概要
机の上に据え置いて使うタイプのパソコン。現在では持ち運びできるノートパソコンに対して、据え置き型のパソコン全てをデスクトップパソコンと呼ぶことが多い。その中でも特に小型のものは「ミニPC」、ディスプレイ一体型のものは「一体型PC」として呼び分ける。
昔は横置きでディスプレイやキーボードが別体のものを指し、メイン画像のような縦置きのものはタワー型と呼んでいたのだが、後に区別されなくなった。CRTが廃れた今日、ディスプレイを上に載せて使う古典的なスタイルのデスクトップパソコンはほとんど見かけない。
通常、電源ユニットを内蔵しバッテリーを持たないが、薄型のディスプレイ一体型やミニPCには、ACアダプタが外付けのものやバッテリーを内蔵したものがある。
据え置き型パソコンの歴史
1980年代はノートパソコン(ラップトップ)がまだ一般的でなく、横置き筐体にCRTを載せて据え置きで使うもの(狭義のデスクトップパソコン)が主流だった。8ビットパソコンにはPC-8001シリーズやMSXなどキーボード一体型のものも多かった。その他、縦置きのタワー型(初代FM-TOWNSなど)、CRT一体型(PC-9801CSなど)といった形態があった。
1990年前後の日本のパソコン市場は「日本語表示の壁」があり海外からの進出が難しく、PC-9801が「国民機」であった。DOS/Vの登場でPC/AT互換機でも日本語表示が可能になり、1992年のコンパックを皮切りにAT互換機メーカーが次々と日本に進出し98の牙城を脅かす。AT互換機は仕様が公開されているので自作が可能であり、1995年に「プラグ&プレイ」を売り物にするWindows95の登場で自作PCのハードルが格段に下がった。
1990年代後半にはディスプレイサイズも15インチ→17インチ→19/20インチと大型化が進み、大型のCRTを筐体の上に置くと背が高くなりすぎるので、古典的なデスクトップパソコンは廃れていった。しかし、タワー型は占有面積が広くなるという問題があるので、90年代末には拡張性を割り切って薄型化した省スペースのスリムタワー型が主流となった。またiMacの登場でCRT一体型PCも見直された。
2000年代以降は低価格化したノートパソコンが市場の主流になり、デスクトップパソコンのディスプレイもCRTから液晶へと移り変わる。USBの普及でパソコンに内部拡張性を求めるニーズも減少したが、まだノートとデスクトップには性能差があったことと、大画面を求めるニーズからデスクトップパソコンの需要がなくなることはなかった。2000年代中盤ごろから(Windowsの)デスクトップパソコン市場は「省スペース」「何でも入り」を求めるユーザーのニーズに応え店頭販売される大手メーカーの液晶一体型と、「安さ」「自分で構成を選べる」「拡張性」を求めるショップブランド・ネット注文・BTOに二分される。2005年にはノートパソコンの部品を利用し内部拡張性を切り捨てた超小型デスクトップパソコン(Mac mini)が登場、その斬新なコンセプトは業界に衝撃を与え、ミニPCというジャンルを生み出すきっかけとなった。
2010年代にはスマートフォンやタブレットPCの台頭でパソコン自体の需要が減退したものの、FPSブームや動画配信ブームを追い風に、ゲームや動画編集に使いやすいビデオカード搭載デスクトップパソコンの需要は根強いものがある。それでもデスクトップパソコンのシェアはパソコン全体の出荷台数の1割にも満たない。
ノートパソコンとの比較
持ち運びができコンパクトなノートパソコンがパソコンの主流になって久しい。今やノートパソコンに大画面の外付けモニタとワイヤレスキーボードを接続してデスクトップのように使うことも可能である。
だが、ノートパソコンは筐体の小ささのため熱がこもりやすく、性能に制限がかかりやすい(特に夏場)という大きな欠点がある。このことから、動画編集や3DCG、PCゲームのように長時間重い負荷がかかる作業はデスクトップに分がある。
またパーツの交換や増設ができ、拡張性に優れる。特に高性能なGPUを搭載したビデオカードを組み込めるため、8K出力のような極端な高解像度出力はデスクトップの独壇場である。