プロフィール
名前 | 源さくら |
---|---|
生年月日 | 1991年4月2日 |
没年月日 | 2008年4月7日 |
享年 | 享年17歳 |
血液型 | A型 |
身長 | 158cm |
体重 | 46kg |
スリーサイズ | B88(Fカップ)/W59/H90 |
趣味 | アイアンフリルのおっかけ、お菓子作り、パズルゲーム |
好きな食べ物 | スイーツ全般 |
嫌いな食べ物 | 辛いもの |
好きな色 | ピンク |
CV | 本渡楓 |
概要
巽幸太郎と並ぶ本作の主人公の1人であり、本作の真の主人公。フランシュシュのメンバー。ゾンビィ1号。
唐津弁と2色の水玉リボンがトレードマークの才能にあふれる正統派ヒロインで、アイドルに憧れる普通の女の子だった。高校2年の新学期初日、アイドルオーディションへの応募書類を手に家を飛び出したところ、出会い頭に佐賀ナンバーの軽トラックにフロントガラスに頭からツッコむという形で撥ねられて即死亡。
アニメ第1期第1話の放送開始から1分14秒後のことである。
次に目覚めたのは見知らぬ洋館。いきなりゾンビの群れに襲われたため建物を飛び出したが、そこではじめて自分も《ゾンビィ》と呼ばれるゾンビになっていたこと、そして名前すら思い出せない記憶喪失に陥っていることに気づく。
だが突然現れた巽幸太郎と名乗る怪しげな男によれば、さくらが死亡してから既に10年が経っており、佐賀県を救うアイドルとして、彼がさくら達をゾンビ化して蘇らせたのだという。わけがわからないよ!
とりあえずは巽に言われるがまま、ゾンビィ1号としてさくらの苦闘の日々が始まる。
人物
真面目にアイドル活動に励む、本作の真の主人公。
何かしらの伝説を持つフランシュシュの個性的なメンバーや、プロデューサーの巽幸太郎に振り回され、“なぜか”貧乏くじを引くことが多い苦労人。
理不尽が度を超すと突如吹っ切れ、モッシュダイブをかましたりラップバトルを挑んだりと、何かを思い出したかのようにアグレッシブになる。
また目標を目の前にすると周りが見えなくなり1人で突っ走る気質。
第1期では各話冒頭(第1話と最終回以外)、第2期では第1話のみ話中で第2話以降は冒頭にて、恒例の、彼女が前回のあらすじを「前回のゾンビランドサガは!(※)」と語り出すナレーションでは、幸太郎に影響されたのかと思わされるほどハイテンションでウザカワなさくらも聞ける。後述の生い立ちが無ければお調子者気質でもあったのかもしれない。
(※第2期では「前回のゾンビランドサガリベンジは!」と言っている)
ゾンビィバレしないように奮闘するが、ドジを踏んでゾンビィ姿を他人に晒してしまうことも多く、ピンチに陥ると「どやんす、どやんす※」と慌てふためくのが毎回の定番。
※唐津弁で「どうしよう」の意。佐賀弁では「どがんす」になる。
とは言えメンバー内では比較的温厚な性格で面倒見も良いため、血気盛んな二階堂サキや内向的な紺野純子とも仲良くなったり、ゾンビィとしての本能に抗えない山田たえの面倒もよく見るなど、フランシュシュのまとめ役として欠かせない存在になっている(そのせいか、一部では『たえちゃん係』『さくらママ』とまで呼ばれているくらいである)。
容姿は赤毛のロングストレートで左側頭部にピンクと水色の水玉柄のリボンを付けており、瞳は鮮やかなブルー。服装は死亡した際に着ていた学生服を着ている。
就寝時はピンクのパーカーと某ニート系アイドルを彷彿とさせる縞柄の短パンを着用する。具体的なスリーサイズは11話まで不明だったがその胸部は豊満である。額から眉間にかけて、トラックに撥ねられた際にできたと思われる縦に大きな傷があり、これが原因で後述の記憶喪失につながっていると思われる。
覚醒したメンバーの中で“なぜか”一人だけ生前の記憶がほとんどないが、ライブの快感を思い出したり、かつてはファンでもあり目標でもあった水野愛にデジャヴを感じていたり、朧気ながら記憶が残っている。
