大獣神
だいじゅうじん
概要
5体の守護獣が合体し完成する巨大神。合体の際にはまず前段階の獣戦車ダイノタンカーに一度合体し、その状態から「発動!大獣神」のコールで起立・変形する事により、大獣神としての姿を現す。
大獣神への合体には、「ダイノクリスタル(※)」と呼ばれる5本の円錐状の結晶が必要である。このクリスタルをコックピットのコンソールに差し込む事で変形合体を可能とし、同時に合体後の操縦桿としても機能する。物語開始当初はその所在は判明しておらず、後にとある山の中腹に埋蔵されていたのをゲキが発見・入手してからは、使用の際に各メンバーの持つダイノメダルから出現させるようになった。
合体の際には、各々の守護獣を呼ぶ必要がある都合上5人揃っている必要があり、誰かが欠けている場合は守護獣単体で巨大ドーラモンスターに立ち向かうか、剛龍神など他の合神で対応する必要がある。他方で、ゲキたちの意志とは無関係に合体した状態で姿を現し、パイロット不在で活動に及ぶことも少なくはない。
コックピットの座席配置は、ダイノタンカーが変形を行っている際の配置と、大獣神を操縦する際の配置がゲキ以外異なっており、奥にはドラゴンレンジャーが座る席も存在するが、これが使用されたのは1回のみである。
(※ ダイノクリスタルは5本のみで、ドラゴンレンジャー用のクリスタルは存在しないが、彼のヘルメットの額に配された赤い石はこれと同じ素材であるため、獣奏剣の音色と共鳴させることでドラゴンシーザーをコントロール出来るようになっている)
戦隊初の「神」
従来のスーパー戦隊シリーズにおける1号ロボに相当する存在でもある大獣神だが、その名からも分かるように、恐竜やそれと共に生きる生命を守護する神としての側面も備えており(守護獣の記事も参照)、共に戦うジュウレンジャーに対しても、人語によってその意志を伝えたり独自の判断で行動するのが特徴である。
このように、純然たる兵器といった趣の強い従来の戦隊ロボとは、(合体前の守護獣も含めて)明らかに一線を画した存在として位置付けられており、翌年以降も現在に至るまで度々シリーズに登場する、所謂「生命体」に類する戦隊ロボの先駆けとも言うべき存在とも言える。
人智を超えた存在であるが故に、「恐竜の卵」を守るという約束を果たせなかったアペロ族に対する仕打ちや、兄弟対決を制したゲキにブライの命を断つよう迫るなど、時として人間から見ると厳格に過ぎるシビアな思考や判断に及ぶこともある。
とはいえ、前者に関してはゲキたちの嘆願を聞き入れて寛大な措置を取ったり、また後者でも兄を斬る事を選択せず、これを改心させたゲキの判断を(後述の事情もあるとはいえ)手出しせず見守るなど、厳格ではあるが非情ではない部分も併せ持っている。
もっとも、神ではあっても必ずしも全能の存在である訳ではなく、物語中盤ではバンドーラの作戦によって太陽からのエネルギー供給を絶たれた末、グリフォーザー夫妻と巨大ドラゴンレンジャーの猛攻によって敗北しマグマに落とされたり、物語後半では強化されたドーラモンスターに苦戦を強いられた事も度々あった。宿敵である大サタンに至っては、大獣神では勝つ事が出来ないと作中で明言されている程である。
それも無理からぬ事で、大獣神としての姿はあくまでも不完全な状態でしかなく、その本来の姿と力を取り戻すためには伝説の戦士――即ちジュウレンジャー6人の成長と、彼らが試練を乗り越え力を開放する必要があったのである。
能力
守護獣の時と同様に、ガイアトロンエネルギーを動力源として様々な能力を発揮する。ガイアトロンエネルギーは地球の自然、それに太陽光に由来する力であり、日食などで太陽光が遮られると前述の通りエネルギー供給を絶たれる状態となってしまうが、一方でガイアトロンエネルギーはマグマにも多く含有されているため、前述のマグマへの落下時には逆に傷を癒やし、復活を果たす要因ともなっている。
