概要
標高は約2,017mで、東京都の最高峰かつ唯一の2,000m峰である。
また日本百名山にも選定されている。
住所表記としてはそれぞれ、
「198-0211 東京都西多摩郡奥多摩町日原(にっぱら)」
「369-1901 埼玉県秩父市大滝」
「409-0300 山梨県北都留郡丹波山村(小字なし)」
になる。
頂上付近は開けており、日中の富士山や日没後の東京都方面の市街地の夜景なども確認できるほど眺望は良い。
しかしながら原生林に覆われた山体は非常に山深く、多摩川の支流の水源地である事から東京都の水道局が管理。
山域は自然保護区にもなっており、鹿などの生息数も多い。
かつては北方の埼玉県にある白岩山(しらいわやま)(1921m)と妙法ヶ岳(みょうほうがたけ)(1,332m)と共に「三峰山」(みつみねさん)と呼ばれていた。
あくまで諸説の一つではあるが平将門伝説の逸話が周辺地域で見られ、将来を悲観した一行の侍女達が身を投げてその名の由来になったともされる大血川などがある。
秩父市側にはかつての木炭生産に用いられた炭窯跡があり、霧藻ヶ峰には皇族の秩父宮雍仁親王の登山記念としてサルオガセ(霧藻)のレリーフが設置されている。
登山
山頂部も含めて周辺には有人で通年営業を行う3つの山小屋と無人の1つの避難小屋が所在。
山小屋や登山道の途中箇所にトイレも整備されてはいるが、いずれも全体として視界の悪い暗い山道を最短ルートでもおおよそ5時間半登る長距離である。
さらに登山口自体が駅や市街地からかなり離れた場所にあるものばかりであり、バス停はあるもののマイカーやバイクでもなければ行動時間がかなり制限されてしまう。
そのため山小屋やテントを利用しての1泊2日以上が原則であり、さらに冬季には雪が深く降り積もるので、昔から登山上級者やその引率があっての中級者が挑むような難易度の高い高山かつ深山として有識者らに評される。
雲取山は近年『ヤマノススメ』や『鬼滅の刃』といった漫画・アニメ作品の舞台にもなった事から、それまで山や登山に興味を向けた事のないような若い世代にも注目されている。
しかしながら、決してハイキングや一夜で揃えた知識と装備で登れるような山ではない事を注意していただきたい。
雲取谷
山名は東京都側の「雲取谷」に由来するとされる。
大雲取谷と小雲取谷があり、大雲取谷の方が距離が長い。
大雲取谷を登山ルートの一つである大ダワ林道が延びているが、元々難路である上に2019年の台風で一部が崩落。
小雲取谷ルートの場合富田新道に出て尾根沿いに右に向かうとほどなく雲取山の南方にある小雲取山山頂に到達するが、こちらも同年の台風の影響によって荒れている。
これらの林道・登山道は2022年現在も一部復旧中で、また大ダワ林道は地盤が弱く台風以前からたびたび地崩れを起こしているようである(外部リンク)。
余談
鬼滅の刃の主人公竈門炭治郎の出身地であるとされ、公式プロフィールにも「出身地 東京府奥多摩郡雲取山」と書かれている。
しかしながら実際に「奥多摩郡」が設置された事は一度もなく、おそらく作者によるオリジナル設定と思われる。
作中での描写を勘案すると直接のモデルになった集落は存在せず、実際の地理的には東京都側で最も雲取山に近い日原地区が該当し、現在路線バスが開通している。