「動ける車があるのなら奴を追え!!」
概要
黒の組織に潜入している警察庁警備局警備企画課 (ゼロ) 所属の公安警察官。右利き。29歳独身。金髪で褐色肌の美男子。両親のどちらかが外国人のハーフ。愛車は白のマツダ・RX-7 (FD3S)。親しい者から呼ばれていたあだ名は「ゼロ」。
表の顔は私立探偵の「安室透」で、喫茶店のポアロにてアルバイトしながら毛利小五郎に弟子入りする形で江戸川コナンたちと接点を持つようになる。組織では「バーボン」というコードネームを与えられ、探り屋として活動している。
警察内での階級や部署内での役職は不明だが、警視庁公安部の風見裕也警部補を直属の部下とし、また大勢の部下に指示を出している。しかし、その所属から表立って事件を捜査する事はできず、直接接触する警察官も限られている。
情報収集力・観察力・洞察力に長けた切れ者で、赤井秀一には「敵に回したくない男の一人」、ベルモットには「組織随一の洞察力を持つ」と評されている。一方、友人の伊達からは自己を過信して無茶をしてしまう一面も持っていると心配されていた。
ボクシングを趣味としており、他には「テニス」「ピッキング」「医療技術」「ギター演奏」「料理」「ドライブテクニック」「爆弾解体」など幅広い技術を習得している。
組織に潜入していたライとはライバルのような関係であったが、スコッチの死により、確執的なものとなるも、その実力は互いに認めていた事から赤井の死が組織に確認された後も、その情報を信じようとはしなかった。そこで、「あの方」の許可を得たうえでベルモットの協力を取り付け、独自の調査で赤井が生存していることを確信する。そして、工藤邸に乗り込んで沖矢昴を追及するが、コナンたちの策略によって「赤井と沖矢が同一人物である」という自分の推理を覆されたうえ、赤井に自らの正体を見抜かれてしまい、電話越しに赤井の生存を確認するも、さらなる露見を防ぐ為に赤井の生存を伏せる。なお、この過程やコナンが腕時計型麻酔銃を小五郎に撃とうとしているところを目撃したことから、「眠りの小五郎」のトリックを見破り、小五郎や警察関係者を事件の真相へと誘導するコナンに興味を持ち始めた後、「恐ろしい男」だと認識し、コナンとは対等に推理を話したり、ラムについて聞かれた際にラムを「せっかち」だと教えたりするなど、その能力や性格を把握し信頼している。
帝丹高校の修学旅行後、ラムに工藤新一の情報を求められて工藤邸に侵入。しかし、その行動を見越していたコナンによって赤井と工藤優作と工藤有希子と対面すると同時に「沖矢=赤井」であり、一度対峙した沖矢が優作であった事を悟る。
過去
幼少期
両親のどちらかが外国人であり、日本で生まれ育つが、ハーフであるためその目立つ髪色をからかわれ、喧嘩とそれによる傷が絶えなかった。傷の手当てのため「宮野医院」に通い、そこの女医の宮野エレーナに同じハーフだった事から目をかけられ、「零くん」と呼ばれ親しくなる。零もエレーナのことを「先生」と呼んで慕っており、自転車の練習に付き合ってもらうこともあった。エレーナの夫の宮野厚司と娘の宮野明美とも面識があり、宮野一家とはラボに移るまで交流は続いた。
同時期、長野から転校してきた諸伏景光と親しくなり、お互いに「零(ゼロ)」「景(ヒロ)」と呼び合う仲となる。
警察学校
行方知らずとなった大切な女性、宮野エレーナを探すため、22歳で警視庁警察学校に全科目オールAという、警察学校の歴史でも類を見ない高成績で入校。
「警察学校をトップで卒業した」と周囲から噂されている伊達が「力も頭も敵わなかった」と評するほど抜群の成績を修める一方で、真面目過ぎる性格と特徴的な容姿から他の生徒とのいざこざが絶えず、特に松田からは出会った当初「パツキン野郎」「その根性が気にくわない」などと吐き捨てられており、殴り合いになるほど反りが合わなかった。警察学校編はそんな松田と零の殴り合いのシーンから幕を開ける。
原作ではミステリアスな表情を浮かべることが多いが、警察学校時代は年相応の表情や言動をすることが多く、優秀な成績を収めつつもこの頃はまだ、料理が苦手でカッコいい車が好きな『ただの普通の男の子』だった。
人間関係
零の正体を知る者
零の正体を見抜いた探偵。「眠りの小五郎」の真の正体としてその推理力は零も一目置いている。江戸川コナン=工藤新一とは知らないが、真相に近づきつつある。
かつて「ライ」というコードネームで黒の組織に潜入していたFBI捜査官で、零の唯一の弱点と言える存在。彼の事は組織に在籍していた頃から毛嫌いし、景光の死から「殺したいほど憎い男」と憎悪を含んだ敵意を向けるが、それと同時に「あれ程の男なら自決させない道をいくらでも選択できただろうに」と複雑な感情をも向けている。
日本に来日しているFBI捜査官。当初零を組織の一員「バーボン」と認識していたが、赤井と再会した際に零の正体を知る。
