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「さあ始めようか 殺し合いを」

「・・・・俺にもわからん ただ何故だか貴様をほうってはおけなかったんだ」

「この素顔こそが俺の 雅様への忠誠の証なんだ」

概要編集

黒山羊の被り物と腰巻きを纏った風貌の吸血鬼で、他種の吸血鬼の血を取り込むことで異能の力を得た混血種(アマルガム)


名前の由来にもなっている巨大なが武器で、正面から突っ込んでくる軽トラも一刀両断できるほどの凄まじい破壊力を誇っている。

また武術としての斧捌き・拳を組み合わせた戦い慣れっぷりも相当なもので、地獄谷の戦いでは宮本明をして大苦戦を強いられた。

(これは、彼が吸血鬼になる前から戦闘面で斧の扱いに秀でていたためだという。)



斧神様の過去編集

彼の本名は村田藤吉(むらた とうきち)で、吸血鬼になる前は師匠の弟子の一人でレジスタンスに属し、明さんの兄、宮本篤とは幾度もの死線を共に乗り越えた戦友だった。

彼の両親は作中時点で共に病で他界しており、一人残った弟の村田武も島の戦いで散ったという。


しかし彼岸島での度重なる戦闘のさなか感染し、吸血鬼ウィルスに感染してしまう。それでもなお彼は諦めず、軍門に降るフリをして吸血鬼のリーダー・雅様との相打ちを狙うべく吸血鬼側につくが、ふと雅が彼に語った「誰も病に苦しまない世界を創る」という思想に徐々に共感を覚え、次第に彼に忠誠を誓うようになっていく。

この時の彼の感情の変化は、昔斧神様の両親が病で没したことにも深く根ざしている。


さらに雅様から勧められて同族の吸血鬼の血を混ぜ、さらなる力を獲得した混血種となった際には頭部が崩れ、首の箇所にいくつもの目と歯が入り交じったような醜い異形の姿となるが、代わりに全身を凄まじい硬度に変化させる能力を獲得した。

普段はこの醜い見た目を黒山羊の被り物で隠すこととし、彼はその戦闘方法と山羊の面から「斧神」として両陣営で知られるようになる。


彼の戦闘能力編集

元々訳あって吸血鬼軍内に潜入していた田中さんが知る中では最も残酷かつ凶暴な吸血鬼で、気に入らない者は全て斧で惨殺してしまうが、戦いを神聖なものとしており、その武技は敵である明すら戦闘中に感激を覚えるほど洗練されている。主人である雅も斧神の戦闘力と忠誠心には一目置いており、ここぞという拠点は彼に守らせたりと右腕として絶大な権限を与えている。


斧神様のアマルガム固有の特殊能力として鋼の体による圧倒的な防御力を有しており、これに彼の人間時代からの卓越した戦闘センスの才能と吸血鬼の無尽蔵のスタミナが組み合わさることで凄まじく彼向きの能力となっている。

戦闘面では鋼鉄の体でいかなる敵の攻撃をも無効化し、徐々に相手の体力の消耗を誘って生じた呼吸の乱れや隙を観察しながら、ここぞというタイミングで反撃し斧で致命的な一撃を叩き込むという戦術を得意とする。まさに「肉を斬らせて骨を断つ」を体現した戦術と言えるだろう。


活躍編集

<無印>

捕えた師匠を処刑する際に本編初登場。衝突してきたトラックを斧で両断し、炎に包まれても一切ダメージを負わないという恐ろしいまでの強靭さをまざまざと見せつけ、明との戦いでは自身の能力で攻撃を一切受け付けず、逆に彼の刀をへし折って見せる。戦いの中で、明の正々堂々とした態度に感服し、互いに全力をかけて戦っていたが、元々足場の悪かった崖が戦闘で崩れ落ち、地獄谷の洞窟に落ちてしまう。その中にはかつて雅と二人がかりで幽閉したほど狂暴な邪鬼・満腹爺が棲息していることを理由に休戦を申し入れ、明と共闘してあれこれ武器を試行錯誤しつつこれを撃破。その後、束の間の休戦期間の間にかつて斧神が篤と仲の良かったのを知った明に人間側に戻るよう強く説得されるも、吸血鬼になった経緯や雅側に寝返った真意を話し、明さんからの提案を静かに拒絶した。

<47日間>

既に師匠を上回る程の戦闘力を身に着けているようで、雅様に命じられて蚊の第一育成所の指揮を担当する。その存在はレジスタンスにとっての目下最大の脅威となっていた。

ある村を警備で巡回した際には、ボートで島から逃げようとする亮介を発見し、遥か彼方から恐るべき精密さで斧をブン投げてボートを半壊させ、彼の島外への脱走を阻止した。


明と戦う最中、彼に再び人間軍に加わる事を提案されるが拒絶し、逆に殺すには余りに惜しい男として明に吸血鬼となって仲間になるよう説得したが、明には相容れないとして決別を宣告される。


