概要
「魔人ブウ編」において孫悟飯が老界王神によって潜在能力を限界以上に引き出してもらった状態の通称。尚、この名称は原作には登場しない。(後述)
見た目は超サイヤ人のような派手さはないが、その戦闘力は超サイヤ人3以上であり、悟空はもちろんフュージョンしたゴテンクスをも凌駕する。
また超サイヤ人3の弱点であった変身の時間制限も見られず、加えて変身中にかかる身体への負担も無い。
その圧倒的な強さから、読者からは原作においては合体戦士を除く単独の戦士の中では最強のキャラクターとの声も多い。
外見・性質
超サイヤ人のような金色の激しい光を放つこともなく、髪や瞳の色も普段の黒のままだが、目つきは超サイヤ人と似た鋭いものへと変わる。
髪型も微妙に変化し、特に一房垂れた前髪が特徴的。
『ドラゴンボール超』では通常時は前髪無しでアルティメット時だけ前髪が降りる外見的な区別を行なっている。
また通常よりも首が太くなるなど筋肉が隆起している描写もある。
このように外見的な変化は薄いが、内面的には大きく変わっており、初登場時は師匠であるピッコロが「以前とは気の種類が違う。甘さも消えている」と評し、姿を見るまでは悟飯だと気付けなかった。戦闘時においては性格や口調も冷徹かつ自信に溢れたものに変化し、一人称も普段の『僕』から『俺』へと変わっている。
尚、この潜在能力解放のためには、まず老界王神の謎のダンスによる儀式が5時間、能力の解放には20時間を要する。
呼称については「アルティメット悟飯」という名称は、原作には存在しない。あくまでも通称である。
後年のゲーム作品などでは「最強の戦士」「真の力の解放」「老界王神の潜在能力解放」「究極悟飯」「潜在能力解放」など、様々な表現がされていたが、『ドラゴンボールZ Sparking!』シリーズにおいて「アルティメット悟飯」の呼称が用いられて以降は、他のゲーム作品やグッズ展開においてもこの呼称が用いられることが多くなり、「ドラゴンボール改」では、サブタイトルに「究極(アルティメット)悟飯」の名称が使われた。
活躍
悟天、トランクス、ピッコロたちのピンチに駆けつけ、圧倒的な実力で悪のブウを追い詰めた。これ以前に悟飯は超サイヤ人2の状態で、悪のブウより力の劣る太っているブウに敗北しており、驚異的なパワーアップである事が分かる。
しかしブウは自爆をして逃亡。再度現れた際にはゴテンクスとピッコロを吸収し、形勢が変わった事で逆に圧倒されてしまった。その後、事態を見かねた老界王神の計らいで生き返った悟空が助けにやってくるも、スキを突かれ悟飯自身もブウに吸収されてしまう。後に体内に忍び込んだ悟空とベジータによりピッコロやゴテンクス(体内で分離して悟天・トランクスに戻っている)共々救い出されるが、気を失っている間にブウにより地球が破壊され、仲間たち諸共爆発に巻き込まれ命を落としてしまった。
このように原作最強の戦士と言われているものの、原作において勝利したことは一度もない。長い時間を掛けて変身した(界王神の勘違いによりゼットソードで修行していた期間も考えると更に時間を費やしている)にもかかわらず、結局この悟飯が際立った活躍を見せることのないままブウ編は終了し、主役の座までも悟空に返上してしまった。原作最終回では戦闘シーンがないため、10年後の戦闘力は不明である。
魔人ブウ編後を描く映画『龍拳爆発!!悟空がやらねば誰がやる』ではヒルデガーンの下半身を撃退する事に成功したが、その後完全復活したヒルデガーンとの戦いではビーデルが攻撃を喰らったことで注意がそちらに向き、その隙を突かれて尻尾で締め上げられて気絶した。
『ドラゴンボールGT』ではアルティメット状態の様な目つきをしていたが、その力は失われているようで全ての戦いで普通の超サイヤ人に変身して戦っていた。
『神と神』及び『超』シリーズでは破壊神ビルスにもこの姿で挑むもまったく歯が立たず、敗北している。また悟空にパワーを送るシーンでは超サイヤ人に変身している。
その後は学者となり、戦いから遠のいていたためか、『復活の「F」』では遂にこの変身ができなくなり、超サイヤ人に変身するようになった。
その後『超』においては力の大会に向けたピッコロとの修行で、ピッコロの呼びかけに応え、超サイヤ人、超サイヤ人2を経てついにアルティメットの力を開放。アルティメット悟飯が完全復活した。
復活後、悟空と試合した際にはこの姿になった悟飯に対し、悟空は自分を鍛えるために強者との戦いを求め力の大会に臨んでいたが、自分の傍に悟飯という強者がいたことを思い出したという趣旨の発言まで言わせるほどになった。
また、この時に超サイヤ人にならないことについて、「僕が目指すのは誰も見たことのない究極の姿。父さんとは違うやり方でそこを目指します」と発言している。
