RADEON
らでおん
アメリカの半導体メーカー・アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が開発しているGPU、およびそれを搭載したビデオカードのブランド名である。
かつてはATiが開発しており、2006年にAMDに買収されて以降もしばらくはATiブランドで販売されていたが、2010年のHD 6000シリーズをもってブランドもAMDに統合された。
AMD公式では「レイディオン」読みだが、日本のユーザーの間では「ラデオン」や「ラディオン」のようにローマ字読みされることが多い。
- 基本
- 同一世代であれば数字が大きいほうが高い性能になる。
- 末尾のアルファベットはXTX>XT>Pro>(無印)>SE>LE の順に性能が高くなる。
- GTやGTO、Dual GPU製品のX2Xなどの例外や一部下剋上が起きている製品がある。個別欄にて解説。
- 数字部分
- 左1桁目:世代番号を表す。
- 左2桁目、3桁目:性能区分を表す。
性能区分 | 説明 |
---|---|
9x | ハイエンド(最上位モデル) |
8x | 〃 |
7x | ミドルレンジ(中間モデルで、その時点の主要3Dゲームの殆どが動作可能) |
6x | 〃 |
5x | 〃 |
4x | ローエンド(下位モデルで、CPUの内蔵GPUと互角か少し高い程度の性能) |
3x | 〃 |
無印 7000シリーズ
それまで使われていたRageブランドを捨て、Radeonの名を初めて冠した記念すべき世代。
- RADEON 7500
- RADEON 256 → RADEON → RADEON 7200
- RADEON VE → RADEON 7000
HD 2000シリーズ
登場時期 | 2007年 |
---|---|
アーキテクチャ・コードネーム | TeraScale(初代)、R600系 |
製造プロセス | 80nm・65nm |
HD 5000シリーズ
- HD 5970
- HD 5870 Eyefinity 6
- HD 5870
- HD 5850
- HD 5830
- HD 5770
- HD 5750
- HD 5670
- HD 5570
- HD 5550
- HD 5450
HD 6000シリーズ
- HD 6990
- HD 6970
- HD 6950
- HD 6870
- HD 6850
- HD 6790
- HD 6770
- HD 6750
- HD 6670
- HD 6570
- HD 6450
HD 7000シリーズ
新アーキテクチャ「GCN」を採用した最初のシリーズ。
- HD 7990
- HD 7970 GHz Edition
- HD 7970
- HD 7950
- HD 7870
- HD 7850
- HD 7790 (これのみ下記次世代を先取りしたGCN2)
- HD 7770
- HD 7750
- HD 7730
なお、HD 8000シリーズも存在しているが、OEM向けの展開であることと、ラインナップのほとんどがHD 7000シリーズの使いまわしなので省略する。
R5/R7/R9 200・300シリーズ
200シリーズは2013年、300シリーズは2015年に登場。
このシリーズはGCNの世代がグチャグチャで非常にわかりにくい。
たとえばR9 380系では第3世代だったのが、R9 390系で第2世代へ逆戻りするなど、下剋上が起こってしまっている。
なお、100シリーズではなく200シリーズから始まっているが、それについて特に理由はない模様。
- R9 295X2 (GCN2)
- R9 290X (GCN2)
- R9 290 (GCN2)
- R9 285 (GCN3)
- R9 280X (GCN1)
- R9 280 (GCN1)
- R9 270X (GCN1)
- R9 270 (GCN1)
- R7 265 (GCN1)
- R7 260X (GCN2)
- R7 260 (GCN2)
- R7 250X (GCN1)
- R7 250 (GCN1)
- R7 240 (GCN1)
- R5 230 (もはやGCNですらない)
- R9 Fury X (GCN3)
- R9 Nano (GCN3)
- R9 Fury (GCN3)
- R9 390X (GCN2)
- R9 390 (GCN2)
- R9 380X (GCN3)
- R9 380 (GCN3)
- R7 370 (GCN1)
- R7 360 (GCN2)
RX 400・500シリーズ
400シリーズは2016年、500シリーズは2017年に登場。コードネームは「Polaris」(ポラリス)。
この世代からはコードネームに恒星の名前が使われるようになり、また、「DirectX 12」「Vulkan」などの最新APIに最適化された。
今までのシリーズと比べると、ラインナップが見違えるほどスッキリしており、(自作市場に流通しているものであれば)GCNの世代もすべて統一されている。
なお、この400・500シリーズでは6万円以上のハイクラスモデルは登場せず、その役割は後述するRX Vegaシリーズに譲ったのだが…
- RX 480
- RX 470
- RX 460
- RX 590 (これだけ12nmプロセス)
- RX 580
- RX 570
- RX 560
- RX 550
RX Vegaシリーズ