攻撃面では、頭部の角から「大獣神ビーム」、目から「破壊光線」と「吸引ビーム」、背中の砲身からの光線など、その身体に強力な武装を多数搭載している。また手持ちの武器として、ジュウマンモスの頭部をそのまま左手に装備した「マンモスシールド」という盾や、ジュウレンジャーの呼びかけに応じて空より飛来する「恐竜剣ゴッドホーン」があり、マンモスシールドの両目からもエネルギー光線を放つことができる。
必殺技はゴッドホーンの刀身から雷光を発生させ、敵を一刀両断に切り裂く「超伝説・雷光斬り」。基本形は右手一本でゴッドホーンを高く掲げ、斜めに切り下ろすというものであるが、左から横一閃に振るったり、右下から斜め上へと切り上げたりといった変則パターンも存在する。
玩具
本放送当時には「進化合体 DX大獣神」として、従来の戦隊ロボと同様に商品化されている。前年までとは異なり、超合金ブランドではなくなった分サイズアップが図られており、また販売形式も従来のセット版だけでなく、セット版の内容を3商品に振り分ける形での分売方式も試みられている。
超合金ブランドから外れた理由としては、それまでの戦隊ロボに比べて構造が複雑化したことで、それに対応したサイズアップの結果コスト吸収のために合金パーツの導入が見送られたという事情がある。
番組終了後も、『ジュウレンジャー』の作品人気に乗る形で度々商品化がなされており、2012年には非変形である代わりに可動・プロポーションに重きを置いた「スーパーロボット超合金」シリーズに大獣神もラインナップされている。また2016年より展開されている「スーパーミニプラ」ブランドでは、スーパー戦隊からのラインナップの一番乗りとして大獣神がキット化された(2017年3月発売)他、同時期には超合金魂としても発売され、本放送当時の「無念」に対するリベンジを果たす格好となった。
海外版
スーパー戦隊シリーズの英語版ローカライズ作品『パワーレンジャー』シリーズにも、ジュウレンジャーを原作とした第1シーズンにダイノメガゾード(メガゾード・バトルモード)として、大獣神が登場している。
前述の通り「神」として位置付けられていた大獣神に対し、ダイノメガゾードはあくまで意思を持たない戦闘メカとして設定されている。また原典と同様に日食によって出力が低下する他、寒冷地では動けないという弱点も新たに追加されている。
『五星戦隊ダイレンジャー』を原作とした第2シーズンにも引き続き登場し、サンダーパワーによってメガサンダーゾードへとパワーアップを果たす。
シリーズ最初の登場キャラクターの一つであるだけに、原典の大獣神と同様に商品化の機会にも幾度となく恵まれており、2010年には他の玩具とのマルチ合体ギミックも追加される形で新規に商品化され(後の20周年の際に一部仕様を変更して「LEGACY MEGAZORD」として再発売)、パワーレンジャーの権利がサバンからハズブロへと移った後の2022年にも、同社より変形合体可能なダイノメガゾードの玩具が発売されている。
備考
以降のシリーズ作品でも度々登場する機会が設けられており、199ヒーロー大決戦や恐竜大決戦では、後輩の恐竜ロボたちとの共闘も描かれている。
スーパー戦隊レジェンドウォーズでは、ティラノレンジャーのレジェンドカードとビクトリーカードのスーパースキルで登場。いずれも超伝説雷光斬りを繰り出し、ビクトリーはジュウレンジャー6人によるコンビネーションクラッシュ(6人版はゲームオリジナル)の後に放つ。
関連タグ
恐竜戦隊ジュウレンジャー 守護獣(ジュウレンジャー) 戦隊ロボ
アバレンオー、キョウリュウジン、キシリュウオー:恐竜モチーフの戦隊の巨大ロボとしての後輩に当たる
ガオゴッド:『百獣戦隊ガオレンジャー』に登場する、巨大戦力と神という要素を併せ持った存在
リュウオーン、ゼンカイジュラン:前者は悪の幹部、後者は戦隊メンバーという差異はあるが、いずれもデザインモチーフとして大獣神が採用されている
マグマトロン:『ビーストウォーズネオ』に登場するキャラクターの一人、大獣神と同様に古生物をモチーフとしたメカの合体によって構成される、意思を持ったロボットである