
- 有力御家人。
- 平頼綱(八郎) (演:北村一輝)
- 時宗に仕える御内人。短気で荒れた性格をしているが、時宗には並々ならぬ忠誠を誓っている。
- 祝子(覚山尼) (演:吉谷彩子→児玉真菜→西田ひかる→十朱幸代(語り兼任))
- 時宗の妻でドラマの語り部。泰盛の妹。
北条一門とその関係者
北条得宗家と御内人
- 平盛綱 (演:宗近晴見)
- 北条貞時 (演:金子雄→小池城太朗→佐保祐樹)
- 時宗の嫡男。幼名は幸寿丸。
- 松下禅尼 (演:富司純子)
- 時宗の祖母。安達氏出身で泰盛の父・義景の妹。北条得宗家を縁の下で支える。『徒然草』に語り継がれる倹約の精神は作中でも健在。ちなみに史実では没年不明とされてはいるが、少なくとも時宗より先に亡くなっている(作中では時宗の没後も健在だった)。
- 禎子 (演:寺島しのぶ)
- 北条宗政 (演:松川真之介→川原一馬→比留間由哲)
- 時宗の同母弟。幼名は福寿丸。兄・時宗を尊敬しており、顕時、義宗とはよく共に行動している。
時輔の関係者
- 讃岐局 (演:篠原涼子)
- 時輔の母。時輔の不遇ぶりに不満を抱いている。晩年には時輔に反発されたショックで精神を病み、身を寄せていた安達の館に自害同然で火を放つ。その際、火の中に取り残された祝子を助けに行くために火の中へと飛び込んで焼死する。その際、讃岐局は「時輔、今助けてやりますからね」と語りかけながら祝子を救出した。
- 祥子 (演:黒川芽以→ともさかりえ)
- 北条時利 (演:清水響→中野勇士→鈴木藤丸)
- 時輔の嫡男。幼名は明寿丸で元服後は父のかつての名を名乗り、叔父・時宗から生涯その名を名乗るように言われている。母の死後、姉共々時宗によって引き取られ貞時と兄弟同然に育つ。流浪の民となった父とは何度か再会するが、時輔は彼に対してひとりの民と武家の子の関係として振る舞い、決して自分が父であることは知らせなかった。
- 服部正左衛門 (演:室田日出男)
- 時輔の家臣で元小山家の家臣。二月騒動で時輔が『討たれ』、祥子が亡くなった後はひっそりと小山の館から姿を消して悪党の親玉となっていた。弘安の役では九州の御家人たちに手を貸す。時輔と再会した後は時輔に再び付き従い、彼とともに大陸へ旅立っていった。
- 如月 (演:清川虹子)
- 京に赴任した時輔に付けられた老婆。本人曰く、源頼朝の時世から生きているらしい。ちなみに最終話でも(少なくとも弘安7年の時点では)存命だった。
極楽寺流
『極楽寺殿』と称された北条重時とその子供たち。得宗に次ぐ実力をもち、子々孫々にわたって連署に就任する家格をもつ。鎌倉幕府最後の執権・赤橋守時は直系の子孫。
- 北条重時 (演:平幹二朗)
- 北条長時 (演:川崎麻世)
- 鎌倉幕府第6代執権。だが、実質的には時頼の傀儡状態だった。
- 北条時茂 (演:羽賀研二)
- 長時の弟で六波羅探題北方。作中では珍しい、史実通りに若くして病没した人物。総集編では2001年末当時からほぼほぼ出番をカットされている。
- 北条義宗 (演:宮迫博之)
- 長時の子で時茂の死後、六波羅探題北方となる。鎌倉にいた頃は時宗、宗政、顕時と共に行動していた。長時からは「心が弱い」と叱責されたことがある。弓の名手(本人曰く、『唯一の取り柄』らしい)で二月騒動で時輔の討伐を命じられた際は時輔の左腕を射抜いたが、最終的には討ち取らずに逃がす。のちに泰盛と頼綱の派閥争いにおいて板挟みになり、さらには時輔を逃がした件もあり精神的に追い詰められて自害という結末を迎えることになる。
- 北条義政 (演:渡辺徹)
- 長時、時茂の弟で政村の死後、鎌倉幕府連署となる。
- 梨子 (演:牧瀬里穂)
- 長時の妹で泰盛の妻。第44話で頼綱に襲われている。
金沢流
- 北条実時 (演:池畑慎之介)
- 金沢流の実質的な祖で幕府の扇の要。金沢文庫の創始者である。彼の死後頼綱と泰盛の対立が表面がすることとなる。
- 北条顕時 (演:山口馬木也)