沖矢昴の替え玉作戦に参加し、優作は沖矢昴として零と対峙、有希子は不在となった優作に変装してテレビ出演。後に単身で工藤家に乗り込んだ零と素顔で対峙し、お茶に誘う。
警察学校組(鬼塚教場に在籍)
- 諸伏景光(故人)
小学生時代からの幼馴染兼親友で、お互いを「零(ゼロ)」「景(ヒロ)」と呼び合う。警察学校時代は(景光曰く)料理に関して『からっきし』な零に料理を教えることもあった様子。
後に、零と共に黒の組織に潜入するが素性が組織にバレ、拳銃自殺を図り殉職。彼の死は零にとって大きな心の傷となって残っている。
- 松田陣平(故人)
当初は折り合いが合わず殴り合いをするほどだったが、とある事件をきっかけに信頼関係が生まれ、それ以来「零(ゼロ)」と呼ばれるようになった。零の爆弾解体技術は彼から教わったものである。26歳で爆弾の爆発により殉職。
- 萩原研二(故人)
零のことを「降谷ちゃん」と呼ぶ。22歳で爆弾の爆発により殉職。
- 伊達航(故人)
警察学校での成績は零に続く二位。音信不通となった零の事を気にかけ、メールを送っていた。28歳で交通事故に巻き込まれ殉職。その一年後、零は伊達の墓に赴き、安らかな瞑りを願いながら伊達からの最後のメールを消した。
警察関係者
警視庁公安部の警部補で、零の年上部下。零の右腕的存在で、直接接触・連絡のやり取りができる立場にある数少ない人物。年齢は風見の方が一つ上だが、零を慕うと同時に「こわい」と称す。
長野県警刑事部捜査一課所属の警部。景光の実兄で、学生時代に景光経緯で面識を持っている。景光の死後、零は伊達経由で弟の遺品であるスマホが届くよう手配する。高明も封筒にあった丸印(本当は「0(ゼロ)=零」を意味するマーク)から、送り主は零だと気付いている。
警視庁捜査一課管理官。零と連絡のやり取りを行い、零を「バーボン」と呼ぶ。とある回での零との通話で『例の件』について聞くが、零は赤井と工藤夫妻を思い浮かべながらも「まだ何も…」とだけ答えた。
黒の組織
詳細は「バーボン」の記事を参照
- 宮野エレーナ(故人)
「宮野医院」の女医。自身と同じハーフである零の事は「特別」として仲良くしていた。幼い零も彼女を慕っており、彼女に会いたくてわざと怪我をして医院に通うこともあった。零が警察官を目指すきっかけとなった女性。
- 宮野厚司(故人)
「宮野医院」の医師兼研究員でエレーナの夫。零とは顔見知り。
- 宮野明美(故人)
宮野医師夫妻の長女。彼女が怪我をした零を医院まで連れて来たのが交流の始まりである。エレーナが零の手当てをした際は手伝うこともあった。零がバーボンと同一人物である事には気づいていなかった様子。
劇場版
- 第20作『純黒の悪夢』
劇場版初登場。
黒の組織のメンバー・キュラソーが警察庁に侵入したことで、序盤から公安としての活躍を見せることとなる。ちなみにスーツ姿での登場は原作・TVシリーズ含め今作が初。
また、オープニングにて所属が「警察庁警備局警備企画課」であることが明言され、更に意外な人物と警察学校時代の友人関係であったことも判明した。
- 第22作『ゼロの執行人』
メインとして登場し、現実世界では彼の存在が社会現象となった。
主に公安としての『降谷零』として動いており、正義のためならば時には悪となるのも構わないというような彼の信念にスポットが当てられている。終盤では巧みなハンドル捌きを見せた。
余談
『名探偵コナン』では、これまで刑事や交通課の警察官は登場してきたが、公安警察官はモブキャラを含めて降谷が初。目暮ら警視庁の面々は公安警察と面識がなく、安室として接している降谷の素性も知らない。
また、刑事が把握している情報を知らないなど、警察内部で連携が取れていないような面もあった。
愛車は佐藤刑事と似ている白のRX-7であり、この車が初登場した『探偵たちの夜想曲』から既に彼との関係は暗示されていたのかもしれない。
物語の性質上、登場人物が多く亡くなる本作の中でも(上記の人間関係の欄を見て分かる通り)特に身近な親しい人に多く先立たれている不遇な境遇の持ち主である。
同期の死については警察官として既に気持ちの整理はついているようだが、『ゼロの日常』TIME.7で自宅パソコンの鍵付きフォルダに保存していた同期4人の写真を見つめる描写があった上、その4人から「おい、遅いぞ!」「早く来いよ!零(ゼロ)…」と呼ばれる夢を見るなど、どこか引きずっている部分がある。
特に、スコッチの死の現場にいながら彼の自害を止められなかった赤井に対しては強い恨みを抱いている。
赤井を憎んでるからなのかははっきりしていないが、本人曰く「赤NG」であり、赤い服はまず着ない。
名前の由来
担当声優の古谷徹氏と、彼の担当した機動戦士ガンダムの主人公.アムロ・レイ。
安室(透) (降谷)零→あむろ れい→アムロ・レイ
降谷(零) (安室)透→ふるや とおる→古谷徹