各世代
iMac(トレイローディング)1998年〜1999年
ポリカーボネート製の丸みのあるボディに15インチCRTディスプレイを内蔵。丸みを帯びた愛嬌あるスタイルと半透明の青緑色のカラーで、性能と価格ばかりが重視されがちであったパソコンにセンセーションを巻き起こした名機。CPUは当時のハイエンドモデルと同等のPowerPC G3で、コスパも競合のWindows PCに負けていなかったことが人気の秘密である。1999年のマイナーアップデートモデルからストロベリー、ライム、ブルーベリー、タンジェリン、グレープの5色のバリエーションが出た。
後続のモデルと比較すると、内蔵CRTの画質もいまいちで、バネで押し出されるトレイローディングCD-ROMドライブや、ファンの騒音、真円形で上下が把握しづらいマウスなど荒削りな部分が目立ち、内蔵スピーカーの音質もあまり良くないが、Windows PCは無骨なベージュ色の箱でスピーカーすら内蔵していないのが当たり前な時代であり、当時は問題にされなかった。ただし、外部ポートがUSBポートとLANポートのみで拡張スロットを持たない(Mezzanineスロットという隠し機能があったがサポートされなかった)など拡張性に乏しく、ネジ留めの筐体を開けないとメモリを増設することができない点は不満の声があった。
iMac(スロットローディング)1999年~2002年
15インチCRT内蔵の丸みを帯びたデザインはキープコンセプトであるが、ざらついた梨地仕上げの先代モデルに対し、つややかで透明度の高いボディが特徴。ボディから透けて見える内部の美しさにもこだわっており、CRT内蔵iMacの決定版とも言える存在である。
CDやDVDを裸のまま挿入口に差し込むだけで、自動的に中に引き込んでくれるスロットローディングドライブを採用した。CPUは先代と同様のPowerPC G3であるが、低発熱の同プロセッサの特色を生かして内蔵ファンを廃しており、動作はとても静かであった。またハーマンカードン社製のスピーカーを搭載し、音質にもこだわっている。
また、USBとLANポートに加えてFireWireポートを内蔵し、拡張性も幾分改善された。本体底部の蓋を開けることで簡単に無線LANやメモリを増設することができるようになっている。またネジを外して筐体を開ける必要があるがハードディスクドライブの交換なども容易にできる。歴代のiMacの中で比較的簡単に分解できるのはこのモデルと次のiMac G4だけである(他のモデルは分解に独特のコツが必要だったり、筐体が接着剤で密封されていて素人の手に負えない代物だったりする)。
付属のマウスは楕円形のPro Mouseとなり、内部の黒い構造部が透けて見えるデザインから日本では葛餅の異名があった。
歴代でも最も多種類の色柄が用意されたモデルで、異色のカラーバリエーションとして水玉模様のブルーダルメシアンや花柄のフラワーパワーがあった。
iMac G4 2002年〜2004年
この世代のiMacはCPUがPowerPC G4であることから、iMac G4と呼ばれる。白い半球型の本体から出るステンレス製のアームが液晶ディスプレイを支える特徴的な構造で、独特のスタイルから日本では大福の異名があった。カラーバリエーションは廃止された。スティーブ・ジョブズはこのiMacをsunflower(ヒマワリ)のようだと呼んでいた。
ディスプレイサイズは当初15インチのみだったが、後に17インチワイド、20インチワイドモデルが追加された。付属のスピーカーは外付けとなった(内蔵スピーカーも一応ある)。冷却用のファンが復活しているが、よほど重い処理をさせないかぎり耳を近づけないと気づかないほど静かである。2003年9月以降の後期型はUSB 2.0を搭載した。
iMac G5 2004年〜2006年
64ビットのPower PC G5モデルは、アスペクト比が16:10の17インチまたは20インチ液晶ディスプレイとステレオスピーカーを内蔵した四角い薄型ボディをアルミ製のL字型スタンドで支える、液晶一体型PCとしては常識的なスタイルとなった。
独特のひょうきんさのあったiMac G4に比べてデザイン的な面白みは薄いが、机上の占有面積が少ないという点では優れており、このスタイルは後続のモデルにも引き継がれた。もっとも発熱量の大きなG5プロセッサと液晶ディスプレイ、GPU、ハードディスクドライブを薄型ボディにおさめたことから冷却性能に難があり、2005年10月発売の後期型は全面的な改設計が行われた。なお、この後期モデルはiSightと称するWebカメラをディスプレイ上部に内蔵している。
