概要
R.U.R.(Rossumovi univerzální roboti:ロッサム万能ロボット会社)は、チェコの作家カレル・チャペックが1920年に発表した戯曲で、チェコ語で労働を意味する「robota」から「ロボット」という言葉と概念を考案し使用した記念碑的作品である。
当時オーストリア=ハンガリー帝国のセルビア人貴族の支配から独立したばかりのチェコは、ロシア革命の影響下にあり、労働者と富裕層との間の階級対立が社会問題となっており、本作は貴族階級の没落および社会主義革命の脅威がテーマとして扱われている。
なおこの作品に登場する「ロボット」は、今日知られる金属製で機械仕掛けのものではなく、有機素材で製造された、現在で言うところの労働用バイオノイド(人造人間)である。
あらすじ
時は未来。とある孤島にあるR.U.R社のロボット工場に、同社会長の娘であるヘレナ・グローリーが訪れ、ロボットにも心があるはずなので、彼らにも人権を認めてほしいと社長であるハリー・ドミンに訴えかけてくる。
ヘレナに一目惚れしたドミンは、ロボットを用いることによる労働からの解放と、社会と経済の発展についてを熱く語り求婚する。
しかし、全ての労働をロボットに依存した人間たちは徐々に堕落していき・・・
余談
この作品のロボットの設定は、プラハのユダヤ人社会の伝承に登場するゴーレムが発想元であるといわれる。
創作における人間の堕落とロボットの叛乱という設定は、すでにこの作品の時点で完成しており、アシモフがロボット三原則を発表するまで、後発のSF小説やコミックでロボットが登場すると、同様の展開になることが多かった。
当初、第二幕でロボットが叛乱を起こしたところで終幕であり、英米にはその状態で紹介されていた。その後、希望が見出せる第三幕が発表されている。
機械仕掛けのロボットのイメージは、1935年にソビエト連邦がこの戯曲を映画化した『Гибель сенсации』(『鉄の暴動』というソ連の小説がベース)で顕著である。
ロボットという言葉じたいは兄のヨゼフが考案したとカレル・チャペックは言っており、その後の機械式ロボットについては良い感情を持っていなかったようで、「歯車、光電池、その他諸々の怪しげな機械の部品を体内に詰め込んだブリキ人形を、世界に送り出すつもりは作者にはなかった」との言葉を残している。
関連タグ
のび太と鉄人兵団/のび太とブリキの迷宮/のび太とロボット王国