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VM-T

あとらーんと

VM-Tとは、ミャスィーシチェフ設計局が開発した"輸送機のような何か"である。
目次 [非表示]

こんな飛行機が現実に存在し、しかも実際に飛んでいたんだぜ……?


概要編集

ソ連スペースシャトルこと宇宙船ブランの輸送用に開発された規格外貨物輸送機

中の人(元ネタ)は同じくミャスィーシチェフ設計局が開発した爆撃機M-4である。


開発の経緯編集

ソ連版の宇宙往還機・ブランをバイコヌール宇宙基地まで輸送するために、M-4爆撃機を改造して製作された輸送機。

トドのつまりがAn-225の兄弟分と言える機体である。

元々、ミャスィーシチェフ設計局はAn-225の生みの親であるアントノフ設計局(現在のウクライナ国営企業「アントノフ」)よりも先行するために、「まずはM-4をほぼそのまま流用した機外搭載型輸送機の設計案」を当局に提出し、採用を受けてから本命となる輸送機の設計を行うのがミャスィーシチェフのプランだった。



……しかし当時は東西冷戦の真っ只中である。ハンバーガー主食にコーラをかっ込む国なんかにソビエト・ロシアが後れを取るわけにはいかない。しかもこの計画に際して共に案を提出したツポレフイリューシン


・「高足ガニのような固定脚を有する高床式の航空機の胴体下に貨物をぶら下げるスタイル」

・「ジェット機の時代において大型の双胴機とし、その中央に貨物をぶら下げるスタイル」


など、「設計技師がウォッカを浴びるように飲んで図面を引いただろ」と言わんばかりの奇抜で前例のない機体案が出てきたこともあり、さもすれば自分達の首が飛びかねない環境の中で「最も常識的かつ実用的な」ミャスィーシチェフ案が採用される運びとなった。

(他にも最終組立前の計画重量に満たないエネルギアロケットやブランなら既存機改造の輸送機でも輸送可能と判断されたため、という説もある。)


なお、「本命のミャスィーシチェフ案」は「M-4のエンジンと主翼を流用しつつ、胴体部分を再設計した機体」であったとされ、その系譜はAn-124の拡大版であるAn-225にも通ずるモノがある。


機体編集

M-4爆撃機を改造した機体であり、「規格外貨物輸送機」としてはスリムなボディをしている。

こんな細っこい機体のどこに、ブランや大型貨物を積むのか?


……そんなの簡単だ。

機内に積めないなら機外に取り付けてしまえばいい。

大体、戦闘機爆撃機だってミサイル爆弾燃料タンクを主翼の外側にぶら下げてるんだ。

大型機でやっちゃあいけないというルールなんてない。


とかなんとか言うノリで考案されたとしか思えない。

そう、機体の上にブランや貨物コンテナを背負って輸送するというかっとビングという言葉すら超越したスタイルの輸送機なのだ。


その姿は……もう「デタラメ」とかそんなものを全速力で置き去りにしている。

見た目だけでも空気抵抗とか航空力学にスクリューパイルドライバーをぶちかましているようなデザインなのに、こいつが実際に飛び、現在に至るまで致命的な事故もなく全機稼動状態にあるというのがおそロシア……。

(後に涙滴型の小型コンテナを搭載して輸送任務に就いたものの、それでも機体本体の断面積を上回る直径を有している。)


この機体を見た西側の航空評論家はこう評したという。

ソビエト的合理主義は、時に科学という名の魔法によって飛行機を飛ばせることを可能とする。


…ちなみに、操縦性は兄弟分とは違い、フライ・バイ・ワイヤを採用したにもかかわらず操縦性は劣悪を極め、コンテナ搭載時の安定性は見た目相応に悪く、コンテナ非搭載時であっても巨大な垂直尾翼が逆に安定性を上げ過ぎてしまいやはり劣悪であり、離着陸時には横風に機体後部が煽られやすく非常に危険であったという。


関連項目編集

飛行機 航空機 輸送機

ブラン

M-4(元ネタ) An-225(違う設計局のライバル的存在)

ボーイング747 - スペースシャトル輸送のために本機と似たようなことをやった機体がある。

スーパーグッピー ベルーガ - 西側の規格外貨物輸送機の一つ。飛行機の常識を蹴っ飛ばした「こんなの飛ぶのか?」と言いたくなる見た目もなんとなく似ている(?)。

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