超サイヤ人2の悟空と互角以上の戦いを見せ、超サイヤ人ブルーの攻撃もカウンターで受け流す程の実力を見せたが、悟飯が望んだ本気の悟空が見せた超サイヤ人ブルー界王拳相手には敵わず敗北。しかし悟飯の底力を再確認した悟空により、第7宇宙のリーダーに任命された。
力の大会本番にはまず第十宇宙の戦士オブニに勝利。しかし、オブニが落ち全員脱落となった第十宇宙は消滅してしまう。消滅の直前、悟飯はオブニの家族写真を見つける。その家族写真を悟飯は複雑な表情で見つめていた。
それ以降は目立った活躍を見せなかったが同化を繰り返した第6宇宙のナメック星人サオネルとピリナ相手に全力で戦っても殺す心配がないと判断して力を解放。ピッコロとのコンビネーションで勝利した。
その後も前髪が垂れ下がっているためこの形態を維持し続けていたと思われる。
最終的には第11宇宙のディスポの超最高速モードに対応できなかったフリーザを手助けする形で共闘。
2人でも対応できないスピードに対抗して、自分が囮となって動きを封じ、そのままフリーザに自分ごと攻撃させてディスポと2人一緒に脱落した。
漫画版『超』の力の大会ではピッコロの魔族胴着状態で力を解放。この衣装でアルティメットの力を解放するのは初である。アニメ版とは異なりカリフラとケールが融合したケフラと互角に戦い相討ちする形で脱落した。
以下は最新作、映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』のネタバレを含みます。
映画『スーパーヒーロー』では映像作品で初めて魔族胴着状態で登場する。
力の大会後、再び修行を怠っていた為、変身出来なくなっていたが、レッドリボン軍の復活に乗じてピッコロがパンと手を組み、悟飯が怒った際の爆発的パワーを利用して再度覚醒させた。その力は悟空やベジータと互角と言われたガンマ1号相手に優勢に闘う程だった。
セルマックスとの最終決戦では、ガンマ1号との戦いでの疲れが残っており変身せず超サイヤ人2のままで戦っていたが、ピッコロから貰った仙豆を食べると即座に回復し変身した。
そして最後の作戦として巨大化したオレンジピッコロが時間を稼ぎ、その間、悟飯はセルマックスの弱点である頭部を完全に破壊すべく気を最大限にまで溜めいたがピッコロが追い詰められたその時、悟飯は怒りの力でアルティメットの殻を破り、更なる強さへと進化した。
灰色に逆立った髪と赤目を持った新たな姿に覚醒した悟飯はセルマックスの攻撃を受け付けず、逆にセルマックスを弾き飛ばし最期はピッコロに拘束されたセルマックスの頭部を魔貫光殺砲で貫いた。
各種媒体での扱い
超サイヤ人2と同じく、外見上の変化に乏しいためか大体の場合扱いは良くない。悟飯自体の扱いも(主役になれなかったこともあり)大変悪いのだが、特にアニメ制作陣がアルティメット悟飯の存在そのものを理解していないような描写が多々存在する。
原作やアニメ、映画『龍拳爆発!!悟空がやらねば誰がやる』では、通常の悟飯が超サイヤ人に変身するようにアルティメット悟飯に変身している描写が見られ、ゲームではこの設定を汲んでか悟飯の変身形態として設定される事が多い。
『GT』では何故か何の説明もなくアルティメットは登場せずに悟飯は普通の超サイヤ人に変身している。
『神と神』では、予告の段階では悟飯がアルティメットではなく超サイヤ人に変身していたが登場、その後一般公開された完成版では当該シーンがアルティメット悟飯となるよう修正された。尚、その名残としてポスターの悟飯はアルティメットではなく超サイヤ人状態である。また作中でも悟空に気を送るシーンでは超サイヤ人状態である。
『ドラゴンボールヒーローズ』では、超サイヤ人3より強いこの形態があるにもかかわらず、何故か超サイヤ人3に変身する青年悟飯を登場させている他、超サイヤ人4に変身する悟飯も登場するようになり、結果的に最強形態のお株まで奪われてしまうなど不遇な扱いが続いている(あくまでそのゲーム内の設定ではあるが)。
悟飯は使っていないが、身勝手の極意という超サイヤ人とは異なる形態も現れ、超サイヤ人ではない強化形態という特殊なポジションもオンリーワンなものではなくなってしまった。
ただし、ドラゴンボール超の宇宙サバイバル編にて再登場した際は、周りのインフレが進んでいたため最強の戦士ではなくなって、強敵との戦いは悟空やベジータが目立つものの、どちらかと言えば強者側としての活躍が見られた。
また、共闘の際も自分を囮にして仲間に技を使わせるという作戦で戦果をあげており、悟飯らしい戦いを見せたと言えるだろう。
以下は最新作、映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』のネタバレを含みます。
また『スーパーヒーロー』ではラストで悟飯も独自の形態に目覚めており、かつてアニメの力の大会前で放った「誰にも見た事のない究極の姿」を実現する事になった。
