概要
ウルトラマンコスモスに登場する防衛組織。
物語の前日譚である劇場版1作目から既に登場している。
一応、地球防衛のために戦う組織ではあるが、怪獣が出現すると町の被害はお構いなしで過剰な攻撃を行ったり、宇宙人を侵略者と決めつけて攻撃を行うタカ派組織でもある。怪獣保護にも非協力的であり、むしろ抹殺すべきだと主張する者も多い。沈静化しかけたリドリアスを攻撃して再度凶暴化させるなど、無闇な攻撃が事態を悪化させることも珍しくない。
また、軍の工場から汚染物質を垂れ流した為にゴルメデβを凶暴化させたり、有益な怪獣であるマザルガスを細菌兵器で攻撃したり、侵略兵器であったヘルズキングを対カオスヘッダーや対怪獣用の兵器として用いるなど倫理観が著しく欠如している。
特に劇場版第1作ではウルトラマンコスモスを一方的に侵略者と見做し、ミサイル攻撃を実行しかけた挙句、居合わせた小学生と警察官に阻止されるという醜態を晒している。
EYESの中にもシノブ、フブキなど元防衛軍所属のメンバーがいるが、彼らも防衛軍のやり方には愛想を尽かしており、かなり強い口調で非難することが多かった。
そういったいきさつから、当初はEYESと対立していたが、物語が進むにつれてカオスヘッダー打倒の為に共同戦線を張ることも多くなり、終盤では優秀なパートナーとして描かれることが多くなっていった(特に二度目の対ワロガ戦、対カオスウルトラマンカラミティ戦ではコスモスの窮地を救う活躍を見せている)。
しかし、一方で防衛軍との共闘は、EYESのカオスヘッダー殲滅方針を助長することにもなり、怪獣保護という本来の目的を見失わせ、ムサシ隊員を苦悩させる結果にもなった。
ただし、(裏目になってはいるが)あくまで地球防衛や市民の安全のために責任を持って戦う組織であり、佐原司令官を始めとして話がわかる人物も少なくないため、EYESやコスモスが事態を収集すると矛先を収めて攻撃を中止する。
また、カオスウルトラマンがカブラギ諸島で保護されている怪獣を狙った際に、リドリアス達がカオス化して暴れ出すのを防ぐために処分を命ずるなど、非情ではあるが一理はある判断をしている。それに対してEYESが命令に逆らって事態を収集しても、咎めはするものの基本的に彼らを罰する描写はない(西条武官の様に怒りのままに何らかの処分を検討しようとする者もいるが、佐原司令官に止められている)。
カオスヘッダーの脅威が去った後も組織は存続しており、劇場版2作目では新たに就任した司令官と副司令官が登場。スコーピスを迎撃しようとしたが、彼らだけでは北九州を護る事は出来なかった。
3作目『ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス』ではグローカー軍団に対して戦闘機で攻撃を加えるも、やはり大した戦果を上げることはできなかった。本作では統合防衛軍のほか米軍、ロシア軍など世界各国の軍隊も出撃し、人工衛星によるビーム砲攻撃、原子力潜水艦による弾道ミサイル攻撃も行われたが、ギガエンドラやグローカーマザーの破壊には至らなかった。
構成員
主要人物
佐原司令官
演:須藤正裕
防衛軍のトップである最高司令官。
自らEYESと連絡を取り、怪獣対策を巡って対立することもあるが決して冷酷非情な人物ではなく、EYESの実力を評価しており、統合を持ちかけてきたこともあった。
消極的な性格だがヘルズキング改建造時はムサシと一対一で対話する機会を設け、自分たち防衛軍が背負っている地球防衛という責任と、ウルトラマンに頼りすぎている現状を語り、ウルトラマンの負担を少しでも減らせるならば喜んで悪魔とも手を組むという自身の決意と覚悟を話し、ムサシの意見を理解しつつ反論することなく聞き入れた。
ヘルズキング改暴走事件後、カオスキメラの完成をきっかけにEYESと共にカオスヘッダーと戦う事を決意し、最終回ではカオスダークネスに向かう怪獣達の様子を察知し、攻撃を一旦中止させた。
名前の由来は、ウルトラQで万城目淳を演じた佐原健二から来ている。
宍倉副司令官
演:大城英司
防衛軍副司令官。
攻撃的なところはなく、柔らかな物腰の穏やかな性格。
西条武官
演:奈良坂篤
佐原の副官。詳細は不明だがEYESのヒウラキャップと何らかの因縁を持っている。非常に攻撃的な性格で、EYESを見下した暴言を吐く事が多く、見かねた佐原から窘められる事もある。
怪獣保護に否定的な考えを持つうえ、自身が開発に携わった兵器を使いたがる傾向があり、なにかと口実を作っては怪獣殲滅を企む。しかし、兵器開発工場から汚染物質を垂れ流してゴルメデβ出現の原因を作ったり、マザルガスがカオスヘッダー対策の希望になり得る益獣と知りながら細菌兵器ダビデス909を撃ち込んで殺害、カオスマザルガスに変異させてしまうなど、その行動が事態を悪化させることが多い。
演:正木蒼二
