藐烽雲
びょうほううん
「始,無言不讎,不愆不忘御九宸;末,無形不染,不觀不知飾烽雲。」
称号:欲天九宸(よくてんきゅうしん)、治者(ちしゃ)
別名:掌死之智(しょうしのち)、智玹天(ちげんてん)
「霹靂布袋戲」の登場人物。
「霹靂兵烽決」では主要人物の一人として活躍した。
「掌死之智」と称される死の賢人。河圖十智の第四位。
武術が使えず、猂族の侵略に加担して、知略のみで談無慾と敵対する。
衣装が黒と青を基調とした策士。黒い傘をさし、暗い服を身にまとう。
別名「掌死之智」の通り、死を掌握する賢人である。かつて「河圖十智」の賢人に順位付けを行う試験に、論文部分のみ提出し、議論に参加せず去っていった。論文だけで第四位になったため、その実力は計り知れない。
優れた知略に反して、武術が一切使えない。そのため、剣術が得意な少女・輕非灩を護衛に付く。輕非灩は常に主のそばに身を潜み、敵が襲い掛かる時に、姿を現して撃退する。
異殃猂族が封印を解き、中原の侵略を再開した時期に、表舞台に現れる。猂族の侵略に加担して、中原正道と敵対。談無慾と知略を巡って、激しい攻防を繰り広げていく。その計略で、兵禍血色塔と猂族のスパイを駆使し、談無慾を追い詰めるほどの実績を立てた。
人間関係では、中原正道に助力する医者・挹天癒と親友である。挹天癒の前では、「治者・智玹天」と名乗っている。また、猂族劫脈の当主・劫鏖主に対し、表は恭順する姿勢を見せる。だが裏では、その威圧的な態度を気に食わず、激怒する場面が見られる。猂族に協力するが、完全に臣従する訳ではなかった。侵略に加担するのは、ある目的を成就させるためである。
正体と目的
藐烽雲の正体は、猂族祇脈の生き残りである。祇脈は猂族の中で、最も戦上手な種族だが、鮮血を摂取しないと力を維持できない。かつての戦争にて、祇脈当主の玄魁敇天を生き残らせるため、一族全員が当主に血と命を捧げた。
これにより祇脈は滅亡し、玄魁敇天も戦後、行方不明になる。藐烽雲は、そんな中で生き残り、深寰地宇から苦境神州に流れ着く。本来はほかの祇脈の一族と同様、武術や気功術も使いこなせた。しかし中原武林に来てから、血を吸うことをやめ、やがて肉体が凡人同然に衰退してしまう。
猂族祇脈の一員として、玄魁敇天を唯一無二の主として慕う。彼こそ猂族全体を統べるにふさわしいと見込んでいた。玄魁敇天が苦境で挹天癒に化身して、活動していることを知り、彼に接近して親友になる。長年の付き合いだが、物語開始時点で、藐烽雲は挹天癒に正体を明かさなかった。
藐烽雲の目的は、挹天癒を玄魁敇天に戻らせ、猂族の最高統治者「猂界守」に立てること。そして玄魁敇天の願い「猂族が苦境で平和に暮らし、人間と共存すること」を成就させるためであった。
公子獻頭
猂界守・荒禘の復活後、中原正道と猂族の戦争が激化。荒禘の采配で、共存を目指す中原正道の風雲兒が命を落とす。人間と猂族の関係が、ますます悪化していく。この時期に、藐烽雲が挹天癒に正体と目的を明かした。玄魁敇天の存在が、自分の地位を揺るがすことを危惧した荒禘は、藐烽雲の粛清に行動を移す。
主の願いを叶うべく、藐烽雲が初めて挹天癒に策を献上する。自らの命と血を捧げ、挹天癒を玄魁敇天に戻して、荒禘を殺す狙いだった。「掌死之智」と称される藐烽雲は、自分の死まで計略に入れた。この計は霹靂の公式コミュニティとファンの間で「公子獻頭」と称する。
荒禘に殺された後、藐烽雲の首は挹天癒に献上される。同族の死に激昂した挹天癒は、玄魁敇天の姿に戻り、荒禘と決裂。中原正道と共に荒禘を倒して、勝利を収める。だが玄魁敇天は、荒禘を殺さずに、猂界守になる気もなかった。
玄魁敇天が猂界守にならなければ、計略に意味がない。荒禘が降伏した矢先に、「公子獻頭」の計が第二段階に進む。藐烽雲が死ぬ前に、蚩蛾と眩祭冥司の術で、魂を荒禘の体に憑りついた。弱まった荒禘の肉体を乗っ取り、藐烽雲は絶大な力を得て復活する。
玄魁敇天を猂界守に立てるために、藐烽雲は自ら悪役を演じて、荒禘がやり残した「異殃奪天圖」を発動。この強大な術で、人間全体の肉体を猂族に乗っ取らせる作戦である。藐烽雲を止めるべく、倦收天と月無缺、そして玄魁敇天たちが彼に挑む。
計略「公子獻頭」の出典は、香港の漫画『火鳳燎原』からとった単語である。本来は「味方の要人を犠牲にして、敵を油断させ、罠に誘い込む計略」ということを意味する。藐烽雲が自身の首を献上する行為に対して、霹靂の公式コミュニティとファンの間で「公子獻頭」と呼んでいるが、藐烽雲本人は計略自体に名付けていなかった。
- 公式人物資料(藐烽雲)※中国語