解説
数ある文学作品のうち、主に著作権が切れたものを電子化して無償で公開しているWebサービス。著作権が残っているものの権利者が公開を許諾した作品もある。
収録作品は小説が大半を占めるが、随筆や詩文、ラジオドラマの脚本、はたまた広告文なども収録されている。
夏目漱石、芥川龍之介、宮沢賢治、太宰治、谷崎潤一郎、吉川英治といった人気作家のほか、坂口安吾、新美南吉、梶井基次郎、中島敦などもこれで読むことができる。また、夢野久作の『ドグラ・マグラ』がWeb上で話題になったとき、この青空文庫の存在が大きく世間に知られるようになり、今もダウンロード数上位につけている。
専用のアプリをダウンロードしてスマートフォンで読むことも可能。
縦書きではなくて横書きにも対応したものやフォントカラーを変えられるものもあったりする上、基本はどのアプリも軽量なので自分好みのものを探すといいだろう。
ただ、校正担当者はボランティアによって行われているため、担当者が不足しており、しかも昨今では更新ペースが月10作程度とかなり緩やかになっている(室生犀星や永井荷風、正宗白鳥など校正が遅々として、代表作であっても公開が進んでいない作家も少なくない)。
また、2019年以降はTPP発効に伴う著作権延長の影響を受け、1969年以降死没の作者は、2039年まで待たないといけない(したがって、1969年以降死没の川端康成、三島由紀夫、志賀直哉らの作品はない。ただ川端、三島などの人気作家は死後50年企画として新潮社などが文庫を再販してくれているので入手しやすくなっている上、よほどの稀覯本でない限りは図書館で借りられる)。
ちなみに近代文学の大家でも、長寿だった武者小路実篤、井伏鱒二、里見弴らの作品も著作権は切れていないので、青空文庫に作品は存在しない。まして、第一次戦後派以降で青空文庫の対象となっているのは梅崎春生だけである。