その後、鎖でつないだ2つの超重量級の斧を巧みに使いこなし、視界の優れぬ森で遠くから一方的に攻撃する形で明を追いつめるも、ユキたちが偶然に見つけた、どう考えても田舎の孤島に在るはずのない 西洋の剣と盾を明が装備したことで形成逆転。

盾で斧を弾きながらの攻撃で胸を一突きにされて上に斬り裂かれるといった深手を負い、最後は明の渾身の一太刀で横真一文字に斬り倒され右腕と下半身を失い、戦闘不能となる。


明に敗れた後、せめて親の墓の近くで死のうと這っていく斧神様だったが這う途中で山羊の仮面が外れ、醜怪な素顔が露わになってしまう。素顔に驚愕した配下の吸血鬼たちも彼を恐れ、化け物やクソ妖怪呼ばわりされてしまうのだった。


石を投げられる中、明に上半身を背負われて両親の眠る墓へと連れて行かれた。そして最後は人間として自らの行いを悔い改め、明に謝罪し、彼におぶさる中で背中に友情の暖かさを感じた後、墓を抱くようにして静かに息を引き取った。


平成十五年 五月十日 村田藤吉 彼岸島に散る――


最期に人の心を取り戻し、斧神、永遠の眠りにつく――――。

余談編集

モデルは西洋の悪魔・バフォメットだと思われ、同じく側近格のアマルガム・金剛とは和洋で対比できる関係となっている。見ておるのか 松本先生の神々しいデザインを


  • 病の無い世界

雅は彼を懐柔する際に語った理想の世界「病の無い世界」だが、これは斧神様が明さんに語ったところによると「吸血鬼は病むことも死ぬこともなく、いずれは血を吸わずとも邪鬼に変異せずいられる手段も研究が進んでいる」とのこと。

明さん曰くそんなものは絶対に戯言で、実際に雅様がどう考えているかの真意は誰にも不明である。


一応、続編の『48日後…』にて、鮫島兄弟をはじめとした、ウイルスに感染しても吸血鬼の見た目にならず、肉体に多少変異が生じるだけで済むレア変異体が登場しているが、これは相当発生確率が低いものなのか鮫島兄弟を目にした雅様はかなり目を白黒させていた(元々白黒だが)。


彼に関係する人物編集


人間軍編集

本作の主人公にして人間側の最高戦力。斧神とは初対面で戦ううちに互いに強者と認め合い、以後は敵同士でありながら会うたびに相手のことを思い真心から互いの陣営に勧誘し合うという大変複雑な関係となる。


宮本明の兄にして極度のブラコン。その戦闘力の高さと「口を開けば弟の話ばかり」という点でも人間時代の斧神と大変馬が合う間柄だった。

特に彼の弟の武には剣術の修行を付けて島内屈指の武人に鍛え上げたこともあり、物語開始時点で両親が病没していた村田さんにとって兄貴ほど頼れる者はおらず、掛け替えのない友人だった。(兄貴篇のエピソードより)


人間時代の斧神が宮本篤とともに教えを乞うた戦いの師匠であり、人間軍の実質的なリーダーでもある。

若干スパルタ気質だが明、篤、村田さんを紛れもなく鍛え上げた張本人で、最後の47日間の師匠vs斧神様は事実上の師弟間対決となる。


数年前の雅との戦いの経緯から彼もアマルガムであるが、人間の血を飲まずに衝動を全て精神力で捻じ伏せており、彼の存在は色んな意味で例外中の例外ともいえる。


雅軍編集

正真正銘、不老不死の吸血鬼にして吸血鬼軍のボス。

江戸時代から人間達を観察してきた謎の多い白い髪の吸血鬼で、昭和時代に陸軍軍医を誑かして混血種となった。

一応感染能力がその頃身につけた力で、つい最近使い出した脳波干渉などはあくまで自前の技術……ということらしい。


斧神様と同じく雅様直近の精鋭の一人であり、最後の47日間では離れ小島の防衛に参加していた。名前通り金剛力士の姿をしており、能力面ではこちらは分裂や増殖を得意とする。


その他編集

彼岸島

斧神の所属した吸血鬼軍と人間軍が、互いの存亡をかけた戦いを繰り広げることとなった絶海の孤島。

……地図には載ってないほど所謂田舎の小さい島とのことだが、広大な森林や大峡谷、果ては巨大な洞窟や砂漠、デカい五重塔まで存在する。

ちなみに一応この島は火山島でもあり、斧神様の拠点にも温泉が沸いていた。


関連タグ編集

達人

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