概要
トルネロス・ボルトロス・ランドロスの三体には、生態や能力以前の段階で明らかに共通するものがあった。
取っているポーズが完全に一致していたのである。
これまで事実上同種の雌雄と考えられるニドラン系統やラティ兄妹といったポケモン群であっても、それぞれに異なるポーズの立ち絵が描き下ろされていたところに、このような扱いで現れた伝説級はシュール以外の何物でもなく、前世代の這い寄る伝説を抜く勢いで準伝説屈指のネタキャラとして認知される事となってしまった。
あまりの存在感から、いっそ他のポケモンもコピペロス風に描いてみるという、「ぼくのかんがえた最強の~ロス」なる企画が生まれてしまったほどである。
もっとも、「コピペロス」ネタは笑い話だけでは済まなかった。
三種の風貌は、一言で言い表すと「どや顔で腕組みした中年男性が宙に浮いている」という、あまり良い見た目とは言えないものであり、良くも悪くもこれまでとは雰囲気の異なるポケモンが多いイッシュを代表するものであった。
そのような姿である理由は比較的明瞭で、トルネロスとボルトロスが日本神話の風神と雷神を元ネタとしているからなのだが、ランドロスは原典に無いオリジナルキャラクターであり(強いて言うなら豊穣神であるところや俵袋か小槌のような頭部から省みるに大黒天が元ネタか)、そもそもイッシュはアメリカ合衆国をモチーフとした土地であるなど色々と謎も多い(※)。
また、この地方にはよくある事なのだが、トルネロスとボルトロスが持っている伝説は「災害を撒き散らした」というマイナス方面のものであり、それを反映して特性も「いたずらごころ」となっているなど、害獣としての印象が強い。
風貌と併せて「事案」という言葉を想起するトレーナーも少なくなく、やはりあまり魅力的とは言えない設定であった(一応、ランドロスがフォローをしたとの話もある)。
そのため、まさに『ポケモンBW』の象徴的存在として、批判の際にはその筆頭として名が挙がるまでになってしまっており、この呼び方には多分に蔑称的な意味合いが込められてもいるのである。
※聖剣士も元ネタはフランス小説の『三銃士』であり、アメリカとの直接の関係性は無い。イッシュ地方には、多文化共生で成り立つアメリカ社会を再現するために意識的に海外のモチーフが取り入れられている点には留意が必要である。
(しかしながら、イッシュ地方には3すくみの準伝説が2組いるのに対し、フランスがモチーフのカロス地方には準伝説がいないことから、聖剣士は元々カロス地方のポケモンだったのでは?とする説もある。)
中心部にある「ハイリンク」が皇居をモチーフとしていると明言されていたり、ランドロスの棲息地である「ほうじょうのやしろ」も明らかに神社の境内と分かる構造をしているなど、ポケモン発祥の地という意識からか特に日本的な要素は多く見られるため、準伝説の元ネタが日本から取られていてもおかしくはない。
とは言え、バトルにおいては三匹揃って準伝説でもトップクラスの、「厨ポケ」と呼んで差し支えない実力を誇るポケモン群であり、廃人層からの人気は非常に高い事もまた事実である。
そのため彼らの中には蔑称じみた「コピペロス」の呼び名を嫌う者も多く、使用には注意が必要である。そもそも個々の強さだけが重要な廃人の議論において、複数のポケモンをセット呼びする事自体がナンセンスな話であったりする。
逆に言えば、pixivで「コピペロス」の名で認知されてしまったのは、強さよりも見た目のかっこよさ美しさが優先される環境だからという事に他ならない。もちろん、それもあくまで一般論であり、「コピペロス」にかっこよさ美しさを感じる事もまた自由である。
補足ではあるが、海外では「Forces of Nature(自然力。災害を意味する語)」として認知されているとか。
「コピペ」からの脱却
『BW』の続編として『BW2』が発表されると、「これを機に3種も新たな立ち絵が描き下ろされてコピペではなくなるのでは?」という希望的観測が増えてきた。
しかし、現実はその程度のマイナーチェンジに留まらなかった。
フォルムチェンジによる、能力も含めた全面的な見直しが図られたのである。
この姿を「れいじゅう(霊獣)フォルム」と呼び、従来の姿を新たに「けしん(化身)フォルム」いう名称で呼んで区別する事となった(公式)。捕獲方法はリンク先記事を参照。
顔は中年男性のままであるが、体の構造はトルネロスが鳥に、ボルトロスが竜をベースとしたものに、ランドロスが四足獣をベースとしたものにそれぞれ一新されている。
そのどれもが従来とは異なる方向性の強さを持っており、廃人層からは「霊」を直訳した「ファントム」という尊称も贈られている。もはや「コピペ」と蔑まれた頃の面影はどこにも無く、そこには強大な力を見せつける頼もしいイケメンがいるのみとなったのである。
・・・と締めくくりたい所なのだが、やはり顔が変わっていないというのはシュールな光景であり、見た目の評価では今一つネタキャラを脱し切れていないというのが実情である。
また、「フォルムチェンジ後の元ネタが不明」という問題が新たに発生している。
「霊獣」という呼び名と鳥獣が入り混じる姿から、中国神話の「四神」が有力視されており、次いで類似の概念であるアステカ神話の方位神なども挙げられてはいるのだが、世代が変わっても一向に四種目が現れないのである。
日本民話の『桃太郎』という説もあるが、鳥と獣の比率が逆である上、肝心の桃太郎にあたる存在がやはりいない(トレーナー自身が相当するという見解もある)。
また、化身フォルムのコンセプトも日本で恐れられている物(特に自然災害)を端的に表した地震雷火事大山嵐(大山嵐(詰まる所台風)→親父で知られる)と思われるため、炎飛の4匹目がやはり必要である。が、ボルトロスとトルネロスは共通してやきつくすを覚えるため、火事の部分は補完されていると言えるのかも知れない。(これで日本で恐れられている災害は他に水害があるのだが…。)
いずれ登場するのか、このまま謎の人面鳥&人面犬(?)トリオで終わってしまうのか・・・「コピペロス」の迷走は今も終わってはいないのである。
余談だが、3Dグラフィックとなった「XY」以降は、けしんフォルムの状態でも攻撃モーションが個別化されている。
関連項目
ポケモン トルネロス ボルトロス ランドロス れいじゅうフォルム