アイドルになろうとする直前で死亡したため生前の「伝説」がなく、(幸太郎にキレられたのもあって)彼女だけ「伝説」の肩書きがない。
謎多き存在
何もかも謎な存在がメンバーにいるせいかあまり触れられなかったが、第1期第11話が放送されるまでメンバーで“なぜか”唯一プロフィールが何ひとつ公開されていなかった(山田たえですら、「享年」「身長・体重」「スリーサイズ」が公表されている一方、さくらは「2008年没」しか公表されていなかった)。
公式サイトのキャラクター紹介に使用方言が唐津弁と明記されており、佐賀県唐津市かその周辺の出身と思われる。ちなみに、生前の実家は洋館から徒歩40分ぐらいあたりの地域に存在している可能性が、ある視聴者によって特定されている (→ニコニコ動画の資料への外部リンク)。とっさに逃げ出したとはいえ帰巣本能というやつなのだろうか…
なお、第1期第1話アバンでは生前の生活から死ぬ瞬間までが描かれており、第1期第6話で愛と純子の死亡描写が語られるまでは、“なぜか”生前の姿や性格、そして死亡描写が明かされている唯一のキャラであった。
さくらの方言について
語尾に「~っちゃん」を付けたり、佐賀弁だと「ぎゃん」となるところを「やん」と発音するなど佐賀弁と似ているようで異なる独特の特徴から、当初佐賀市方面の視聴者からは「似非方言では」などの指摘も相次いだが、上記は実は唐津弁の特徴である(本作は唐津出身の藤野真梨亜氏から方言指導を受けている)。
一方でコテコテの九州出身キャラによく見られる「~ばい」「~たい」といった語尾は作中ではほぼ使われていない。現実においてもこれらの語尾は若い女性の間ではあまり使われないものなのだが、二次創作においては「~ばい」「~たい」と言わせてしまっているケースもしばしば見られるので、口調にまで拘る際には意識したほうがいいかもしれない。
(同じく佐賀出身のサキについても同様だが、こちらは元がヤンキーということもあってか、「~ばい」「~たい」を使っているシーンもわずかながら存在する。)
人称・口調・口癖・呼称(アニメ版準拠)
メンバー+αへの呼称
メンバー | 呼称と変遷 |
---|---|
二階堂サキ | サキちゃん |
水野愛 | 愛ちゃん |
紺野純子 | 純子ちゃん |
ゆうぎり | ゆうぎりさん |
星川リリィ | リリィちゃん |
山田たえ | たえちゃん |
巽幸太郎 | 幸太郎さん |
メンバー+αからの呼称
メンバー | 呼称と変遷 |
---|---|
二階堂サキ | さくら |
水野愛 | さくら |
紺野純子 | 源さん⇒さくらさん |
ゆうぎり | さくらはん |
星川リリィ | さくらちゃん |
山田たえ | あうあ |
巽幸太郎 | さくら |
関連イラスト
関連項目
他作品
- 小鳥遊ひかり:中の人が同じ人外種族つながり。こちらは吸血鬼。
- 島村卯月:アイドルマスターシンデレラガールズに登場するアイドル。髪型、外見が似ており、努力家である点が共通。
- 月岡恋鐘:アイドルマスターシャイニーカラーズに登場するアイドル。髪型、外見が似ており、同じくスタイル抜群で出身も長崎県と『佐賀県の隣』であり、癖のあるしゃべりかたをする。
- 煌上花音:中の人およびアイドルつながり。同じ高校2年で、身長も近い。
- 泉ヶ峰みかり:中の人および悲劇のヒロインつながり。スタイル抜群である点も共通。
- サクラ(プロジェクト東京ドールズ):中の人が同じで名前も同じ一度死んでアイドルになるという点も共通。
- 天宮ミモリ:同時期にCygames作品コラボを行った中の人繋がり。持ってない子と普通の子同士である。さくらはワールドフリッパー、ミモリはグランブルーファンタジーとコラボしている。またミモリがアイドルになった回ではフランシュシュや佐賀というコメントもあったそうな。
イメージモデル
- 橋本環奈:キャラクターデザインの深川が、さくらのイメージモデルとしたとされる女優。
この先は、第1期第10話で明かされた、源さくらの過去について記述がされています。(ネタバレ注意!)