- 実時の子。実力は父以上と評されている。実時とは前妻(顕時の母・離縁後に自害している)との離縁及び政村の娘との再婚が原因で確執があり、一時期は酒に溺れて荒れていた。この確執は長きに渡り、引きずられることになる。時宗、宗政、義宗とはよく行動を共にしている。最終話では病により隠退した時宗に蒙古国内で身内の反乱が起こったことによりクビライが日本を襲えなくなったことを報告し、時宗を涙させる。
名越流
第2代執権・北条義時の子・朝時を祖とする一族。得宗家に次ぐ家格を持つ。朝時は正室の子でありながら義時から義絶されており、「本来なら嫡流」という意識から代々反得宗で朝時の嫡男(時章らの兄)・光時は宮騒動(本編開始前の出来事であり、ドラマでは第28話プレタイトルで説明されている)を起こしている。
- 北条時章 (演:白竜)
- 妹や弟に比べて冷静沈着。二月騒動で名越北条氏が攻められた際、自害。弟共々首は木製の質素な首桶(名札入り)に入れられ、時宗のもとに届けられる。
- 北条教時 (演:鈴木祐二)
- 時章、桔梗の弟。兄に比べて血気盛んな性格でたびたび時宗に噛みつく。時宗の妻子に刺客を送り二月騒動を引き起こすが、敗れて討ち取られる。
- 桔梗 (演:原田美枝子)
- 時章の妹で足利泰氏の前妻。かつては歌にも歌われるほどの美人だった。得宗家によって離縁させられたことを恨んでおり、恨みに任せて反得宗勢力を煽る悪女。得宗家を倒すためなら周囲の犠牲もいとわない性格で、得宗家を倒すことが何よりもの幸福らしい。教時とともに時宗の妻子を襲わせ、二月騒動を引き起こした。名越兄弟が討ちとられた後に捕えられた際、時宗にこの事件の首謀者が時輔であると供述して時宗に時輔を討つように仕向ける。終戦後には流罪となるが、いつのまにか戻ってくる。泰氏の隠し子を足利家関係者に探させたのも彼女である。
- 晩年は泰氏の隠し子の1人である桐子を足利に入れようと、師氏とともに博多を訪れる。恨みに身を任せて行動する彼女の素振りを「今のあなたは醜い」とバッサリ切り捨てた時輔に自分が時頼を毒殺した張本人であると告げ(ソースが彼女の自白のみなので真偽は不明)、時輔を絞め殺そうとするが師氏の手によって斬殺される。
長老
- 北条政村 (演:伊東四朗)
- 鎌倉幕府第2代執権・北条義時の五男。第7代執権。重時の弟、北条家長老として「タヌキ親父」と称される油断のならない男。権力を守るためには手を穢すことも厭わない。執権就任のおりには喜びの舞を舞い、長時と時宗の代では連署を務めた。
- 北条時広 (演:石橋蓮司)
各地の御家人とその関係者
北条氏以外の御家人の皆さん。
足利家とその関係者
- 足利泰氏 (演:西岡徳馬)
- 足利家の当主。足利家としていつか天下を奪う時を窺い、三浦氏の残党や頼綱と手を組んで得宗家打倒を目論んだ。しかし時頼により未然に防がれ、出家させられる。出家後も桔梗とともに亡くなるその時まで執念深く天下を追い続ける。彼には隠し子を含めて何人もの子がおり、のちにそれが新たな波乱を生むことになる。
- 足利頼氏(利氏) (演:厚木拓郎→安藤一平→尾美としのり)
- 泰氏の子で時輔の烏帽子親。母は時頼の姉(桔梗が泰氏と離縁させられた後に生まれた)。足利家の中では穏健派。最期は師氏によって強制される形で毒殺される。
- 足利家時 (演:内山昂輝→俊藤光利)
- 高師氏 (演:江原真二郎)
- 足利家の執事。足利家に害をなすものはたとえ身内であろうと手にかける。ちなみに33年後の世界でも健在である。
三浦方
北条家に次ぐ有力御家人・三浦義村直系の一族。時宗が生まれる前に起きた宝治合戦で時頼率いる北条方と対立した面々。この戦で時頼が涼子の両親を討ち取ったことで生まれた溝が、のちに執権となった時宗の政治方針に大きく影響を及ぼしている。
作中では言及されていないが泰村と光村は血縁上、時頼の大叔父である。
- 三浦泰村 (演:津嘉山正種)
- 三浦家の当主、義村の次男。第1話の宝治合戦で騙し討ちに近い形で滅亡する。
- 原作小説では弟の光村から「阿保」だの「三浦の恥」と面と向かって言われるほどの間抜けな人物として描かれており、安達勢が館を急襲した際には激しく取り乱すなど武家の当主として相応しくない醜態を曝け出した。
- また、本作では矢部禅尼(時頼の祖母)の兄という設定である。