外見はかつてのセルとの戦いで初めて見せた超サイヤ人2に似ているが、その時よりも髪のボリュームがある。髪の色は灰色で目は赤色をしている。
尚、この姿の名称やルーツは明かされおらず、かつて悟空が見せた身勝手の極意の悟飯版という声や「アルティメット2」「超アルティメット」などファンの間では様々な予想がされていたが、公式からの鳥山明氏の発表により、名称が孫悟飯ビーストであることが判明した。
ゲーム
対戦ゲーム
対戦ゲームの初出はSFC版ドラゴンボールZハイパーディメンション。
その後ドラゴンボールZシリーズやSparking!シリーズなど魔人ブウ編キャラが扱われる大体のゲームには出演している(一部青年期悟飯がいるのにアルティメットが無い場合も)。
Sparking!シリーズでは変身形態というよりは純粋に別キャラクター枠で参戦。
最新作ドラゴンボールファイターズにも参戦。
(孫悟飯(青年期)名義。メテオ必殺技で超サイヤ人にも変身するが、見た目や攻撃の動きはほぼアルティメット)
基本的にどのゲームでも能力が高く、超サイヤ人3孫悟空並だが、超サイヤ人3は気力などの消費や回復に難がある場合が多いのに対し、アルティメットはそれらのデメリットは基本的にない。
ドラゴンボールファイターズでは攻撃の手数が多く、立ち弱攻撃連打だけでも攻撃回数や速度が早く、更に下段攻撃がデフォルトで混ざるため固めやすい。
発生時無敵技(ジェットアッパー)や、しゃがみガードで防げない技(アルティメットバックアタック)などもありその場その場の切り返しや突破力もある。
ただし相手を吹き飛ばしたあとの遠距離追い打ち超必殺技が3ゲージ消費のメテオ必殺技しかないので、空中コンボで相手を叩き落とす時は締めにアルティメットバックアタックを組み込めるようにして真下に叩き落とすようにすると良い。
ドラゴンボールゼノバースシリーズではプレイヤーアバターも覚醒技として「潜在能力解放」が使用可能。無印では老界王神との修業を得て、『2』では進級試験を最後までクリアすることで会得できる。外見的な変化は殆どないが、攻撃力がまんべんなく強化され技力も回復していく。加えてデメリットもなく、どの種族でも使えるので使い勝手がいい。特に「地球人」、「ナメック星人」、「魔人族」は種族固有の覚醒技が非常に癖が強く扱いづらく、他にはデメリットが重い界王拳しかない為、手に入れ次第優先して使いたいところ。
『ゼノバース』のストーリーでは、わずかだが魔人ブウ(純粋)と戦うシーンがある。しかしいきなり地球を破壊されてしまったため敗北する。ドミグラの魔術によって強化されたブウ(悪)とも戦ったが、同じ理由で敗北している。
ソーシャルゲーム
ドラゴンボールZドッカンバトルでは、「アルティメット孫悟飯」の名が付くキャラクターが14体とそこそこな数が存在する。(2021年6月現在)
特にフェス限定技属性版は、アルティメット変身前の時点で必殺技を撃つ度に自身のATKが大幅上昇する攻撃型でありながら、同時に必殺技を撃つ度にDEF大幅上昇+全ての攻撃をガード(敵の攻撃が全て不利属性扱い)の超防御型を併せ持つ性能。この防御性能があまりにもイカれており、現行の最難関クエストである「極限スーパーバトルロード」や「破壊神集結」「究極のレッドゾーン」においても苛烈極まる敵の攻撃をサポートアイテムを一切使わず涼しい顔して受け止めるなど、その常軌を逸した防御力を遺憾なく発揮している。
そこに5ターン目以降いつでも変身できるアルティメット状態になると、変身前に積み上げたATK•DEF大幅上昇分と全攻撃ガードを引き継いだまま、更にスキル効果で「ATK大幅UP&特定条件下で自身の攻撃が全て効果抜群」が付与され攻撃性能にまで拍車が掛かる。変身前の必殺技発動回数によっては下手なLRキャラを余裕でぶっちぎるほどの火力が出る。
実装からそろそろ一年が経とうとしている中、現在進行形で評価が上がり続けるキャラクターであり、今後も腐らぬ活躍が期待されるなどゲーム内でも最強候補に挙がる程の「究極」と呼ぶに相応しいキャラクターとなっている。
弱点らしい弱点と言えば、隣り合う味方キャラと同じスキルを持っていると発動する「リンクスキル」のラインナップが汎用性に乏しく、超サイヤ人が覇権を握っている超属性においてそれらサイヤ人達と繋がれず、隊列次第ではリンクスキルによる繋がり阻害してしまう可能性を孕んでいるということだが、裏を返せばそれはコイツ単体で性能がほぼ完結してるということの証明にもなるであろう。
余談
PSゲーム『FINAL BOUT』の攻略本では、冒頭の台詞があろうことか「勝てんぜ、お前には」と誤植されてしまっていた。
同誌は他にも隠しキャラクターの出現コマンドが間違っている等誤植が多く、後にVジャンプ本誌にて謝罪と訂正が行われている。