「我は小悪魔なり。汝が呼び声に応じ推参した。さあ願いを言え。その代償で、我は魔界の階級を手に入れよう。まずは書面の規約と個人情報保護方針を確認の上……って、え?違う?じゃあなんで呼んだのー?」
「『我が呼びかけに応え その姿を顕現させよ
異界の徒 虚空の使者 見捨てられた子たちよ
我とともに 万物万象 ことごとく討ち滅ぼせ』
しょーーーーーーーーーーーーーーーーかんっ!」
概要
東方ロストワードのストーリーの一つである秘封ロストワードの記号E9「偽りの楽園を求めて」に登場する、運命を歪められた小悪魔。
魔界出身者は『魔界人』、魔界の魔力によって魔法生物化した人格的存在を『魔人』と呼ぶようだが、この小悪魔は、魔界出身の魔界人であっても魔人ではないようで、いわば魔界の一部であり魔界の創造神によって創られた存在である。
パチュリーと協力して詠唱を唱えることで、『異界の徒』『虚空の使者』なる存在を召喚することも可能。召喚した人物が本物かどうかは不明だが、別世界のこいしが復元した複霊たちに対抗できる程度の実力を誇る。
通常の小悪魔と比べて髪が短い。これは公式設定ではショートヘアであるためと思われる。
プレイアブル化
実装形態 | 超フェス |
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式 | 回復式 |
気質 | 春霧 |
拡散 | ホワイトレイヴン |
集中 | キャットボックス |
スペカ1 | 魔符『ラプラスデーモン』 |
スペカ2 | 魔符『ツインパラドックス』 |
ラスワ | 『シラードのエンジン』 |
テーマ曲
高等魔法の集大成のテーマ曲は、Melodic Tasteの「ヴワル魔法図書館」。原曲は、「ヴワル魔法図書館」。
余談
気質は「春霧」。春に立つ霧のこと。
ショットの「ホワイトレイヴン」「キャットボックス」の元ネタはヘンペルのカラスとシュレーディンガーの猫。
「シュレーディンガーの猫」は、量子力学の基本「コペンハーゲン解釈」に異を唱えたオーストリアの物理学者エルヴィン・シュレーディンガーが1935年に発表した猫を使った思考実験。量子のふるまい次第で毒ガスが発生する箱の中に猫を入れ、一定時間経過後に果たして猫は生きているか死んでいるか、というもの。
あくまでも思考実験なので、実は「箱を開けるまで結果は不確定だ」という例えに使うのは誤り。
また、音楽CD「燕石博物誌 ~ Dr.Latency's Freak Report.」の楽曲にも「シュレディンガーの化猫」という楽曲がある。
「ヘンペルのカラス」は、ドイツのカール・ヘンペルが1940年代に提出した、帰納法が抱える根本的な問題を指摘する問題のこと。
「All ravens are black.(全てのカラスは黒い)」という命題を証明する以下のような対偶論法を指す。「AならばBである」とその対偶「BでないものはAでない」の真偽と同値だから、「全てのカラスは黒い」という命題の真偽と「全ての黒くないものはカラスでない」の真偽を証明すれば良い……という問題。
なお白いカラスは実在しているため、この命題は反証されている。
スペルカード・ラストワードは東方ロストワードオリジナルだが、魔符『ラプラスデーモン』の演出は元ネタを同じとする八雲紫のスペルカード「魔眼「ラプラスの魔」」に似せているほか、魔符『ツインパラドックス』はL1世界の小悪魔のショットを使っている。元ネタは『ラプラスの魔物』と『双子のパラドックス』。
『ラプラスの魔物』とは、主に近世・近代の物理学分野で、ピエール=シモン・ラプラスによって提唱された因果律に基づいて未来の決定性を論じる時に仮想された超越的存在の概念のこと。しかし学問の発達により、近世・近代には様々な自然現象がニュートン力学(古典物理学)で説明できるようになったことで、量子力学の不確定性原理によって否定された。
『双子のパラドックス』は、特殊相対性理論による運動系の時間の遅れに関して提案されたパラドックスのこと。もともと相対性理論に内部矛盾があるかどうかについてアインシュタイン本人が時計のパラドックスとして出した問題だったが、1911年にポール・ランジュバンが双子をモデルしたパラドックスに仕立てたため、双子のパラドックスとして有名になった。
「地球に残った双子の弟と光速に近い速度で飛ぶことができるロケットに乗った双子の兄、宇宙の遠くまで旅行したのちに地球に戻ってくるものとする……」というストーリー。
「シラードのエンジン」は1分子を使った装置で、「マクスウェルの悪魔」を簡単なモデルにしたもの。分子の存在を観測してその結果に応じて操作を変えることでエネルギーを取り出す。『悪魔』が同じ大きさの2つの部屋のどちらに分子があるかを観測することで熱力学の単位で以下の量のエントロピーが減少することを示した。
(ΔS = k ln 2)
※ΔS(ビット):エントロピーの量
k:ボルツマン定数
「つまり、記憶を失えば魔力を取り出せるってこと。……あれ?また何か重大なこと、言っちゃいました?」(「シラードのエンジン」の解説文より抜粋)
後にこの小悪魔が描かれたやむっ氏の絵札が実装されたが、やはり「ラプラスの悪魔」や「パラドックス」に関する難解なネタがある。
関連タグ
姫海棠はたて・・・ロストワードにおける彼女も『現象判断のパラドックス』という、「パラドックス」の名前を冠する技を持つ。
[紅]名もなき小さな悪魔 小悪魔・・・同じく別世界の小悪魔。
シュレーディンガーの猫 ヘンペルのカラス ラプラスの悪魔 双子のパラドックス マクスウェルの悪魔