- 三浦光村 (演:遠藤憲一)
- 義村の四男。兄泰村に比べて交戦的な性格をしている。
- 原作小説では自害する直前に逸話にもあるように自分の顔を削いだ。
- 毛利季光 (演:高橋英樹)
- 涼子の父。宝治合戦において当初は北条氏側についていたが、妻に説得されて妻の実家である三浦氏側に加わる。最期は頼朝の墓所にて「鎌倉に、栄あれ!」と絶叫して自刃する。
- 藤子 (演:大谷直子)
- 季光の妻で涼子の母。三浦氏出身。夫の死後、娘に時頼の寝首をかけと命令するも時頼に攻められ自害する。
九州の御家人
- 少弐資能 (演:野口貴史)
- 鎮西奉行。蒙古襲来の際は老体に鞭打って奮戦するも、弘安の役にて戦死する。
- 少弐景資 (演:川野太郎)
- 資能の子で蒙古襲来時の実質的な大将。
- 竹崎季長 (演:うじきつよし)
- 九州御家人。文永の役での手柄を幕府へ直訴しにやってきた。石築地の策は彼によって九州にもたらされる。
- 菊池武房 (演:小西博之)
- 九州御家人。
- 日田永基 (演:ダンカン)
- 九州御家人。文永の役では一番名乗りをするが、そこをてつはうで攻撃されて爆死する。なお、実際は戦死していない。
- 平景隆 (演:角田信朗)
その他
鎌倉幕府征夷大将軍、朝廷
- 九条頼経 (演:宇梶剛士)
- 九条頼嗣 (演:伊山伸洋→土倉有貴)
- 鎌倉幕府・第5代・征夷大将軍。ドラマ開始時点での将軍。7歳で時頼の妹・檜皮姫を娶るが、2年後に何者かによって毒殺されてしまう。そして当の頼嗣も将軍職を追われて京に戻った後、父とともに時頼の放った刺客によって命を落とすことになる。
- 宗尊親王 (演:相ヶ瀬龍史→吹越満)
- 鎌倉幕府・第6代・征夷大将軍。幕府転覆を目論むも悉く失敗に終わり、失意のうちに病没する。吹越氏による怪演が見どころであり、最期は惨めな顔芸を披露した。
- 近衛宰子 (演:川原亜矢子)
- 宗尊親王の御台所で時頼の養女。僧・良基と密通事件を起こす。
- 惟康王 (演:小阪風真→山内翼→藤沼豊)
- 鎌倉幕府・第7代・征夷大将軍で宗尊親王の子。父が追放されたのち、3歳で将軍になった。その際に自分の両親が鎌倉にいない理由を時宗から説明され、「まろはお前が嫌いや!」と時宗の頬を扇でひっぱたく。その後も将軍としてたびたび登場する。
- 近衛基平 (演:宮内敦士)
- 後嵯峨上皇 (演:木之内頼仁)
- 第88代天皇。
- 亀山天皇 (演:松田洋治)
- 第90代天皇。宗尊親王の弟。基平の切腹事件当時は権力をふるい続ける父に反発したい年頃だった。
- 一条実経 (演:井上順)
- 摂政・関白。宗尊親王亡き後はフェードアウトする。
水軍松浦党
- 佐志房 (演:藤竜也)
- 水軍松浦党の頭領。謝国明の友人。史実及び原作小説では文永の役の際に3人の息子共々戦死しているが、ドラマでは文永の役後も少しだけ生存している。息子3人を失った悲しみから復讐に生きるようになり、戦場に咲いていた花の押し花と館の柱でできた木刀を持って時宗のもとを訪れ、時宗に木刀で文永の役で戦死した者達の言葉を聞かせに行く。最期は元の大都にてクビライを暗殺しようとして返り討ちにされる。その遺灰は桐子によって一握りを残し、海に撒かれた。
- 佐志直 (演:大澤佑介→小林元樹→高畑雄亮)
- 佐志房の長男。勇とともに松浦の水軍城にて戦死する。
- 佐志勇 (演:常盤祐貴→工藤幾未→吉守京太)
- 佐志房の二男(養子)。高麗生まれで両親を殺した蒙古を恨んでいる。最期は桐子を守るかたちで戦死。
- 佐志留 (演:田中大河→森脇史登→衣笠友章)
- 佐志房の三男(養子)。援軍に赴いた壱岐にて戦死を遂げる。
- 桐子 (演:磯部詩織→邑野未亜→木村佳乃)
博多商人
- 謝国明 (演:北大路欣也)
- 宋出身の博多商人。時宗が幼少の頃から関係を持ち、時頼からはいざという時に頼るべき人物のひとりとして挙げられている。蒙古とは一貫して和平を訴える。
- 美岬 (演:藤あや子)
- 謝国明の妻で謝太郎の母。蒙古の使者である藩阜達をもてなした際、大元への怒りを爆発させた勇の攻撃から藩阜を庇って殺される。
