概要
てんとう虫コミックス6巻及び、藤子・F・不二雄大全集2巻に収録「のび太漂流記」に登場。
ゴムボートのように空気で膨らませるいかだ。膨らませないときは手のひら程度の大きさで手軽に持ち運びできる。
ストーリー
ママが食べ終わったラーメンの器を片付けていると、のび太は使った割りばしをもらって行ったが、集まった量がまだ少なかったため不満そうだった。そしてその目的は、割りばしでいかだを作って無人島を探すと言い出したため、何をしているのか聞いたドラえもんも仰天してしまった。
それでものび太は、自分の力を試すため誰もいない何もない所で生き抜いてみたいと言い張ったが、ドラえもんが目を向けた先には『ロビンソン漂流記』の本が置かれていたため、これに感化されたとすぐに悟った。そこでドラえもんは「冒険してみるのはいいことだ」と「風船いかだ」を貸してあげようとしたが、のび太は先ほどの理由を言いこれを拒否。
だがドラえもんから、いかだを作るだけの割りばしを集めるのに何十年かかるか聞かれると、これだけ世話になると受け取ることにするも、ドラえもんがリュックに必要な物を詰めだすと今度はドラえもんのタケコプターを使って飛び出して行ってしまった。
その後ドラえもんは、そろそろのび太が海に到着した頃かと思いモニターで様子を見ると、予想通り全く島が見つからず、いかだの上で泣き言を言いながら立ち往生していた。まだ30分も経っていないことに呆れながらもドラえもんは助けに行き、海中に潜っていかだの底に機械を取り付け無人島まで直行させた。
無事にたどり着けたのび太は大喜びし、この島を発見したのはきっと自分が最初で、この島を「のび太島」と名付けようとはしゃいでいたが、空腹になったので食べ物となる木の実を探しに出た。だが全く見つけられなかったため「腹が減った死ぬ」とわめき出してしまい、これを見ていたドラえもんは「だからリュックも持って行けと言ったんだ」と呆れながらも、パンの臭いでヤシの木まで誘導。
この上に実ったパンを見つけたのび太は大喜びでこれを頬張り、これが噂に聞いたパンの木だなと呑気なことを言っていたが、その時突然の降雨に見舞われ誰か傘を持ってきてと騒ぎだした。「自分で小屋でも建てたらどうだい」と呆れたドラえもんは、のび太を背後から押し、崖を転がり落ちて行ったのび太はその下で洞窟を発見。
そして中で服がびしょ濡れになったことに気付くと、ドラえもんはこっそり服型の葉っぱをその場に置き、これを着たのび太は今度は喉が渇いたと言い出した。そこで地面にドリルで穴を開けて湧き水を飲ませたが、のび太は沈む夕日を見て電灯やテレビ、布団がないことに嘆き家に帰りたいと泣き始めたので、どこでもドアでママに迎えに来てもらい、のび太は遅くまで遊び歩いていることを注意されるも、彼女に跳び突いて泣き始めた。
後日のび太は、空地で皆に無人島で生き抜いたことを自慢げに話し、これにジャイアンとスネ夫は目を点にし、しずかは「のび太さんて、案外たくましいのね」と驚いていたが、真実を知っているドラえもんだけはてへぺろをしていた。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版と水田版で各2回ずつ放送されており、放送日は前者が1979年6月7日及び1989年4月7日、後者が2006年7月14日及び2022年9月17日である。
1979年版
- ママはのび太に割りばしを渡した際、ちゃんと勉強もするよう言っている。
- ドラえもんが風船いかだに取り付けた道具には、「島探知機」という名前が付けられていた。
- ドラえもんはパンを竿で釣ってのび太を木まで誘導している。
- 本編終了後のショートアニメは、いかだに乗って釣りをしていたドラえもんが、振り向いた時には髭がぼさぼさに伸び、体も汚れた状態になっていて、それと同時にいかだ、掲げていた白いシャツ、置いていた缶詰も古びたものに変化しているというものだった。
1989年版
- サブタイトルが「のび太と風船イカダ」に変更
- 冒頭ドラえもん、のび太、ママはラーメンを食べていて、食べ終わった後のび太は割りばしをもらっている。
- のび太が無人島生活を目指したのは皆で空地に集まった際スネ夫が、ロビンソンクルーソーを読んだ感想を父親に言ったところ、無人島にアスレチックを作ることを計画してもらえたので、皆は招待してもらえることになったが、自分だけは無理だろうと言われたからだった。
