「みんなのヒーローヴォルテックスの変身プロセスはわずか0.05秒に過ぎない。ではスローモーションでもう一度見てみよう」(ラン)
「何言ってんだよお前」(エイジ)
概要
基本的には『スーパーロボット大戦』の特撮版と言うべき内容だが、作品のチョイスは非常にマニアックで、なんと一番新しい作品は1988年発表の仮面ライダーBLACKRXである。
プレイヤーは「バイオ編」と「メタル編」のシナリオを選択することになる。バイオ編の主人公、ヴォルテックスは非常に強い(あくまでこのゲームの中では)ので、初心者はバイオ編から始めることをお勧めする。
しかし、本作のシナリオをより深く理解するにはメタル編をクリアすることも必要となる。
あらすじ
近未来、地球は外宇宙からの侵略者に狙われつつあった。
これに対し、国連は「TDF」(Terrestrial Defence Foce=地球防衛軍)、「SIDO」(Space Investigation and Defence Organization=宇宙調査防衛機構)という2つの組織を結成。地球圏の防衛をTDF、火星から太陽系外周の防衛をSIDOに分担させ、侵略に備える。
ある時、冥王星軌道の外側に突如、謎の惑星「ナンバーテン」が出現。SIDOはナンバーテンを調査するべく最新鋭宇宙要塞「ナガー」を向かわせる。しかし、ナガーは音信不通となり、そのまま発見されることはなかった。
それから3年後、ナンバーテンは突如消失。その正体は謎のままとなった。地球では侵略者の攻撃が激化、国連は指揮系統一のためにTDFとSIDOを統合し、新生TDFを立ち上げる。
しかし、外的のみならず地球そのものにも悪の萌芽が芽生え始めていることに、人類はまだ気が付いていなかった……。
オリジナル主人公
ヴォルテックス
バイオ編の主人公・叶エイジが万能細胞「ヴォル細胞」の力で変身した姿。暴走した他のヴォル細胞の持ち主たちを追う中で仮面ライダーを始めとする多くのヒーローと出会い、共に悪と闘う決意を固める。
腕から伸ばす刃「ヴォルブレイド」、胸から放つビーム「ヴォルカノン・ハウリング」など、言い逃れできないレベルでどっかのヒーロー漫画を彷彿とさせるデザインと技が特徴。最初からマップ攻撃も使える。
ヴェルヴェット
エイジの彼女・日向ランがヴォル細胞の力で変身した姿。黒魔術が趣味という危なっかしい奴。
必殺技は魔法陣を展開して広範囲を攻撃する「ヴェルヴェット・サークル」。
あるシナリオでの問題発言(参照)が原因で、すこぶる評判が悪い。
ルシファード
メタル編の主人公・迫水タクマが未知の生体金属「融機鋼」の力で変身した姿。元は戦闘船団ナガーの大幹部だったが、宇宙刑事ギャバンとの交戦で洗脳が解け、贖罪とナガー打倒を誓う。
超振動ブレードとツインリニアガン、脳波コントロール可能な「メーサービット」を武器に使い、必殺技は敵を超重力で押し潰す「グラビティ・ファントム」。
ファディータ
タクマに仕える人造人間・サキの戦闘モード。
必殺技は光に包まれて超スピードで敵を殴打する「フィフス・シャイン」。
参戦作品
ウルトラシリーズ
仮面ライダーシリーズ
メタルヒーローシリーズ
スーパーロボット
東映スーパーヒーロー
だが…
こうして見ると、本作は年配の特撮ファンにとっては夢の作品のように思える。
しかし、残念なことに本作は「バンプレストのキャラゲーの中でも、『ガイアセイバー』に並ぶワースト級のクソゲー」という汚名がかけられている。
驚異的な難易度、呆れ果てんばかりのバグの量、原作準拠とはいえ爽快感皆無の巨大ユニット戦、楯にしかならない自衛隊ユニット、意味不明な選択肢、鬱陶しいだけの弾数制限システム、よく言えば味のある・悪く言えばテキトーなシナリオ、凝縮しすぎな展開などなど、挙げればキリがない大量の欠点が本作には見受けられる。「クリアしただけで褒められる」とまで言われる始末だ。
勿論、このゲームは「何もかもクソ」というわけではない。オリジナル主人公は(約一名除いて)なかなか評価が高く、戦闘アニメは同時期の『スーパーロボット大戦α』と比較してもよく動く。BGMに至っては、本家スパロボ以上のカッコよさと称する人もいるほどだ。
ただただ、短所があまりに多すぎるが故に、長所がかすんで見えるだけなのである。
近年では東映が仮面ライダーやスーパー戦隊、はたまた昭和のヒーローたちまで大集結するようなお祭り映画を毎年のように公開している。そんなご時世だからこそ、本作のような会社の枠を超えたヒーローたちの共演があったことを忘れないでほしい。