Rx 300シリーズ以来、約2年振りとなるハイエンド帯を担ったシリーズ。コードネームは「Vega」(ベガ)。
GeForce(GTX 10シリーズ)とは性能面でしっかりと戦えてはいたものの、電力効率はとても悪く、無駄に高い消費電力がネックとなっていた(特にVega 64)。
さらに、同時期に発生した仮想通貨マイニングブームのせいで、ビデオカードの入手性が悪くなっていたことも災いし、人気は低かった。
- RX Vega 64
- RX Vega 56
なお、後の2019年には、7nmプロセスを世界で初めて採用したGPU「Radeon VII」が登場している。
- Radeon VII (7nmプロセス)
RX 5000シリーズ
これまで使われてきた「GCN」アーキテクチャは、ゲーム用途も科学計算用途(コンピューティング)も一つのアーキテクチャでこなしてしまおう、という思想で設計されたものだったが、その半端なやり方のせいで、競合のGeForceとは性能でも電力効率でも劣ってしまっていた。
この事態を受け、ゲーム特化のアーキテクチャとして作り直されたのが「RDNA」である。
コードネームはNavi(ナヴィ)だが、これ以降の世代はずっとNaviを使っているため、区別する場合「Navi 1x」とも呼ばれる。
GeForceに先んじて、一般消費者向けビデオカードとしては初となるPCI Express 4.0に対応。
GeForce(RTX 20シリーズ)より電力効率で優れていたが、実性能では追いつくことが出来ず、7万円以上のハイエンド製品も出せず仕舞いだった…
- RX 5700 XT
- RX 5700
- RX 5600 XT
- RX 5500 XT
RX 6000シリーズ
コードネーム「Navi 2x」。
TSMCの7nmプロセスで製造されたという点では、前作RX 5000シリーズと同じだが、回路設計は新しくなっており、電力効率と動作クロックが大幅に引き上げられた。
これまでのRadeonは、GeForceに対して性能で後れを取っていたが、この改良のおかげで、同世代のGeForce(RTX 30シリーズ)と対等に渡り合える実力を手にすることができた。
但し、バス幅が狭かったため、4Kでは性能が伸び悩んだ他、レイトレーシング性能ではライバルに敵わなかった。
同社のRyzen 5000シリーズと組み合わせると更に性能がアップする※。
また、このシリーズから初めてレイトレーシングに対応する。
RX 5000シリーズでは出ることのなかったハイエンドモデルもしっかり登場している(RX 6800以上)。
但し、PCゲームではソフト側が最適化されていないと性能を生かしきれないこともあったため注意。
下位モデルである6500XTと6400はコストカットの影響でインターフェイスがx4幅に制限されており、PCIe 3.0で使用すると性能が低下してしまうため注意が必要。また、ハードウェアエンコードには一切対応しておらず、動画配信・エンコード等はCPUだけで行わなければならないため、YouTuber等のクリエイティブユーザーには向かない。
※Ryzen 5000シリーズと組み合わせた際に、本来よりも高い性能を発揮するとのこと。具体的にはCPUがPCI Expressバスを通してVRAM全体にアクセスできるようにする技術「SAM(Smart Access Memory)」によるもの。
なお、SAMの仕組み自体はAMDが独占しているわけではなく、元々は今まで誰も使ってこなかったPCI Expressの標準機能を、AMDが初めて使い始めたというだけのことであり、後にIntelやNVIDIAのような競合他社も対応している。
- RX 6900 XT
- RX 6800 XT
- RX 6800
- RX 6700 XT
- RX 6700
- RX 6600 XT
- RX 6600
- RX 6500 XT
- RX 6400
2022年には、一部モデルのコアクロック・メモリクロックを引き上げた強化版(RX 6050 XTシリーズ)が追加された。
- RX 6950 XT
- RX 6750 XT
- RX 6650 XT
RX 7000シリーズ
2022年11月発表、コードネーム「Navi 3x」。
一般消費者向けグラボとしては業界初となるチップレット設計を採用し、グラフィックを担当するGCDは5nm、キャッシュやメモリを担当するMCDは6nmになっている。
先代と比較してバス幅が拡張されたため、4Kゲーミングも強化された。
先代と同じくレイトレーシングに対応する。性能はさておき…
ライバルと比較してワットパフォーマンス(電力効率)では優位に立っていること、しばしば融解問題が報告されている12VHPWR補助電源を使っていないこと(従来通りの8ピン×2)、安コストかつ高性能❨RTX4080が1199ドルに対し、RX7900XTXは999$。処理能力はRadeon RX 7900 XTXが61TFLOPS(単精度)、GeForce RTX 4080は48.7TFLOPS(単精度)であることを売りにしている)。
他に、DisplayPort2.1、AV1エンコード、デコードに対応した。
- RX 7900 XTX
- RX 7900 XT
注:日本でのコスパについて
- 7900 XTXの日本円価格は約18万円〜とRTX4080より4〜5万円ほど安価だったが、ライバルがあまりにもコスパが悪く不人気だったため値崩れし、23年2月現在両者に大きな価格差はない。また、ゲーム性能もタイトルによるが両者に大差はない。