概要
CV.宮野真守
ゾンビィアイドルグループ「フランシュシュ」を率いるプロデューサー。
ゾンビ映画に登場するような朽ちた洋館を根城に、風前の灯火となったご当地アイドル業界と佐賀を救うため、「伝説」を持ちながら夭逝した少女たちをゾンビィへと転生させてアイドルグループを結成するという「ゾンビランドサガプロジェクト」を立ち上げた張本人。
髪を七三に分け、常に (入浴中でも) サングラスをかけている謎のイケメン。
素性は名前以外一切不明で、そもそも普通の人間なのかどうかすら怪しい。
アニメ公式サイトのプロフィール欄も、さくらと同様に、すべて「?」で埋まっているが、画面から確認できる身長はメンバーの源さくら(身長158cm)と並んで立つと頭ひとつ以上の差があるため、180cm台中盤以上はあるように見える。
常に黒の蝶ネクタイに赤のベストを着用し、どんな姿勢でも遊☆戯☆王の主役の如き謎の接着力で肩掛けにしている黒ジャケットは黒魔術師のマントのよう。
なぜかポケットにスルメを忍ばせているが、これは自我のないゾンビたちを沈静化するためのもの。
トイプードルのロメロを飼っているが、これも既に命の無いゾンビ犬。
左利き(だが、第7話では右手でカレンダーに印をつけていた)。
さくら、あるいはアイドルたちが主役のはずであろう本作ながら、エンディングアニメ中のスタッフロールでは何故か幸太郎がキャスト欄の一番上に記載されている。
人物像
終始ノリと勢いで生きており、やることなすこと行き当たりばったり……に見える。
日頃のゾンビ娘達への接し方は、ハイテンションで勢い任せのコントじみた振る舞いが主軸で、とにかくウザい事この上ない。毎度、仕事や練習内容について説明する前に、なんの脈絡もなく野球や歌舞伎やヨーデルを披露するところから始める……といったものが日常茶飯事かつ平常運転。それに加えて、「さくらが調子に乗った時」や「答えづらい事に話が及んだ時」はいきなり逆ギレ芸をかます事も。そのウザさはOP映像でも発揮されており、アイドルアニメのOP曲の中で、一番ノリノリで踊っているのは彼である上に、細かい動作にわざわざ効果音までつけられている。
その性格から余りにも中の人こと宮野真守との親和性が高く、視聴者の多くから「宮野、演技しろ」と言われるほどのハマり役となった。
監督の境宗久も、彼の演技を聴いた瞬間「これが幸太郎だ」と納得させられてしまうほどだったとか。
参考:「ゾンビランドサガ」チョット教えてあげる動画 Part.1
物語序盤では特に強引で、どこで何をするかを当日のしかもイベント直前に伝えられることが常であり、ダンスや歌の練習は1日だけ、しかも睡眠なしのぶっ続けでと、普通の人間ならすぐにぶっ倒れる様なブラックでアバウトすぎるスケジュールを組んでいた。さくらのみが覚醒したばかりで何一つまとまっていない「デス娘(仮)」 (=フランシュシュの仮名) をいきなりライブハウスでファーストライブさせたりと計画性がなさそうに見えるが、イベントの趣旨に併せてデスメタル調の曲を用意していたり、相応の準備はしている模様。
実際のところ、プロデューサーとしてはアイドル側の自主性を尊重しており、彼女達の意思を理由も無く無碍にする事はほぼない。フランシュシュになにかしらの問題が発生した際も、メンバーが「自分の意志で選択し、自分達の力で乗り越える」事を重視する傾向にある。中盤の山場である6~7話にて、昭和と現在のアイドル像との乖離に悩み引きこもっていた純子を「昭和アイドルキャラを通せばいい」と説得したのはイベント前夜であり、終盤の始まりとなる10話でも、さくらが空回りしている現状を察した雪山特訓をさせて間接的に導こうとしている。問題解決のために自身が直接介入するのは、あくまでギリギリまで待った上での最終手段と位置づけているようだ。強引に見えてその実、メンバーのメンタル面にはかなり気を配っているということだろう。
普段はおどけた調子でメンバーを煙に巻いているが、彼女達の目が届かない場所ではプロデューサーとして実直に仕事をこなしており、久中製薬の社員旅行慰安や、ドライブイン鳥との企業タイアップを実現した他、大型野外イベント「佐賀ロックフェス」の新人枠参加を取ってきたりと営業面ではなかなかのやり手ぶり。9話ではサキに「アイドルに暴力沙汰は厳禁」と諌めるなど、ウザキャラと常識人の両面をその場に合わせて使い分けている。しかし5話のガタリンピック出走前インタビューではコミュ障のごとくキョドっていた。普段のハイテンションぶりが嘘のようであり、「案外この時の幸太郎こそ素顔なのでは?」と言われることも。