生前の記憶
『ホント私……持っとらん……』
『私なんか生き返らんやったらよかったとですよ』
第1期第10話Bパート終盤、初の単独ライブ・アルピノライブ一週間前、
さくらは屋敷から出る際に生前同様、再びトラックに撥ねられてしまう。
起き上がったさくらは、ゾンビィ化した後の記憶と入れ替わる形で、生前の記憶を取り戻す。
……が、ゾンビ化後の成功体験を全て忘れてしまった上に、生前の『持ってない』人生を思い出したことから、その性格は努力をしても自分は絶対に報われない、自分は何も持っていない人間と思い込む極めてネガティブなものとなってしまう。
当然、あれだけ熱心だったアイドル活動にも否定的になってしまった。
その生前の性格は幸太郎の日記に「あいつ、元の性格がめちゃくちゃだ」とさえ記されるほど。
しかし、彼女の発した『ホント私……持っとらん……』というセリフが気になるところである。
勝利をつかみ取るには、【知力・体力・時の運】の三つの要素が必要だと噂されるが、
彼女が『何』を持っていて、『何』を持っていなかったのか
彼女が『持っていた』もの
- 3年連続でリレーの選手に選ばれ、それぞれで学年一のタイムを叩き出す
- 県内屈指の名門校の模試にてオール85以上をマーク (それも、他の志望学生の平均点を各教科で10点以上上回るハイスコア)
- 小3にして抜群の演技力を発揮
- バストサイズは、たえと並んでFカップ (同じ十代でもこの三人組とは圧倒的差をつけている。あと二年生きていたらゆうぎりと並んでいたかもしれない)、ヒップに関しては90とメンバーの中では最もお尻が大きいと言うナイスボディ(その口癖から一部ファンに『どやんすボディ』とまで呼ばれているほど)。
このように、平凡な娘が多いアイドルアニメの主人公としては珍しく、【知力】と【体力】で文武両道かつ、芸能面も優秀で容姿端麗と別側面でも隙がないという高スペック。アニメプロデューサーの大塚学も「1~2話では全然、普通の子じゃないですからね。だいたいのことできちゃうじゃんって(笑)」と評しており、様々な才能に恵まれた娘であると分かるような描かれ方がされている。
これで「持っていない」という彼女を嫌味と感じて本当に持たざる者が( 'д'⊂彡☆))Д´) パーンとしてくるであろう……。
彼女が『持っていない』もの
彼女が『唯一持っていない』もの……それは【時の運】である。
ただ、これは『持っていない』というより、『呪われている』としか思えないレベル。
彼女の思い出した過去によると、
- 小学校の学芸会で主役に抜擢されることになる→劇の当日、予防接種を受けていたにもかかわらずおたふく風邪を発症し欠席。
- 4・5・6年生でリレーの選手に選ばれる→毎年毎年、当日に肉離れが起きて辞退 。(ストレッチを怠っていたか、無理なストレッチをしてケガをした可能性がある。ゾンビィ形態の時に下腿に巻いている包帯は、このためのテーピングだと思われる。)
- 中学一年生の頃から志望校合格目指しすべての趣味や友人関係を捨て猛勉強する→試験当日、困っているお年寄りに立て続けに遭遇し、(困っている人を見過ごせなかったため)時間ギリギリで登校した為集中できず不合格。
- アイアンフリルの水野愛の活躍に憧れてアイドルを志す→高校2年生の四月、応募用紙を郵送しようと家を出た途端に、突然現れた軽トラックに撥ねられる。 (第1期第1話)