- ドラえもんは世話にはならないと言われ一度イカダをなおそうとしていて、のび太には水や食料はどうするのかだけ聞いていて、リュックの準備はしていなかった。
- のび太はタケコプターで出て行った後、しずか、スネ夫、ジャイアンに別れを言おうとしたが、皆それぞれの理由から外出中であることを各々の母親から言われてしまった。そこで証拠写真を撮るために港までドラえもんに付いてきてもらい、記念写真もついでに撮ってもらった。
- ドラえもんは同行せず、スパイ衛星を飛ばして尾行させタイムテレビで様子を見ていたところ、いかだの上で原作と同様に立ち往生したため助けに行き、入れ違いで様子を見に来たジャイアンとスネ夫はタイムテレビでのび太の様子を見ていた。ちなみにドラえもんがイカダに取り付けた道具は、「オートマチックスクリュー」という名前になっている。
- のび太は臭いを辿ってパンの木を見つけていたため、ドラえもんは誘導していなかったが、のび太が木に登れなかったため石ころぼうしを使い、落としてあげた。ちなみに木の外見は普通の木だった。
- のび太は雨に濡れた際も「死ぬー!」と叫んでいて、ドラえもんは「雨で死ぬわけないでしょ」とツッコみながら再び石ころぼうしを使い、のび太を洞窟まで連れて行った。
- ドラえもんは洞窟の奥の壁にドリルで穴を開けていた。またのび太の様子を見ていたジャイアンは応援していたが、スネ夫は疑っていたので「お前なぁ、素直じゃないんだよ!」とツッコんでいる。そしてこの後空腹になったことで帰っている。
- のび太を迎えに来たのはドラえもんだけだったため、のび太は声をかけられた途端に駆け寄り今までのことを話している。
- のび太の話を聞いてしずかだけでなくジャイアンも感動しのび太を抱きしめていて、スネ夫も渋々感心していた。そしてラストはドラえもんが「内緒、内緒。ちゃんちゃん」という台詞で締められている。
2006年版
- サブタイトルには「無人島へ大冒険!」の煽り文句が追加されている。
- 冒頭で一同が食べていたのは、ざるそばだった。
- いかだで海に出たのび太は、最初にトビウオの大群に遭遇している。
- ドラえもんは、透明マントを使ってのび太を誘導していて、木に登ったのび太が落ちて来た際は下敷きになってしまった。またパンはこの時、木が揺れたことで落ちて来た。
- のび太は坂を転がり落ちた末、木の枝に引っかかり洞窟を見つけた。
- ドラえもんは洞窟の外の砂浜にドリルで穴を掘っていて、この時のび太はドラえもんの足跡に気が付き、自分より先にこの島に着いた人がいて既に亡くなっているのではと恐ろしくなり、帰ろうとしたがいかだは流され通りかかった船にも気づいてもらえなかった。
- ラストでは、のび太の話を聞いた一同は拍手もしていた。
2022年版
- のび太は、ジャイアンとスネ夫が食べていたカップラーメンの割りばしももらっていて、ママが片付けていた皿は紙製のものだったため何を食べていたのか不明になっている。
- ドラえもんのは『ロビンソン漂流』について軽く説明をしていて、イメージ映像も追加されていた。
- のび太はタケコプターを付けて出て行った後、しずかに声をかけられたが、別れが辛くなると思い「さらば!」と言って去って行ったが、「サラダ」と聞き間違えられ八百屋に行くのかと思われていた。
- 2006年版と同じく、海に出た後のび太はトビウオの大群に遭遇していて、これが当たったことでタケコプターを手放してしまった。ちなみにちょっとだけシーラも映っていた。
- ドラえもんはのび太が無人島に無事到着できた後、一旦帰ろうと思ったが、のび太が蜂に追い回される様子を見てもうしばらく付き合うことにした。
- 1979年版と同じくドラえもんは釣り竿を使ってのび太を誘導していて、パンはフエルミラーで増やしていた。またこのパンはクリームパンで、のび太は取ったパンの下に葉っぱを敷いて汚れないようにしていた。
- のび太は洞窟を見つける前、雨で荒れた川に取り残されてしまったが、運よく倒れて来た木を橋にして渡り、途中落ちてしまったがドラえもんが踏み台になったことで助かった。
- ドラえもんは葉っぱの服を渡した後、ヤシガニに尻を挟まれてしまっている。またドラえもんがドリルで穴を開けたのは1989年版と同じく洞窟の奥の壁だった。
- のび太は「ママのご飯が食べたいよ」とも言っていて、ママは声をかけただけで耳をつねってはいなかった。