なぜ、どうやって佐賀を救おうとしているのか、そのための手段としてなぜアイドル業を選んだのかについても何も語っていない。
劇中ではさくらやサキその他の佐賀県民キャラクターたちの会話がコテコテの方言を強調されるのに対し、幸太郎は基本的に標準語で喋る。おどけた演技をするときはしばしば「~じゃい!」等の田舎臭い語尾を使うが、これは佐賀県の方言の特徴とは言い難い。
「佐賀を救う!」と嘯いているが、彼自身は佐賀県民かどうかも不明だったの(しかし、本編終盤で唐津弁風の喋り方をしており、さくらと同じく唐津市かその周辺の出身であることを匂わせている)。
シャンプーではなく「シャンプゥ」を愛用し、屋敷にある風呂を自分だけ使う(第6話)。メンバーは庭で水浴び。
このシーンや4話の温泉に浸かるシーンでは、湯に浸かってもメイク等が落ちるわけでもない生身の肌が見えるので、したがって少なくとも彼自身はゾンビィでは無い模様。とはいえ人外疑惑が完全に拭われたわけではないが……。
機密保持のためなのか、アニメ本編の画面に映る限りでは部下や同僚ほぼ居ない。つまり「ゾンビランドサガプロジェクト」では彼が唯一の裏方スタッフだ。
従って、人集めや場所決め等のフランシュシュのライブ活動の段取りや企業から話術や誘惑(?)術を駆使して仕事を受注してくる営業、グッズを企画販売する広報、その他プロジェクトの財務管理やアイドルたちの送迎運転、イベント進行諸々も基本的に幸太郎が全て一人で行うという、八面六臂の活躍を涼しい顔でこなしている。
技能・技術
- ゾンビ化
死人をゾンビとして蘇らせることができる。ただし、具体的な方法は一切不明であり、巽以外の人物がおこなっている可能性あり。
はじめは一般的なゾンビと同じく、自我を持たない状態で徘徊しているが、何らかの「刺激」によって覚醒し、生前と変わらない知能まで回復することができる。
生前の記憶や人格もほぼ回復するが、なぜか山田たえだけはその復元が不完全。
フランシュシュでは、メンバーに飛行機事故でバラバラになりパーツ集めだけでも骨が折れそうな昭和のアイドルや幕末の花魁までいることから、死体さえあればかなり昔の人物でも蘇生できるようだ。飼い犬のロメロもゾンビ犬なので、動物もOKなのかもしれない。
どうやって少女をゾンビィにしているのか具体的には判明していないが、本人によれば「ゾンビィ映画みたいな感じ」とのこと。本気かどうか定かでないが、アニメ第4話ではメンバーの一名・水野愛から「日本って火葬でしょ?」という至極もっともなツッコミがなされ、劇中でも死体の入手方法には不審を抱かれている。
- 特殊メイク
非常に高水準の特殊メイク技術を有しており、化粧でゾンビィの外見を生身の人間そっくりに変えることも可能。単なる生身を再現するだけに留まらず、生前に芸能活動をしていたメンバーたちでも感心するほどの美しさに仕上げるため、この点においてはメンバーからの信頼は厚いようだ。……メイク作業風景が映る第2話では道具箱の中に子供用工作粘土や絵の具、ホッチキスや修正液まで見えるのも含めて謎の腕前を持つ。
このメイクは雨や流水などで濡れるときれいさっぱり落ちてしまう (なぜか4話での足湯はセーフだった)が、7話では安物くさい靴用防水スプレーを直接アイドルたちの顔面等に吹きかけて雨対策としていたので、致命的な弱点ではないようだ。
ちなみに、1話の幸太郎本人曰く「ハリウッド直伝の特殊メイク」だそうだが、「直伝」とは師匠となる個人が実在する場合に使う表現のため、正しくはハリウッド「仕込み」なのか、あるいは本場ハリウッドでも活躍している特殊メイク職人に師事したのかははっきりしない。
- 音楽・舞台
アイドル系ポップスに限らずデスメタルやラップミュージック等にも精通。フランシュシュのオリジナル曲を作詞作曲した上で、ダンスの振り付けまで手がける多才さを持つ。器用なだけでなく瞬時の判断力にも優れ、2話のぶちぎれラップでは即興のボイスパーカッションを舞台裏から披露して場を持たせた。7話や12話のように、ゾンビ化していない生身のアイドルなら中断が当然の局面だろうと舞台を続行させた彼の判断がなければフランシュシュの成功はなかっただろう。
- デザインセンス
ここまでなら完璧なアイドルプロデューサーだが、デザインセンスは壊滅的。公式HPは90年代にあった化石のようなもので、愛からは「ゾンビでも死ぬほどダサい」と評された。
