解説
自分の脚力のみで快適に、高速に移動できる軽車両。チャリンコ(チャリ)とも言う。徒歩に比べて格段に速く移動でき、それでいて体力の消耗や疲労は自分の足で走るよりも少なくて済み、人力以外に動力を必要としない(電動アシスト付き自転車は別だが)のでエコであり、なおかつ自転車を漕ぐことは運動にもなるため健康にも良い…と、非常に理に適った乗り物である。しかし、その高性能さに溺れるかの如く歩行者感覚で乗る若者等が多く、交通面での様々な問題が絶えない(→チャリカス)。
自転車での移動は、徒歩の5分の1程度しかエネルギーを必要としない。一定の距離を移動する時に消費するエネルギーをいろいろな生物や機械と比較すると、自転車による移動は生物と機械の両方の中で、その移動に要するエネルギーの量に関して突出して効率的であるといわれる(ただし、これは平坦な舗装道路という自転車にとって有利な条件での比較である)。
一方で、春は花粉症、梅雨は雨、夏は暑い、秋は台風、冬は寒いし北日本では雪、そのうえ勾配が大きい、道路が狭いなどと日本では何かと苦行である。軽自動車の急速な普及は当然であったといえる。
地方の学生の通学手段としてアニメ等にもよく登場する。しかしこうした自転車通学が主流の地方はアニメ等での「青春」のイメージと裏腹に、バスなどの公共交通が壊滅しているため自転車しか手段が無い衰退地域であるという裏事情がある。
歴史
世界初の自転車らしきものは、1817年にドイツのカール・フォン・ドライスという人物が発明した「ドライジーネ」と呼ばれるもので、このときのものはフレームに車輪を2個取り付けてあるものの、現在の自転車のような車輪に動力を伝えるペダルはなく、搭乗者が足で地面を蹴って進ませるキックスケーターだった。この形式のものは、21世紀の現在も幼児向けのおもちゃとして売られている。
1861年、これに車輪への動力を伝える工夫として、三輪車のように前輪に直結したペダルを取り付けた「ベロシペード」が登場する。
この時期には、フレームの形においても、サドルの前にある三角形の部分の上側(専門用語で「トップ・チューブ」という)を削り、下側の一本の太いフレーム(専門用語で「ダウン・チューブ」という)のみで支える現在の「ママチャリ」に通じるものが登場している。
「ベロシペード」が登場してから約20年後の1880年頃、イギリスのジェームズ・スターレーという人物が自らの息子と協力し、それまで前後輪がほぼ同じ大きさであった「ベロシペード」の駆動輪である前輪を極端に大きくしてスピードが出せるようにした「ペニー・ファージング」という形の自転車を造りだした。
これは、自動車の速度を上げるためにタイヤをより大きな直径のものに交換したり、蒸気機関車の動輪が大きくなっていたりするのとまったく同じ理論である。
車輪をスムーズに回転させることができるよう、車輪の軸受けにボールベアリングが組み込まれるようになったのもこの頃からである。
このようにして生まれた「ペニー・ファージング」であったが、重心が高く独特のバランス感覚を要する他、着座位置が高く段差に前輪が引っかかった場合は、そのままの速度で最悪前につんのめる形で転倒して命にかかわることもしばしばという危険なシロモノであり、「ペニー・ファージング」を発明した人物の甥にあたるジョン・ケンプ・スターレーは叔父から独立して興した企業において、1886年に「ベロシペード」のフレームを利用した新しいタイプの自転車である「安全型自転車(セーフティ)」を造りだした。
それまでの自転車と「安全型自転車」の主な違いは、次のとおりである。
- ペダル直結の前輪駆動からチェーンドライブの後輪駆動になったこと。
- ペダルの位置がサドルの真下付近に移動したこと。
- 前輪を操舵専用としてハンドルの形を改良したこと。
この「安全型自転車」は、重心が低いために前輪が段差に引っかかっても転びにくく、少々の練習で乗れるようになることから爆発的に売れた。
1930年代に駆動輪の回転数がペダルの回転数以上になるとペダルのギヤが空転するフリーホイール機構が組み込まれるに至り、現在の自転車に繋がる基本的な機構が完成した。
自転車は1970年代以降、さらに長足の進歩を遂げる。スポーツバイクの世界においてカンパニョーロが「グループセット」、シマノは「コンポーネント」と称する自転車部品の一揃いをセット販売するようになり、両社は新技術を次々と投入し、スポーツバイクの性能は著しく向上し操作も簡単になった。シマノは廉価なコンポーネントも揃えることにより、低価格な自転車にもスポーツバイクで培われた新機構(外装式変速機など)が徐々に浸透していく。また1993年にはヤマハが世界初の電動アシスト自転車を発売し、その後世界的に普及していった。
自転車の種類
日本ではひと昔前まで「自転車」というと、日常の短距離移動用のシティサイクル(いわゆるママチャリ)のイメージが強かったが、ロードバイク(ロードレーサー)などのスポーツ仕様車は平坦な道であれば自動車並みの平均速度で一日100km以上も走ることができる。リヤカーをつなげば数百kgの荷物も運べる文明の利器である。
オフロード走行が可能なマウンテンバイク(MTB)やシクロクロス、荷物運搬用の実用車、ランドナーのような旅行用自転車、複数人が乗車するタンデム自転車、BMXのようなエクストリームスポーツ専用車などその種類は多種多様。最近では、ロードバイクやクロスバイクが通勤やレジャー用として注目され、メディアで取り上げられる機会が多い。
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