概要
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。初登場エピソードはTC30巻及び、藤子・F・不二雄大全集12巻収録「フエール銀行」。
レジスター型の道具で、本物の銀行ATMと同じように金を預けたり引き出すことが出来る。
この説明だけでは「単なる持ち運びが可能なATMでは?」と思うかもしれないが、この道具の恐ろしいところは預金した場合の利子の高さである。
この銀行に預金した場合、なんと1時間に1割の利子で預金が増え続ける。仮に10円預けたとすれば、1週間経つと約9000万円(元の約900万倍)に増える計算となる。
更に、この利率はあくまでも普通預金の話であり、定期預金ならば利子が更に高くなる。例えば1か月定期なら1時間に2割、1年定期なら1時間に5割という凄まじい利子になる。満期時の元金に対する残高の倍率は、1ヶ月定期(30日)なら10の57乗、1年定期(365日)なら10の1542乗を超えてしまう。
ドラえもんが生まれた22世紀はハイパーインフレ社会なのだろうか(TC11巻収録「自動販売タイムマシン」にて、100年後のお菓子の値段は23万円であることが明かされており、やはり相当なインフレが起こっているのかもしれない)。
参考までにハイパーインフレを起こしたことで知られるジンバブエドルの最終的なインフレ率は年率6.5×10^108%で24時間ごとに約2倍になるペースなので、24時間で9.8倍になるフエール銀行はそれすらも上回る超インフレアイテムなのである。
ただし定期預金の場合、満期になるまで預金を引き出すことが出来ず、中途解約も出来ない(「タイムふろしきでフエール銀行の時間を進めたり、タイムマシンで満期が過ぎた後に行って金を引き出せば良いのでは?」という指摘も存在するが、それが可能かは作中で描かれていない為不明)。
無理矢理預金を引き出そうとしたり、銀行に預けられている金を奪い取ろうとすれば銀行強盗と認識され、防犯装置が作動し、金を奪おうとした人間は電撃を浴びせられてしまう。
また、預金だけでなく金を借りることも可能。ただしその場合も利子が発生するのだが、その利子はなんと1時間に2割。闇金も真っ青な暴利である。
万が一借りた金を返さずにいた場合、1時間経つ度に借金者の持ち物がどんどん消えていく。
ストーリー
残りの所持金が10円のみになってしまったのび太は、ドラえもんの言う通りママに預けるべきだったと、激しく後悔し泣き出してしまった。そこでドラえもんはフエール銀行を取り出し、これの説明をするとのび太は元気を取り戻し早速10円を普通預金として預けることにした。
その後皆に笑われながらも嬉しそうに出来上がった預金通帳を自慢し、帰り道おもちゃ屋で5000円の『スペースウォーズ』のプラモを見つけ、一目散に帰宅しお金を引き出そうとするが、まだあれから1時間しか経っていなかったため11円にしかなっていなかった。
そんな時皆が自分達もお金を預けたいとやって来たため、空地に移動しフエール銀行をここにセットしてジャイアンとスネ夫は定期預金として預けることにした。だがすぐにスネ夫は先ほどのプラモを買うために急いでお金を引き出そうとしたが、規則だからと銀行に取り合ってもらえなかった。
これを見ていたのび太は慌ててドラえもんに預けたお金がいつ5000円になるのか尋ねたが、そうなるのは4日目だったため困り果ててしまう。しかしすぐ銀行に貸し出し口があったことを思い出し、再度ドラえもんに尋ねるが利子を取られることを聞かされ諦めることにした。
けれどもお金がなければ取られようがないと考え、やはり借りることにし5000円を借りてプラモを買うことにした。そして帰宅するとドラえもんに見つからないためプラモを庭の茂みに隠しておき、必死に笑顔を隠しながら部屋へ戻り、プラモを組み立てるためドラえもんにどこかへ行かないのか尋ねるが、行く予定はなく座り込んだままだった。
しかしその時のび太の靴下が突如消えたため、ドラえもんに銀行からお金を借りたのか聞かれ、借りてないと嘘を言って何とか誤魔化した。だが利子が払えない場合の罰則を聞かされのび太は慌てて銀行に取り合うが規則だと取り合ってもらえなかった。そしてその時ジャイアンとスネ夫がハンマーを持って銀行を壊しお金を奪い返そうとしたため、防犯装置が作動して電撃を食らい真っ黒焦げになり、一方ののび太も今度は服とズボンが消えてしまった。
ついにのび太はドラえもんに全てを白状するが、その時運良く北海道の叔母さんが正月に渡せなかったお年玉をくれたため、2人は急いでこれを銀行に渡しに行く。だが既に一足遅くのび太は下着を全て取られ全裸になってしまい、この姿をしずかに見られてしまった。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版では1984年3月16日に、水田版では2024年1月13日にそれぞれ放送している。
1984年版
- のび太は10円玉を箱の中に保管していた。またのび太はドラえもんにお金を貸してと頼んだが断られていて、ドラえもんはママに預けるよう言っていない。
- しずかはのび太の十円の預金通帳を笑っておらず、「十円の預金なんて可愛いわ」と言っていた。
- 皆がのび太のもとに来たことはママが知らせている。
- スネ夫が預けた金額は5000円で、ジャイアンが預けた金額は300円だった。そしてこの後しずかは普通預金で預けている。
- のび太が利子を借りることを考えている間、ドラえもんは漫画を読んでいた。
2024年版
- のび太が10円を預けてもしょうがないと思ったのは、大した利子も付かないと思ったから。
- のび太に十円の預金通帳を見せられた際しずかは「いいじゃない。コツコツ貯金してたらいつかお金も貯まるわ」と言っていた。
- お金を預けた後スネ夫は本物の車や飛行機も買うことができると、胸を高鳴らして帰っていて、この道中で『スペースウォーズ』のプラモを見けた。
- ドラえもんは横に大量の漫画を置き、漫画を読んでいた。
- ジャイアンが持っていたハンマーは木製のものだった。
- のび太が全裸になるまでの描写はスローモーションで描かれており、のび太の下半身はドラえもんの足で隠されていた。
関連項目
イシャ料しはらい機:ターゲットの資産を自動で換金し、所持品を消していくことで最終的に全裸になってしまう点が共通している。