4話では早々に活動資金不足に陥ったにも関わらず、ダサい公式Tシャツを作ってそれを物置に大量に余らせる (5~6話) というどん判金ドブな経営戦略をとってメンバーを呆れさせた(※1)。「フランシュシュ」のロゴが「フランシコシコ」にしか見えず、ロゴを彩る(筈だった)図柄も初心者が既成の素材をテキトーに組み合わせたかのようなこのTシャツ、メンバーからは「ゴミみたいにダサい」「(変顔で絶句)」と散々にこき下ろされた。
更には顔と名前を売る宣伝目的でガタリンピックに出場させるも、アイドルたちの顔も宣伝Tシャツも干潟の泥まみれになって判別不能になるといった失敗も。てへぺろ(・ω<)。
それでも7話では、それまで悲嘆に暮れていた純子もハッとするほど、アイドルらしい華やかなステージ衣装をメンバーに提供した。彼が本気を出したのか、それとも適宜に外部と協力しているのだろうか (※2)。
※1:ゾンビランドサガ公式サイト等で読める、<巽幸太郎の日記>という体裁で述べられる各話あらすじによると、第4話分の日記では「活動資金が無くなった」のは営業活動を経験させる口実のようでもある。
※2:純子に渡した衣装の箱には"SAGAMENT"という企業のものらしきロゴが入っている。外注品なのか。
関連イラスト
関連項目
他作品
ネタバレ
この先、第12話の重大なネタバレが記述されています。
本人の回想により、実はさくらの高校時代の同級生であったことが示唆され、さくらから「乾(いぬい)くん」と呼ばれていたことが明らかになった。これにより、れっきとした佐賀県出身者であり、現時点(2018年)で実年齢は27歳前後であることが判明する。「乾」とは方位で言うと「巽」と正反対に位置し、巽を名乗るのはこれに由来すると思われる。アイアンフリルのCDを手渡すだけのごく短い場面だが、彼にとってさくらが特別な存在であったことは間違いないと感じさせる描写であり、伝説を持たないさくらが、センターたる「1号」に置かれているのも恐らくこれが理由。むしろフランシュシュ自体がさくらのために集められた可能性すらある。
しかし、作中の描写からは、乾が生前のさくらとどれぐらい親しかったのかははっきりしない。君付けしているためよそよそしいものの、11話のさくらの回想の中に彼と思われる蝶ネクタイをした少年がいることから、実は小学生時代からのそこそこ長い付き合いだった可能性も。第11話のあらすじとなる彼の日記では「あいつ、元の性格がめちゃくちゃだ。」と、初めて知ったかのような書き方をしているので、少なくとも生前の源さくらという人物を熟知するほどの深い仲ではなかったのだろう。
この頃のさくらは不幸体質により自暴自棄になっていたとはいえ、過去の努力のおかげで成績優秀・容姿端麗な完璧超人女子。であれば、そんなさくらに恋愛に近い憧れを抱いていても不思議はない。彼女がアイアンフリルと水野愛から「もう一度頑張ろう」という決意を得たのも、ちょうど高校時代であったため、彼女の夢を知っていてもおかしくはない。
生前の記憶を取り戻したさくらが彼の事に気づかないのは、十年の歳月やグラサン着用による効果もあるだろうが、内気だった同級生時代とはまるで違うウザキャラを演じているのも大きいだろう。もっとも、さくらの側から見た「乾くん」の存在自体が、強く記憶に留めておくほど印象に残らない男性であったのかもしれないが。
なお、ゾンビランドサガプロジェクトの真の目的は不明のため、ゾンビランドサガが元々さくらありきのプロジェクトであったのかはよく分からない。先述の通り、幸太郎はさくらだけをあからさまに特別扱いしているわけではなく、グループ全体のメンタル把握に努めているものの、ゆうぎりからは「さくらはんには特別、優しいのでありんすなぁ」と看破されている。仮にゾンビランドサガプロジェクトがさくらのためだった場合は、元アイドルのメンバーはさくらのおかげで蘇ることができたともいえる。
本作は、なぜ幸太郎が佐賀を救うことに執着しているのか、他のメンバー達(特に生前アイドルと関わりが無かったサキとゆうぎり)を何故蘇らせたのか、最後まで覚醒しなかった山田たえの正体、(本編である程度明らかにされたリリィとサキ以外の)生前の彼女たちを知る人々との人間関係など、多くの謎を残したまま終了している。漫画版では、アニメ本編で語られなかった彼の苦労に触れ始めたのでこちらで触れられるかもしれないが、アニメが意味深げなシーンを最後に持ってきたことから、続編で語られていくのかもしれない。