概要
第1部時点でクローンテラフォーマーから作られた「免疫寛容臓(モザイクオーガン)」を人体に取り入れ、昆虫の遺伝子を組み込ませるバグズ手術が存在していたのだが、M.O.手術はその発展形であり、昆虫以外の生物も(植物や菌類、細菌類等も含む)ベースとなる。
成功率は33~36%とバグズ手術より多少マシ程度ながら依然として低い。女性(閉経前)が一番成功しやすいとのことで、危険を伴うアネックス1号の参加メンバーに女性が多いのもそのため。バグズ手術同様にベースとなる生物は選ぶことが出来ない。
バグズ手術やM.O.手術を受けると火星での環境に適応し、変身する前においても薄い空気の中で普通に活動できるようになる。
また、アネックス1号のクルーは事前にツノゼミのM.O.手術を受けており、非昆虫型の能力者でも昆虫型と同様の筋力強化、強化アミロースの甲皮の発現、開放血管系の併用が可能。ツノゼミが選ばれたのは最も形態的多様性に長けた遺伝子を持つかららしい。『外伝 鬼塚慶次』では慶次のライバルだったボクサーがM.O.手術を受けた際に「ツノゼミだけであれば成功率も高い」と言われている(慶次の誤解の可能性あり)。※ベース生物に合わせて適合性の有るツノゼミ(例:トゲウサギツノゼミ)を選別してるか、ツノゼミ類を十把一絡げに移植してるかは不明(後者の可能性大)。
世界で最初に成功したのは、医療先進国ドイツのアドルフ・ラインハルト。彼がデンキウナギの能力を得たことにより爆発的に進歩を起こした(但し、アドルフはデンキウナギのみの移植。彼の成功を受けてドイツ軍部からツノゼミを「上乗せ(正確には「緩衝接着剤」とした方が実態に近い)」する事で手術の成功率を上げる手法が提示され、以後標準化した)。中でも旧バグズ手術の最高傑作である蛭間一郎に加え、バグズ能力者の子女で生まれながらにバグズ能力を持つミッシェル・K・デイヴスと膝丸燈、不死のプラナリアの力を得たエヴァ・フロストの4名は人類の永遠の夢への鍵と言われている。
地球編では火星から回収された「A.E.(エイリアン・エンジン)ウィルス」を利用する事で手術成功率の飛躍的上昇に成功している。
そしてバグズ手術同様、テラフォーマー側もこのM.O.手術を会得してしまうこととなる。
人為変態
バグズ手術同様、M.O.手術能力者は変身薬を注入することにより、生物パワーを発現することが出来る。変身薬は体細胞を異常活性させるため、再生能力も上昇するので応急処置にも使える。ただし、生物の細胞分裂の回数はあらかじめ決まっているため、人為変態は1回行うごとに寿命が縮まっていく。そしてバグズ手術同様、人為変態薬の過剰摂取は生物遺伝子を暴走させるため、場合によっては人間に戻れないままあの世行きとなってしまう(アレキサンダー先輩やケビン軍曹など)。ある程度までは変身薬の過剰摂取で能力向上を行う事が出来る為、「過剰変態」とも先述の事象は呼ばれる(度が過ぎると先述の通り「人間大のベース生物」化して絶命する訳だが)。※尚、変態時に生身の部位と変態してる部位の境界線として「コームノイズ」状の現象が起こるが、理由は定かでは無い。
バグズ手術もそうだが、移植者の「ベース生物の能力の発現」はホメオボックスとは対応していない。この辺りは小町小吉やゴッド・リーの能力発現を見れば一目瞭然だが、「糸の使い手」が(ベース生物に依らず)「手指の先端部」に吐糸腺が開口しているのも、その一例として挙げられる(ついでに言うと「ベース生物と移植対象者の『性差』は関係無い」らしい)。また、「糸の使い手」の内、蛾やツムギアリがベースの者は「幼虫しか使えない能力を成虫のそれと併用できる」事実を示しており、この事から「成長過程で能力が変化する生物がベースの場合、全ての能力を必要に応じて使い分けられる」可能性が存在する。※確定では無いのは適合者に依って能力を上手く引き出せるか否かに差が有る為。能力の発現部位も「その能力を自分ならどうすれば上手く使えるか」、そのイメージが(脳内信号として人為変態にも影響する)当人に出来てるか否かが影響する様だ。
先述の事例から、仮にフジツボの適合者が現れた場合、成体の「堅牢にして断熱性に富む甲殻」とキプリス幼生の「万能接着剤」を併せ持つ使い手となる可能性が有るが、活かせるか否かは当人次第である。
以下は変身薬の形状。
- 昆虫型:注射(バグズ手術と同じ)
- 節足動物型:ガム(タブレット型)
- 甲殻類型:タバコ(葉巻、キセル等の形の「電子タバコ」)
- 軟体動物型:未来座薬※但し、この型が全員この方式の場合、ウロコタマフネガイが能力ベースの「ボーン(日米合同班)」が薬の即時使用を行うのは「不可能」に近い為、第4班の「秘匿装備」だった可能性がある。
- 脊索動物型:ドロップ
- 魚類型:粉末(鼻から吸う)
- 鳥類型:アンプル(液体)
- 哺乳類型:膏薬(湿布)
- 植物型:錠剤(カプセル)
※爬虫類型、両生類型等、劇中では投薬方式が不明のベース生物も存在する。なお、地球編で米軍が用いている「汎用変身薬」は昆虫型と同じ注射器型。
紅式不完全変態手術
アネックス1号の中国班が独自に開発した手術。名前は最初に成功した班員・紅から。
不完全変態手術を受けた者は変身薬無しである程度の能力を行使することが出来る。つまりは常時ツノゼミ型の能力を発揮しているようなものなので、生身の状態でテラフォーマーと戦えるだけの戦闘力を発揮できるようになる。その状態からさらに各々の生物パワーを重ねがけするわけである。
その一方で、紅式を受けた者はその能力が常時発現しているため、人間としての普通の生活を営むことが出来なくなる。
C.B.手術(キマイラ・ブラッド・オペレーション)
バグズ手術やM.O.手術の第二段階とも呼べる手術で、第3部で登場した。
特殊なチップを銃で埋め込むことにより、他のM.O.手術能力者の遺伝子を体に取り込み、短時間のみその能力を得ることが出来る。チップを付けた部位同士を接着すれば3分持つが、唾液や血液などを経口摂取しても10秒ほどは維持することが出来る。
C.B.手術によって一人の被験者が様々な能力を駆使することが可能になり、戦法に多様性が増している。また、三条加奈子はエヴァとC.B.手術の交換を行ったことで、失った右足の爪先が再生した。
関連項目
ハイブリッドライズ※昆虫の能力をベース(こちらはバッタだが)に別の生物の能力(昆虫含む)を「上乗せ」して人間の能力を強化している点で共通(基礎技術は別物だが)。
ある意味「着るM.O.手術」。