「努力は絶対に報われない・挑んで失敗する事すら許されない」という、不幸体質を飛び越して疫病神に憑りつかれているとしか思えないような、努力が徒花に終わり続ける人生。
間違いなく伝説級の存在になれる能力を有していてもハードラックとダンスして、“『持っている才能』を打ち消す”ほどの驚愕の不幸が付いて回るのであれば、「持ってない」と思ってしまうのは仕方ないのかもしれない。
【知力・体力・時の運】の三つの要素のうち、「【時の運】が欠ける」ことがどれほど恐ろしいことか。
まさに運も実力のうちである。
なお、高校受験のために友人関係を捨てたこともあって、地元民にもかかわらずサキやリリィのように生前の知り合いが登場しなかった。しかしながら、中学時代に友人関係を捨て模試で好成績をマークしたさくらを呆れた目で見つめ、高校時代にさくらの身体能力を見込んで運動部に勧誘していたクラスメイト(※1)が描写されており、一応気にかけてくれる友人はいた模様。また、この他にも彼女に淡い恋心を抱き、死後10年経った今でも当時の笑顔を忘れられないほど強い想いを抱えているクラスメイトもまたいるようである (ネタバレなので詳細は割愛)。
(※1)この友人はすべてさくらの3年連続の肉離れの際に後ろに描写されていた「まつお」ちゃんと同一人物ではないかと、視聴者の中でささやかれている。
ゾンビィ化しても不幸体質は続く
ちなみに、彼女の不幸体質はゾンビィ化しても続いているらしく、自身がメインを務めるステージは今までに3回ほど描かれているにもかかわらず、いずれも失敗に終わっている。
- デスメタルライブにデス娘(仮)として飛び入り参加→フランシュシュメンバーがさくらしか覚醒していない時期だったため、他のゾンビィたちがお客さんを襲い始めライブは中止になる。(第1期第1話)
- 唐津城での鯱の門コンサートにグリーンフェイスとして参戦→たえの暴走&サキの悪ふざけで破綻。即興でやったラップバトルは大ウケだったが、アイドルとしてのステージは頓挫。 (第1期第2話)
- 唐津駅前広場でゲリラライブを決行→一緒にメインヴォーカルを務めるはずの愛と純子の不参加をカバーするため1人でメインヴォーカルを務めるが歌詞を忘れる。(第1期第3話)
それ以外にも
- ゾンビィとして蘇ったことを知らないまま、助けを求めた警察官Aに拳銃で胸部を撃ち抜かれる (銀の弾丸でなかったことが唯一の救いか。ゾンビィなので通常の弾丸では死にはしないが)。(第1期第1話)
- 脱走を図った愛と純子を制止しようとするが聞く耳を持ってもらえぬまま商店街まで出てきてしまい、そこでまたしても警察官Aに遭遇、再び撃たれる (これは外れたが、位置的に当たっていたらゾンビ映画よろしく頭グッチャーンであった)。 (第1期第2話)
- 特に理由のないゆうぎりビンタがさくらを襲う。しかもその後特にアフターフォローはなし (もっとも、10話で巽も同様のビンタをされているのでゆうぎりの悪癖というよりも性質的なものだろうが)。(第1期第3話)
