「わたしはプリンセス・ローズマリー。」
概要
CV:宍戸留美
ナージャと同じアップルフィールド孤児院で育った女の子で、フルネームも「ローズマリー・アップルフィールド」である。
ウェーブのかかった金髪に赤いリボンや青い瞳など、一見するとナージャと同じ特徴を持つ。
幼い頃からプリンセスとなる事を強く夢見ており、幼い頃はナージャとプリンセスとその従者のごっこ遊びをしていた。
スペインではゴンザレス家でメイドとして惨めな下働きの日々を送りながらもナージャとの再会を喜ぶが、自分を心配する彼女がパーティに招かれた際に着用したドレス(しかもコレットが着ていたドレスとは別のドレス)姿に嫉妬して裏切られたと勘違いして、更にナージャがローズマリーと再会したという情報を孤児院の院長先生から得たロッソとビアンコの情報でナージャが自分の思い描くプリンセス(貴族の娘)だったという真実を知ってからは、激しい嫉妬と黒い欲望を抱くようになり、そして、願いを叶えるために周りの人間を傷付ける事も陥れる事も厭わなくなる。
「子供向け番組としては史上最狂のヒロイン」だが、「持たざる者が持たざる事を自覚してしまい、しかも友人だったはずの者がそうではなかった事」を想像してみれば、足元から崩れ落ちる気分になっても不思議ではないだろう。
もしも彼女を主役にして制作されたなら、一歩間違えれば本作が欝アニメになっていたかもしれない境遇である。
より世界名作劇場らしい作品になったではあろうが。
この憎しみを晴らすべく、ヘルマンと手を組み、ナージャと同じ金髪碧眼である事(本物のナージャよりは濃い金髪であるが)を活かし、持ち前の演技力でナージャに成り済まし、彼女を苦しめ、自身がプリンセスに成り代わろうと画策するが、全てを手に入れたと思い込んでいた彼女に待っていたのは夢見ていたプリンセスの生活とは正反対の欲に駆られ腐敗した貴族社会の現実だった(ただしこの辺りの描写はアニメ本編ではあまり描かれておらず、後述の描写がやや唐突な感があり、ご都合主義ではある)。
彼女に優しく接してくれたのは、皮肉にもナージャの母・コレットだけだったという。
ナージャの身分を知っただけでも失望は大きかったが、失望は二重底だったわけである。
その後ヘルマンは破滅し、自身が偽者である事が露見してしまった際には、追い出される前に自ら屋敷を出て行く事を宣言し、最後はナージャに全てを返して自分の夢を掴み取るために旅立った。最後まで開き直った態度を取り続け、ナージャとは最後の最後まで和解には至らなかった。
ただし、彼女の矜持は「どんな生まれの人間でも自分の夢を追い続ける権利があるはず。」という自由主義思想であったため、ナージャの夢である母との再会を奪った事に関してのみは謝罪している。
ドラマCDでは生きていく術に乏しかったためあっと言う間に困窮し、恥も外聞もかなぐり捨ててナージャ一座に転がり込み、そして再び悪事を考えているとの事。
一度覚えた憎しみはそう簡単には収まらないあたりは相当にリアルな人間描写である。
現実を知って失望すると言う意味では、挫折は三重底だったようだ。
続編である小説版では、ドラマCDよりは上手く世渡りできている様だが、それ故に狡猾さは更に増長しており、ナージャがダンテライオン一座の為に購入した劇場を金で雇った偽弁護士を駆使して騙し取るなど、相変わらずナージャを影から妨害する悪女ぶりをみせた。本人曰くナージャから騙し取った金でアメリカに渡り、事業を起こす事を目論んでいるとのこと。
評価
対象視聴者である小さな子供達には、主人公ナージャに対する陰湿な嫌がらせや裏切りから凄まじく嫌われたが、大きなお友達には不遇の境地の最中に生きる女性が抱え持つ心の闇と欲念を生々しく体現し、理想や夢を追う者に対するアンチテーゼともいえる強烈な個性、人物設定や、最後まで自分を貫き通したその生き方から良い意味でも悪い意味でも人気と話題を獲得し、なんと2004年のアニメ最萌トーナメントにて、主人公のナージャを抑え優勝している。
また、ローズマリーの容赦の無さとブレのない悪女ぶりは、ニチアサの歴史において2つの人気アニメシリーズに挟まれて、影に埋もれがちな今作品の良い意味でも悪い意味でも強いアピールポイントの一ひとつにもなっている。
余談
担当声優の宍戸留美はナージャの前クールであるおジャ魔女どれみにてメインキャラの一人・瀬川おんぷを演じていた。
おんぷも当初は自己中心的な性格であったが、作中で改心し主人公たちに謝罪している。
2期以降はレギュラーキャラとして主人公たちと行動することになったため、ローズマリーと比べればマシな方だろう。
ちなみに、どれみのキャスト陣はナージャにも引き続き出演しており、レギュラーを問わずかなりの共通出演者が多い。
ついでに宍戸留美の誕生日は11月6日であり、その日は意外にも同作品の主題歌を歌った本田美奈子の命日でもあった。
また、本田氏の歌った主題歌『ナージャ!!』の中には「みんな笑顔で会えたら 争いも きっとなくなる」という歌詞があるが、作中"笑顔"で再会しながらも、その後、争い合う関係になり、最後まで和解する事のなかったナージャとローズマリーにとっては皮肉の様な一節ともとれる。
関連イラスト
関連動画
ローズマリーep6
野生のDiamond
関連タグ
ダークヒロイン / ヒロイン 金髪碧眼 吐き気を催す邪悪 リボン ゲスイン サイコパス
仲代壬琴/アバレキラー、草加雅人/仮面ライダーカイザ - ナージャと同時期にニチアサ枠で放映されていた爆竜戦隊アバレンジャー、仮面ライダー555の両作品を代表するダークヒーロー達で、ローズマリー同様に視聴者からの評価を二分させた。「陰湿な策略で主人公を追い詰める」などその手口も彼女と共通するものがある。
滝沢直人/タイムファイヤー:未来戦隊タイムレンジャーに登場した彼女とよく似ている(上昇志向が異常なほど高い、主人公の浅見竜也/タイムレッドを敵視する)追加戦士。しかし彼女と違い、強過ぎる野心が災いして組織を追放され、戦闘員の凶弾に倒れて死亡という彼女より悲惨な末路を迎えた。
ラビニア・ハーバート - フジテレビ系列で放送されたアニメ小公女セーラの登場人物で、こちらもローズマリーと同じく主人公に陰湿な嫌がらせをしていた上に、最後まで和解に至らなかったなどが共通している。
また、ラビニアもローズマリーと同じく金髪セミロングヘアにリボンをしているなどと容姿もどことなく似ている。
レジーナ - ドキドキ!プリキュアに登場する金髪ロング、赤いリボン、青い瞳と言う、ローズマリーと似た特徴を持つキャラ繋がり。ただし彼女はローズマリーと違い、最終的に改心した。
ビート - 別作品の登場人物で男の子だが、若干不幸な生い立ち(彼は養護施設出身で、ローズマリーは孤児院出身。)でありながら、主人公と衝突し我欲の為に悪事を行っていたという点がかなり似ている。ただし、ある事だけ主人公に謝った事以外和解も改心もしなかったローズマリーとは異なって、ビートはあることを機に改心し主人公とも和解している(改心の仕方はかなりアレだが…。)。