iMac(インテルベース) 2006年〜2020年
Intel CPU搭載iMacの初期は、外見上iMac G5の後期型と区別が難しいほど酷似している。ディスプレイサイズやスピーカー、Webカメラ、外部ポートなどの仕様もほとんど同じである。
デザインは2009年10月のモデルで全面的に刷新され、銀色のアルミニウムとガラスを使ったスタイルとなった。ディスプレイは21.5インチまたは24インチ、アスペクト比が16:9に変更された。このスタイルは2020年まで約10年にわたって維持され、歴代で最も長い間親しまれたデザインとなった。
この時期のiMacのユニークな機能として、DisplayPortを搭載したパソコンの外付けディスプレイとしても使うことができるターゲットディスプレイモードがある。2012年10月発売モデル(Late2012)は筐体の薄型化に伴い光学ドライブが廃止され、ディスプレイがカバーガラス一体型のフルラミネーションディスプレイになっている。この構造のため、これ以降のiMacは分解がかなり難しい。
2014年10月に登場した新しい27インチモデル(Late 2014)は画素数が従来の4倍のRetina 5Kディスプレイ(5120×2880ピクセル)を搭載。しかし、これ以降のiMacは21.5インチモデルも含めてターゲットディスプレイモードが廃止され、外部機器の表示装置として使うことはできなくなってしまった。2019年3月にはiMacの全モデルがRetina化されている。またこの代からはApple Store限定でスタンドを持たない、壁掛けまたはモニタアーム専用のVESAマウントモデルがラインアップされた。
2017年12月にはMac Pro並みの処理能力を誇る派生モデルのiMac Proが登場している。こちらは通常のiMacとの差別化のため、ボディカラーが黒っぽいスペースグレイとなっている。
iMac(Appleシリコン) 2021年〜
SoCにApple自社製のAppleシリコンを採用、アルミニウム製ボディに4480×2520ピクセル(Appleは4.5Kと称する)の24インチディスプレイと6スピーカーを内蔵した。筐体の厚さはわずか11.5mmと単体液晶ディスプレイ並みかそれ以下の薄さを誇り、まるで巨大なタブレットのようなスタイルである。
久しぶりに7色のカラーバリエーションが用意された。ノート型Macの主力モデルであるMacBook Airがスペースグレイ・シルバー・ミッドナイト・ゴールド/スターライトとシックな色を揃えているのに対し、iMacはグリーン・シルバー・イエロー・オレンジ・ブルー・パープル・ピンクとビビッドな色を揃えた。
本体には一応冷却用ファンもついているが、Appleシリコンの発熱の少なさのため、ほとんど意識されることはない。メインメモリとVRAM兼用の統合メモリアーキテクチャであるにもかかわらずメモリ搭載量は8GBと控えめだが、Appleは通常のPCの16GBに相当すると主張している(この主張は全く的外れでもない)。だがメモリはSoCに直付けで増設が不可能であることから、16または24GBメモリを購入時のみ選択可能なオプションにしていることには疑問の声も多かった。また、27インチモデルがなくなったことから、一部のプロユーザーからは不満の声が漏れた。本体と同色のアルマイト処理を施したマウスまたはトラックパッドとワイヤレスキーボードが付属する。Apple Store限定だがVESAマウントアダプタ搭載モデルも引き続きラインアップしている。電源はそれまでのモデルと違い外付けであり、LANポートも電源アダプターに内蔵している。
2023年登場のM3プロセッサ登場モデルでも標準搭載メモリは8GBのままであったが、2024年のM4モデルからは16GB標準になった。7色のラインアップは以前と同じだが、少し色合いが鮮やかになった。最大2台の6Kディスプレイに対応し、前面パネルは写り込みが少ないナノテクスチャガラスがオプションで選択可能になった。付属するキーボードやマウスの充電端子がUSB Type-Cに統一された。
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