- 嬉野温泉にて湯に浸っているとき、タイアップ先の久中製薬の女性広報部長 (=人) が来たため、ゾンビィバレはまずいとして素潜りをしようとするも、首が岩場に引っかかって転がっていき、胴なしゾンビィと化したさくらを目撃され、あやうくゾンビィバレによって今後フランシュシュとしての活動が継続不可にもなりかねない事態を引き起こす (もっとも、事の発端はサキだが)。(第1期第4話)
- ガタリンピックのガターザンにて、泥でロープを掴むことができずそのまま地面にダイブ。この時、フランシュシュが参加したガタリンピックの中でも最低記録である1点を叩き出してしまう。(第1期第5話)
- サガロックでライブ中に落雷に見舞われ、フランシュシュに直撃。(ゾンビィなので死にはしなかったがゾンビィでなければ確実に死んでいた。)(第1期第7話)
- 雪山での特訓の途中、首を猪に食われる。(第1期第10話)
などなど、枚挙に暇がない。
しかし、ゾンビィ化してなお不幸体質に翻弄されっぱなしかというと、そういうわけでもなく、
- 先述の通り第1期第1〜2話はアイドルステージとしては失敗に終わった (もしくは成功とは言えない) が、結果的にはデスおじA・Bという固定ファンの獲得に成功している。 (第1期第1話以降)
- そもそも土俵に上がる事すらできなかった生前と比べれば「挑戦することができるようになった」とも言える。 (第1期第1~3話)
- 「呪われた運命を持つ主人公」というのも見方を変えれば不幸体質である(作中ではドジ、どんくさい性格として描かれている)が、彼女のアイデンティティ(=個性)としてはある意味”持っている”ともいえなくもない。 (第1期第10話まで)
- 前述の通り、サガロックのライブ中、落雷に見舞われる。しかし、フランシュシュのメンバーはゾンビィであるため死なないばかりか、むしろ落雷による感電をエレクトリックボイスとして昇華させた結果、彼女たちのライブは大成功に終わった。この後さくらは感涙しているわけだが、これは観客に感動を与えることが出来たという達成感以外にも、弛まぬ努力が実を結んだ結果、自らの不幸体質すら圧倒し、人を幸せにしたことで、”持ってない”自分との決別、延いては生前の悲願 (=努力が報われる) が叶えられた感動という意味で無意識のうちに泣いていたのではないかとする説がある。(第1期第7話)
……もっとも、先述のとおり、この段階でのさくらは生前の悲惨な記憶のみが存在し、第1期第7話での「不幸体質の打倒」すら忘れてしまっているのだが、第1期第12話(最終回、後述)「グッドモーニング アゲイン SAGA」において紆余曲折あって、無事に仲間たちとのキズナによってアイドル活動への熱意を取り戻すに至るのだった。
続・関連項目
どやんすボディ - さくらのアイドルとしての資質の高さを示していたと言えなくもない二つの事実。
他作品
- 白菊ほたる:アイドルマスターシンデレラガールズに登場する強烈な不幸体質のアイドル。ただし、こちらは不幸体質をものともせず人々を幸せにできるトップアイドルを目指し、諦めない強い意志を抱いている。
- 津島善子:ラブライブ!サンシャイン!!に登場する不幸体質のアイドル。こちらは痛々しい方向で闇墜ち?した訳だが。
- 上条当麻:とある魔術の禁書目録の主人公であり且つ、不幸体質の代表とも言える人物。自信の持つ能力の影響で日常的に不幸な目に遭っており、例を挙げようと思えばキリがない。不幸だー!!