- 謝太郎 (演:松重豊)
- 謝国明の子。神出鬼没の商人で、時宗と時輔の決闘を2人以外で唯一目撃している。様々な人物と繋がりがあり、長時暗殺の際に泰盛を八郎のところに案内したり、八郎を時宗のところへ連れてきたりと随所随所で活躍を見せる。なお、原作小説ではドラマ以上に大活躍をしている。
僧侶
- 日蓮 (演:奥田瑛二)
- 日蓮宗の開祖。このドラマでは思想家として描かれている。温厚な性格として描かれる本作の時宗を本気で怒らせた数少ない人物。
- 無学祖元 (演:筒井康隆)
- 宋出身の僧侶で円覚寺の開祖。第33話あたりから体の不調を感じていた時宗に余命宣告をした。その後も時宗に煩悩を捨て己が道を進むように進言する等、終盤の時宗の心を支えた。
- 霊泉 (演:岸田敏志)
異国の人々
- クビライ・カアン (演:バーサンジャブ)
- モンゴル帝国第5代皇帝。
- チャブイ (演:シュウレンホアル)
- クビライの后でチンキム皇太子の母。夫に看取られて逝去した。
- 藩阜 (演:錦野旦)
- マルコ・ポーロ (演:ダリオ・ポニッスィ)
- ベネチア商人でクビライの側近。日本語に堪能で時輔と会話する。
- アフマド (演:アブリミティ・イスマイル)
- クビライの部下で宰相のイスラム教徒。史実では大悪人。
- チンキム (演:アヤンガ)
- 金方慶 (演:戴書華)
- 高麗軍の武将。今作では藩阜が罵られるが、史実では彼が問題(日本人捕虜を磔にして殺害するなど)を起こしている。
- 杜世忠 (演:李琰)
- 文永の役後、日本に降伏を促すために送られた大元の使節団のリーダー。時輔と交流を深めるが、時宗の命によって斬首される。
- 趙良弼 (演:修宗迪)
- クビライの側近中の側近。クビライから「そなたを失うわけにはいかぬ」と言われるほどの重臣。
オープニング
全編フルCGで構成されており、『時宗が夢の中でまだ見ぬ大陸に思いをはせる』というのがコンセプト。中盤の蒙古の船団が海を渡るシーンは、毎回ストーリーに合わせて海の荒れ具合などが変わり、元寇の脅威を表現するため、回を重ねるにつれ徐々に船団が視聴者側へ迫って来る演出が為された。
冒頭の石碑に刻まれた文字は『クビライが生涯で戦ってきた相手の名前』であり、『北条時宗』の文字以外はすべてモンゴル文字(それに合わせ、本作の題字もモンゴル文字風となっている)。
特徴的なテーマ曲は、作中の劇伴も手掛けた栗山和樹の作で、女声ヴォーカルはモンゴルのオルティンドー歌手・ナムジリーン・ノロヴバンザドによるもの。ノロウバンザドはドラマが放映された翌年末に亡くなっている。
備考
- 放映の前年末に放映された第51回NHK紅白歌合戦で、主演を務める和泉が『翌年の大河ドラマ主演俳優』として史上初めて司会(白組担当)に抜擢された。また、審査員として時頼役の渡辺、桐子役の木村が、そして応援ゲストとして涼子役の浅野が出演。
- 作劇の都合上、北条長時、時茂、義宗など、史料上では若くして病没した一部の人物の死因が変更されているのも本作の特徴の一つと言える。また、一部の人物は史実よりも没年が後ろ倒しにされる場合もある。主人公である時宗をはじめとした大多数の人物が最後まで剃髪した姿を見せずに退場している。
- 時宗の死後に起きた霜月騒動と平禅門の乱は後日談として、覚山尼のナレーションでその顛末について少し触れられる程度の扱いだった。
- ドラマ放送の翌年には舞台化もなされている。ストーリーは原作小説とドラマを掛け合わせた内容となっており、時宗役の和泉、謝国明役の北大路はこの舞台版にも引き続き同じ役で出演。
- 諸般の事情から、本作は放送終了から長らく通常放送回のソフト化や再放送・ネット配信の機会に恵まれておらず、作品内容に触れられる手段はほぼ総集編のみという状況が、実に20年あまりに亘って続いていた。2023年になって、同様にそれまでソフト化がなされていなかった他の大河ドラマの完全版DVDが相次いでリリースされる中、本作も22年越しで完全版DVDのリリースが実現するに至った(全2巻、9月22日同時発売)。
関連項目
2022年度大河ドラマ「鎌倉殿の13人」