33話に搭乗した怪獣殲滅兵器開発チーム「ガルス」のメンバーで西條の片腕。
怪獣を憎んでおり、EYESが保護活動中にも関わらず攻撃を仕掛けるなど過激な行動を取る。しかし、EYESが怪獣だけではなく人類の命も守ろうとしている事を知り、彼らへの認識を改めた。
後に62話で再登場。カオスウルトラマンカラミティのカラータイマーにキメラミサイルを撃ち込んで勝利に貢献した。更に対カオスヘッダー作戦への全面協力を約束し、EYESと防衛軍の架け橋としての役割を果たしている。
石井隊員
演:石井浩
防衛軍特殊部隊チーフ。諜報活動が得意。
侵略者と見做した相手には躊躇なく引き金を引く悪癖があり、ワロガに操られているレニ黒崎(および彼女を連れて逃亡を図ったムサシ)を射殺しようとしたほか、スレイユ星人ラミアに向けて発砲し、彼女を庇おうとしたSRCのカワヤ医師を誤射する失態を見せたこともある。
48話ではEYESと共にSRC医療施設を防衛し、共に勝利を喜んだ。58話ではベンガルズと共にギラッガス達を騙し討ちしようと企んだが、EYESの依頼を受けてギラッガスFを解放した。
なお、前作に登場した瀬沼龍一とは外見や職務が酷似しており非常に紛らわしい。
岡隊長
演:おかひでき
防衛軍の戦車隊「ベンガルズ」の隊長。
彼を始め、ベンガルズの隊員は砲撃時に「撃てぇぇっ!」と叫び声を上げたり、
乗車と同様の迷彩フェイスペイントを施しているなど、攻撃的な容姿・言動の者が多い。
二度目のワロガ戦で乗車を破壊されて殉職した。
なお、演者は本作の助監督であり、ウルトラマンサーガなどで監督を務めている。
牛島班長
演:加賀谷圭
「ベンガルズ」の隊員。
二度目のワロガ戦では部隊が全滅する中、単独で乗車の再起動に成功。
砲撃でワロガの注意を逸らし、テックスピナー2号の攻撃を援護する大活躍を見せた。
なお、演者は前作でも戦車に搭乗していた。
イヌガイ司令官
演:嶋田久作
劇場版に登場した司令官。
異星人との協力関係に否定的で、ギャシー星人の地球追放を提案し、デラシオンの地球リセットにも強行的な姿勢をとった。
ヒジカタ参謀
演:大滝明利
劇場版に登場した副司令官。
直接実戦の指揮を執るが冷静で物解りのいい男。
竹越真一
演:黒田アーサー
元・構成員で防衛軍時代のシノブの上司で彼女から想いを寄せられている。
仕事熱心なあまりに妻の病状が悪化した事に気が付かず、亡くなってしまった事を悔やんでおり、現在は岩手県の香野市の役場に勤めている。一人娘に緑がいる(奇しくも演者がのちに演じたライダーの名前も日本語で緑)。
シャークス
劇場版第一作に登場。
防衛軍内のエリート部隊で、軍内部でも突出した権力を持っている。
シゲムラ参謀
演:渡部いっけい
シャークスの隊長。当初は地球外生命体の存在を疑問視していたが、ウルトラマンコスモスやバルタン星人の存在を知るとその存在を脅威と見做し、友好的なコスモスにすら先制攻撃を加えようとした。
メカ
- 防衛軍戦闘機
攻撃性を重視した戦闘機。改良型のJKも存在する。
武器はバルカンとミサイル。
友好的な怪獣を攻撃したり、凶暴な怪獣に為す術もなく撃墜されるなど、総じて扱いは悪い。
防衛軍戦車部隊「ベンガルズ」が使用する戦車。
戦闘機と同様あまり扱いは良くないが、二度目のワロガ戦では大活躍した。
なお、登場時には前作のGBTスティンガーのごとく自転車が倒れる演出がお約束。
- バーニングミサイル
怪獣イフェメラに発射された大型ミサイル。一見ただの巡航ミサイルだがビーム砲を搭載しており、接近した物体を迎撃する自衛機能を備える。
- 軍事衛星アンジェリカ
数年前に「地球平和宣言」で宇宙に放棄された軍事衛星。完全に解体されておらず機能が生きており、ミゲロン星人の宇宙船を誤射してしまった。
- 大型ミサイル
地球への衝突ルートを辿る遊星ジュランを迎撃するために用意された。
- ダビデス909
防衛軍に所属していた時代のハズミ教授が偶然生み出した研究を西条が完成させたミサイル兵器。
打ち込んだ際の衝撃で怪獣の細胞を一つ一つ破壊し死に至らしめる。
- シャークスジェット
シャークスが使用する戦闘機。デルタ翼のF-86Fに似た形状。
- 指令車
シャークス部隊の指令を行うライトバン。
- 73式小型トラック/73式中型トラック
兵員輸送に用いられる輸送車。
- 防衛ミサイル
司令車からの遠隔操作で発射されるミサイル。
関連タグ
ナイトレイダー:同じくウルトラシリーズの非人道組織。倫理観の欠如に関しては同等だが、こちらは敵全てが、コスモスのそれとは比べ物にならないほど凶悪な存在なので致し方ないともいえる。また、挙げた戦果や技術レベルもケタ違いである。
ウルトラ警備隊:他の惑星を水爆ミサイルの実験場にしたり、他惑星への無差別先制攻撃を行うなど、防衛軍やナイトレイダーよりも酷い行為を行ったことがある。