第1期第12話(最終回)では……
巽の説得を受けてからもしばらくは不貞腐れた態度を取り続ける。
しかし、その本当の理由はフランシュシュのメンバーを自らの持つ不幸体質にいたずらに巻き込みたくない為であった。
挙句、部屋に引きこもるさくら。そんなさくらを……
なんとたえが窓をぶち破り、首根っこを咥えて無理やり連れ出したのである。
そしてレッスン部屋へ連れて行くと、たえはさくらの顔を掴んで「何か」を言い、突如振り付けを見せ始める。
それはかつて、たえ自身が踊れなかった時にさくらに教えてもらっていたことそのままだった。
「たえちゃん、ちゃんと見とって」
そう言ってさくらが見本を見せた後にたえがその通りに踊れると、さくらは花のような笑顔を浮かべて喜んでいた。
さくらのおかげでこれだけ踊れるようになったから「見て、笑顔になって」と言いたかったのか、それともこうすればさくらがまた踊ってくれるようになると思ったからなのか、理由は定かではない。
とにかく、さくらが生前の記憶を取り戻してからというもの、元に戻ってもらおうとしてか行ってきたたえの全てがぞんざいに扱われ、ついに強硬手段として実行したのが、かつてさくらにしてもらったそれであった。
しかし、そんなたえの必死の訴えでもさくらの心を揺るがすには足りなかった。
他のメンバーがレッスン室に集い、たえの姿を見て「今度は私達がさくらに恩返しをする番」と決意を固め、その想いを伝えてもなお、さくらは動じなかった。
それほどまでにさくらの境遇は重く辛いものであり、だからこそさくらは皆を巻き込むまいと拒絶していた。
だがそこで、今度こそ特に理由のあるゆうぎりビンタが炸裂する。
「もうこれ以上逃げないでほしい」
「さくらには私たちを励ましてきた責任がある」
「覚えてようが覚えてまいが、私たちと一緒に踊ってもらう」
というゆうぎりに対し、さくらは、
「なんで私にこだわるのか。私一人いなくでも別にいいじゃないか」
と反論するも、
「さくらはフランシュシュに必要な人間」
「さくらがいないステージで成功するくらいなら、さくらがいるステージでともに失敗したい」
と締めくくる。更に愛も、
「持ってないのはさくらだけではない。ここにいる全員がそう」
「私は失敗したり、後悔したりすることを全然だめだと思わない。そういうのを全部踏み越えた先に、誰にも負けない私がいるって思うから」
と、生前のさくらをテレビの画面越しに勇気づけた「平成のトップアイドル、水野愛」としての言葉を、彼女は一言一句違わず口にする。
その言葉にハッとしながらも、さくらは「私のせいで本当にライブが台無しになるかもしれない」と念押しするものの、フランシュシュのメンバーは全く動じていなかった。
アルピノライブ前日。ゾンビィとしての記憶はないものの、振り付けは体に刷り込まれていたため、踊ること自体は全く問題なかった。
しかしその直後、さくらの前にあった大型の姿見にひびが入る。
「やっぱり私は持ってない」と意気消沈するさくら。
そんな彼女の想いを断つためか、「さくら」と小さく呼びかけて姿見を豪快に叩き割ったのは、リーダーのサキだった。
「鏡、割れちまったな」
その言葉を皮切りに、続々とメンバー達はそれぞれの言葉でさくらとステージに立ちたいと告げる。
フランシュシュメンバーらの想いを受けてさくらは目を見開き、拳を握り、ようやく覚悟を決めた。
しかし、決意を固めたとてその不幸体質がなくなってくれる訳ではない。
東シナ海から突如現れた爆弾低気圧が九州へと迫っているというニュースを、巽は独り確認する。
暗雲は着実に、ゾンビィとして蘇ったさくらの運命をも覆おうと迫っていた。
アルピノライブ当日。さくらはまだどこか不安げな表情を浮かべていた。
そのさくらの不安を体現するかのように、ライブ会場の外は未曽有の雪に包まれていた。会場には豪剛雄、天吹万梨阿らの姿もあった。
そして迎えた本番。フランシュシュがパフォーマンスし始めてすぐのことだった。
アルピノの天井が雪の重みで崩壊していき、その影響でステージ天蓋が崩落、更にはフランシュシュが立っているステージ自体も陥没しライブは実質継続不可な惨憺たる状況となる。 即刻ライブを中止しようとするスタッフ。しかし、巽はすかさずそれを制止していた。
目を疑う光景に静まり返る会場。ステージが倒壊した影響で倒れ込むさくら。
「やはりこうなった。今度は皆を巻き込んでしまった」と、もはやマイクを掴む気力すらも失せていた。
その時である。突如として手拍子が会場中に響き渡った。
それは先刻、ライブの中止を制止した巽によるものであった。
手拍子につられて愛が起き上がり、サキが起き上がり、純子が――続々と起き上がったさくら以外のメンバーらは高らかに歌う。
「何度でも何度でも立ち上がれ」
「諦めなければ終わりは始まりへ変わる」
「残酷で理不尽でも負けないで」
機材すらも全て故障した中、アカペラで全力の歌唱を続行するフランシュシュ。
なおも立ち上がれないさくらへ、呼びかけるように。
「新しい夢を見よう」
フランシュシュのメンバーは待つ。待ち続ける。さくらが立ち上がるその時を。
フラッシュバックする「共にステージに立ちたい」という仲間達の想い。揺さぶられるさくらの心。
響き続ける手拍子は、やがて観客らへと伝播し会場中へ広がる。
アルピノに集う全ての人が、さくらの背中を押していた。
「想いに応えろ、さくら。お前の真の力は、追い詰められた時にこそ、覚醒する」
巽がそう述懐した時だった。
「ヨミガエレ!」
ついに、さくらは立ち上がる。
そしてスタッフによる懸命な作業で音響機材が復旧し、倒壊したままながら照明も復旧し、フランシュシュは蘇った。
惨状は一転して煌びやかなアイドルのステージへ。
歌い踊るその最中、さくらは少しずつ記憶を取り戻す。
生前の不幸体質を引きずりながらも、ここまで歩み続けてきたフランシュシュとしての活動の記憶を。
「持っていない」さくらがフランシュシュのメンバーと共にあることで、輝くことのできた全てがそこに詰まっていた。
パフォーマンスを終えた控室。アンコールが響いている。
先ほどのライブでゾンビィとしての記憶を取り戻したさくらは、フランシュシュのメンバーに今までの非礼を詫びた上で、
「あの、もし、もし全然持っとらん私でも良かったら、これからも一緒に、フランシュシュとして (活動を続けたい)……」
と続ける。
フランシュシュのメンバーは何を今更と言わんばかりにそれを受け入れる。
巽に促され、控室を飛び出すフランシュシュ。
そして観客のアンコールに応え、今度こそ全力のパフォーマンスをやり遂げたのだった。
生前憧れた――ゾンビィになってからも憧れ続けたアイドルとしてのステージに立ち、さくらはその目を輝かせ高らかに宣言する。
「佐賀、おっはよーございまーす!」
リベンジ(第2期)
牧場でたえとアルバイトをしている。
失敗してヤケになり酒浸りになった幸太郎を立ち直らせたり、サキとホワイト竜のラジオ番組に乱入したりとフランシュシュの再起に奔走している。
第3話では生前の記憶を思い出した事もあってか純子が弾き語りで歌唱していた『50と4つの忘れ物』をコマーシャルなどで聴いたことがあると発言している。
ネタバレ
2期10話での幸太郎と徐福の会話にて、「令和の始まりに佐賀が滅亡する呪い」が佐賀にかかっていることが明かされる。このため、フランシュシュが何度かライブの失敗やステージの崩壊などに見舞われているのは決してさくらの不幸体質のせいではなく、何ならさくらのその文字通り「呪われたとしか思えない」不幸体質そのものも、この「佐賀の呪い」のせいではないか?という説が一部のファンの間ではささやかれている。
そもそもフランシュシュの死因にもこの呪いが絡んでいることが徐福の口から明かされており、呪いがなければメンバー全員、佐賀に大きな繁栄をもたらしていたはずだったという。
特にさくらは子供の頃からどれだけ努力や対策をしても普通「そうはならんやろ」というぐらいの不幸に見舞われ、いざアイドルになろうものならいきなり命を奪われてまで妨害されたぐらいだから、生きていれば文字通り愛のようなトップアイドルとなってものすごく佐賀に繁栄をもたらし幸せな人生を送れていたはずだろう・・・・・・。
誰が何の目的でかけたかも分からない呪い。これによって、幸せになることや、努力が報われることは愚か、生きることすら許されなくなったさくら。そんな運命に抗うさくらと幸太郎、そしてフランシュシュの物語は、まさにリベンジである。